医学の卵、ヘブンズ・ドア、少年メリケンサック

医学の卵』(海堂尊)、
帯から。僕は曽根崎薫、14歳。歴史はオタクの域に達しているけど、英語は苦手。愛読書はコミック『ドンドコ』。ちょっと要領のいいごくフツーの中学生だ。そんな僕が、ひょんなことから、「日本一の天才少年」となり東白大学の医学部で医学の研究をすることに。でも、中学校にも通わなきゃいけないし、そりゃないよ。医学生としての生活は、冷汗と緊張の連続だ。なのに、しょっぱなからなにやらすごい発見をしてしまった(らしい)。教授は大興奮。研究室は大騒ぎ。しかし、それがすべての始まりだった。ひょうひょうとした中学生医学生の奮闘ぶりを描くコミカルで爽やかな医学ミステリー。
もちょっと詳しく。
僕の父親は博士。その父の作った潜在能力検定で、僕は全国トップになり、東城大学の医学部で、基礎医学の研究の手伝いをする。レティノ(眼の癌。チームパチスタにも出ていたけど)の発生のメカニズムを解明する手がかりをつかんだらしい。藤田教授は功を焦って、再実験を待たずに、ネイチャーに投稿してしてしまう。でも、再実験で同じ結果が出なかったのとを理由に、おとされてしまう。起こった藤田教授は、超レベルの低い雑誌に投稿する。で、それが載ったのはいいんだけど、同じ研究をしているノーベル賞クラスのオアフ教授が反論を唱えてくる。で、困った藤田教授は、僕の責任にしてしまう。僕は大学を追われることになるが、父が今までの僕の日記やメールの記録を取ってあって、教授のミスだと証明してくれる。


感想。ありえない設定なのに、超面白い。中学生が大学の医学部で研究することからしてありえないのに、翌日にはノーベル賞クラスの発見をしてしまうとか。(ま、でも、実際にやったのは助手だけど)。はては、普通、助手の発見でも自分の名前を一番先につける教授が多いのに、中学生の名前を一番先につけて、ネイチャーに応募するとか。あるいは、それが間違いだった(汚染=コンタミネーションだった)とわかると、全部中学生のせいにするとか。人間のいやらしさ、自己保存本能、名誉欲などが、巧妙に描かれている。

途中ですが映画を入れます。『24』の第一シーズンは来週送りです。
ヘブンズ・ドア』(映画)
長瀬君が出ていたので、取り上げてみました。
帯から。さえない人生を送ってきた28歳の勝人は、突然、末期の脳腫瘍と診断され、即入院。そんな勝人の前に、幼い頃からずっと病院ですごしてきた、同じく余命わずかの14歳の春海が現れる。2人は、病院の駐車場に偶然停まっていた車を盗んで、海へ向かう。車には拳銃と大金が積まれていることも知らずに……。生まれてきて初めて、まっすぐに人生と向き合い、生ききろうとする勝人と春海。
もちょっと、詳しく。

1、病院で、余命いくらもない春海に、好きなことをさせてあげようと思った勝人は、ヤクザの車とも知らずにベンツを盗む。春海は小さいときからずっと病院暮らしだったので、何も面白いことをしたことがない。彼女の夢は、海を見る。遊園地で遊ぶ。マックでビッグマックを食べる。カラオケで歌いまくる。プリクラを撮る。自分の眠る場所を決める。カッコイイ男の子とキス。まず、ベンツの中の銃に気が付く。金はトランクの中なので、まだ気がつかない。

2、原宿で服を買い、郵便局では強引に金を借りる。

3、パトカーを盗んで逃走し、公園では勝人の薬が切れて死にそうになるが、春海が薬局で薬を奪う。その後、メキシカンレストランで裏口から逃げる。このときはトランクの金に気がついたので、金を頂き、レストランの軽トラックを貰う。

4、検問を突破。ヤクザに追い詰められるが、先代が逃がしてくれる。その後、救急車を盗んで海へ。

感想。滅茶苦茶さ加減が面白い。

少年メリケンサック』(映画)
感想。クドカンの映画らしく、スピード感があっていいです。それから、春夫をメンバーにいれるために説得に行って、牛のくそをぶつけられるところなんか、超リアルでいいです。


追伸。再来週まではお知らせしたので、その次の週からの予定。『イノセント・ゲリラの祝祭海堂尊『臨床真理』(柚月裕子)『ラットマン』道尾秀介カラスの親指道尾秀介『鬼の足音』道尾秀介道尾秀介は、綾辻が一押しだったので、読んでみたら、超面白かったので、この後も集中的に取り上げます)『屋上ミサイル』(山下貴光)、あと、どこかで『罪とか罰とか』(映画)が入るかも(これは近くの映画館でやっていたらの話)。それから、名作復活シリーズとして、『時計館の殺人』と『どんどん橋落ちた』(綾辻行人)がはいるかも。特に『どんどん橋落ちた』は是非やりたいわね。ある文学賞で、ほんわかとした殺人というのを要望しているのがあるの。それにはこのネタはぴったりだと思うから。勿論、かなりアレンジしないとダメだろうけど。