2008-01-01から1年間の記事一覧

まず石を投げよ

『まず石を投げよ』(久坂部羊) 内容。帯に書かれていた内容――医者の好き嫌いで患者が殺されたら。外科医・三木達志は医療ミスを告白し、患者の遺族にみずから賠償金支払を申し出た。これに究極の誠意を感じたライター・菊川綾乃は取材に乗り出すが、「あれ…

聖女の救済

「聖女の救済」東野圭吾内容。結婚して一年たって子供ができなかったら別れようといわれた女がいる。(そんなの付き合う前に言えよって話だよねえ。好きになってしまって、結婚直前になってから言われたって、困るっつうの)。ところが、主人公(綾音)の好…

告白

『告白』(湊かなえ) 感想。いくつかの章に分かれてまして、最初の『聖職者』が小説推理の新人賞受賞作だそうです。小説推理新人賞は80枚なのに、何だこのボリュームはと思ったら、第一章に書き足したらしいです。 それにしても、面白いです。帯にジェッ…

ジェネラルルージュの凱旋

『ジェネラルルージュの凱旋』海堂尊 内容。『ナイチンゲールの沈黙』と同じ日のERの話。 吐血した歌手、冴子を、ICU付きのナース翔子は無理にERに押し込む。満床だったので、当直の医師に頼んで、あっちの患者をこっちに、こっちの患者をあっちへと…

ブラックペアン1988

『ブラックペアン1988』海堂尊 著者の医者になりたての頃の思い出みたいな、青春小説です。 1、糸結び。 1988(昭和63)年、世良は医学部を卒業したが、国家試験の発表を待つ身。発表は四日後。東城医大。『チームバチスタ』の20年前。佐伯院長…

流星の絆

『流星の絆』東野圭吾 もうだいぶ話も進んだので、内容を話す必要はないんだけど、これは、スリーピングマーダーで、ふつうは、スリーピングマーダーは、わざとらしく、記憶を小出しにして、「あ、思い出した」とか話し、少しづつ犯人に近づいてゆくんだよね…

無痛

『無痛』久坂部羊 内容。神戸に患者の外見だけを見ただけで、病気を見抜く医者・為頼がいる。その彼が、額にMのしわのよる人間は凶暴な殺人を犯すと見抜く。たまたま街で、大量殺人にでくわす。そのとき、知り合いの菜見子を、殺人者から見えないところまで…

全身麻酔

『全身麻酔』霧村悠康 内容。手術中に、麻酔が浅くて、医者たちの話が聞こえてしまうミスがあり、それを患者(露村冬樹)が小説にまとめる。内容は、自分とよく似た名前で、同じ部位に疾患がある患者と間違えられて手術された。自分は大腸の上行結腸の癌。間…

救命センター部長ファイル

『救命センター部長ファイル』浜辺祐一 下町の救命センターの部長が、体験した症例を解説した作品。最初は、交通事故。単独で車でガードレールに衝突。脚を切除するかどうか、ぎりぎりの状態。詳しく説明すると、患者は、肋骨が折れ、肺に穴が開き、皮下気腫…

ナイチンゲールの沈黙

『ナイチンゲールの沈黙』海堂尊 内容。これは、小児科病棟の話です。まず、浜田小夜という歌のうまいナースがいます。彼女は、友達と、夜の繁華街を歩いていて、覆面ライブに招待されます。それは、伝説的な水落冴子という歌手のライブで、彼女の歌を聴いた…

チーム・バチスタの栄光

『チーム・バチスタの栄光』海堂尊 先週から医学小説に手を出そうと決めたので、しばらくは医学小説を取り上げます。まず最初は、テレビドラマも決まったことだし、この作品にしました。 バチスタとは、拡張型心筋症で、拡張部分の切除を行う手術です(正式…

地図男

地図男』真藤順丈 ダ・ヴィンチ賞、受賞作品だそうです。この人は、他にもホラー小説大賞やポプラ社小説大賞を受賞している人だそうです。で、内容ですが、ラップミュージックみたいに言葉が氾濫していて、よく分からないです。それが文学だ、といわれればそ…

崖の上のポニョ

『崖の上のポニョ』映画。 もう、沢山宣伝されているので、今更説明するまでもありませんが、子供向けの映画と思っていたら、大人も楽しめました。特に、街が洪水で水にうもれる場面が、幻想的できれいでした。個人的には、ポニョのお母さんが、美人で怖くて…

パコと魔法の絵本

『パコと魔法の絵本』映画 監督が、『嫌われ松子の一生』の監督と聞いて、見てみました。 実写と紙芝居と、学芸会とCGを合わせたような、めっちゃ面白い内容でした。 内容。ある病院に、滅茶苦茶気難しい元会社社長の老人(役所広司)が入院している。他に…

治験

『治験』仙川環 医療ジャーナリストの書いた医学ミステリーです。いやあ、改行が多くて読みやすかったです。 内容。主人公は、ハローワークから出てきたところで、アメリカ人の男に呼び止められる。一千万(一年間)の報酬で、健康食品の日本代理店をやって…

訣別の森

『訣別の森』末浦広海 今年の江戸川乱歩賞のもう一作です。江戸川乱歩賞は、何年かに一度は、ミステリーというよりも、冒険オタク小説を選ぶ癖があるようで、これも、そっちの傾向作です。 選者の言葉の中にもありましたが、なぞを追うというよりは、轟音を…

20世紀少年

『20世紀少年』映画 浦沢直樹の漫画の映画化です。モンスターは読んでいたのですが、これは未読でした。 内容。1997年、ケンジはロックスターになる夢を諦め、コンビニを経営していた。冴えないケンジの生活が、お得意先一家の失踪、同級生ドンキーの…

ディスコ探偵水曜日

『ディスコ探偵水曜日』舞城王太郎 『阿修羅ガール』で三島由紀夫賞をとった舞城さんです。私も、阿修羅ガールくらいまでは、大ファンで読んでいたんですが、それ以降は読んでいません。今回、久しぶりに買いました。相変わらずです。ミステリー界の川上未映…

妃は船を沈める

『妃は船を沈める』有栖川有栖 『猿の手』と『残酷な揺り籠』の二部構成です。圧巻は、前者。 内容。防波堤から車が海に落ちて、男(盆野和憲)が死亡します。しかし胃の中から睡眠薬が検出される。隣で運転していた人間が海にドボンさせ、自分は泳いでにげ…

誘拐児

『誘拐児』翔田寛 江戸川乱歩賞の受賞作です。いわずと知れた、ミステリーの最高峰です。私も毎年、これには出してみようと思うんですけど、なぜか、出したことがないんですねえ。なぜか?それは、たぶん、タイミングの問題なんですねえ、私のバヤイ。毎年、…

切羽へ

『切羽へ』井上荒野 直樹賞受賞作です。フリンの話と帯に大きく書かれていたので、セックスシーンが出てくるかと思ったら、出てきませんでした。心の変化。プラトニックラブですねえ。とは言っても、心の中で、炎は燃え狂うのですが。 語り口が静かで、淡々…

魔法にかけられて。しらみつぶしの時計

『魔法にかけられて』DVD 勘違い王女と勘違い王子と勘違いナサニエル(召使)と勘違いリスの繰り広げる、ちょっとほろりとさせられるラブストーリーです。 内容。魔法の国からNYへ王女(正確には王女一歩前)が追放されてくる。王女様そのままに、歌い踊り、…

誘拐

『誘拐』五十嵐貴久 内容、孝介は会社でリストラを告げる役。そして、友人が、リストラを告げられ、飛び込み自殺をした。妻子も一緒で、子供は重態。その子は孝介の娘の親友で、孝介の娘も飛び降り自殺してしまう。ここまでは、誘拐とは何の関係もない話。 …

時が滲む朝

『時が滲む朝』楊逸映画はみな、面白そうなのは、来週からなので、何にしようかと迷っていた時に、芥川賞と直木賞が決まったそうで。取り上げるのができてよかった。これは、芥川賞の受賞作です。中国人によるはじめての芥川賞だそうで。となると、『血と骨…

西の魔女が死んだ

『西の魔女が死んだ』小説、映画。 「バッテリー」のような少年小説向け小説でした。品行方正で、文部省推奨のような文章で、小中学生にはいいかも知れないけど、大人には、ちょっと、感情移入のむずかしい文体かな。

スカイ・イクリプス、スカイ・クロラ

『スカイ・イクリプス』『スカイ・クロラ』森博嗣 連作作品ですが、『スカイ・クロラ』は押井守監督で映画になるんだとか。あの、『イノセンス』の監督はんどす。 で、最新作の『スカイ・イクリプス』です。この人は、『女王の百年密室』あたりから哲学的に…

その男、保釈金三億円也。

『その男、保釈金三億円也。』宮崎学(著)田中森一(監修) 『突破者』でヒットを飛ばした作者の初の本格警察小説だそうです。というより、きつね目の男としてのほうが有名かな。 私も『突破者』は好きなので、読んでみました。 感想は、文章が堅い、ですな…

ザ・マジック・アワー

『ザ・マジック・アワー』映画 三谷幸喜監督のコメディだす。簡単に言ってしまうと、『三丁目の夕日』みたいな時代設定(でも、現代だけど)で、アンジャッシュが勘違いコントをやっているような、レトロで懐かしいコメディだす。 町は、全部セットで、とて…

十津川警部アキバ戦争

十津川警部アキバ戦争、西村京太郎 アキバは好きで、誘拐物も好きなので、読んでみました。 アキバの人気メイドが、衣川という画家の死んだ娘にそっくりなので、一日一緒にいたら、娘と勘違いされて誘拐されたっちゅう話です。誘拐されてから初めて、十津川…

図書館危機

図書館危機、有川浩 今週も忙しくて新作が読めなかったので、前に紹介した作品の続きです。これは、図書館戦争の第三部です。今度は、地方からの要請で、そちらに赴くのですが、実際の戦闘が始まる前に、いじめとか派閥抗争とかいろいろとあります。第三部と…