『石見銀山街道殺人事件』『世にも奇妙な物語』「ケータイ三途の川」

 久しぶりに本の紹介です。
石見銀山街道殺人事件』木谷恭介
 内容*「二千八年に日本が国家破産するので資金を海外へ」と謳う投資ファンドに騙されたと、主人公・友野多香子の元へ、古美術商が尋ねてくる。その投資会社には兄が勤めていて、翌日には兄が石見銀山で心中したという報せがはいる。更に兄には、ディスカウント店放火の容疑がかけられていた。心中を装った殺人ではないか? 主人公は宮之原警部に捜査を依頼。放火事件の陰には株売買にからむ疑惑も浮上。
感想*日本が国家破産する、ですか? 良いですネエ。話がでっかくて、思わず手が伸びてしまいました。詐欺は話が大きいほど信憑性があるというのは、昔から有名な話で。前もありましたねえ。オレンジ共済とか、色色。
ストーリーの展開としては、旅情ミステリーですから、ご想像の通りですが、ミステリーもこのくらい大きな設定でないと、面白くないですねえ。多くの人には教えられませんが、『このミス大賞』クラスの大きい賞を狙う人は、この本で株とかの勉強をして、このくらい大きい設定にすれば、かなり高得点かも。
余談になりますが、金は人を鬼にするようです。私の友達は、親の老人ホーム用の資金をこっそり借りてドルを買ったのですが、今はどんどん円高になっているので、毎日頭を抱えています。投資した額が一千万なので、一円でも一万の損。郵政法案が否決されて解散になったときは、今度こそ円安になると喜んでいたのですが、小泉人気で反対になって真っ青。今はネットで小泉首相のあらぬ噂を流す毎日です。
かく言う私も子供の将来で鬼になっているかな? 子供を映像監督にしたくて、毎月DVDを二万円も買い、新海誠監督が出てきてからは映像機材やソフトをどっさり買いこんで、毎月のローンが二万にもなっております(その代わり服は千円均一、鞄や小物類は三百円均一、化粧品はちふれ、靴はリサイクル、髪は千円カットから更に自分でカットになっておりますが)
このブログにDVDの感想を書いているのも、子供映像監督化プロジェクトの余禄のようなものです。
では、余禄をどうぞ。

世にも奇妙な物語』DVD
第一話、雪山:内容*雪山で五人が遭難する。一人の女性は重症で、友達の女性が途中まで背負ってゆくが、力尽きてビバークさせる。残り四人は傍に山小屋があるのを発見。中にストーブもある。火をつけるが小さくて寒い。「暖かいと思えば暖かくなる」と一人がいう。全員でそう念じると暖かくなる。毛布が欲しいと思うと、毛布が現れる。次には眠くなるが、順番で寝ずの番をする。四人なので、一人が起きた時に次の角へ行けば、次の人の肩を叩けるはず。しかし、最後の人は、次の次の角までゆかなければいけないはず。だが、次の角に人がいた。ビデオを見ると女性の幽霊が映っている。それから次々と人が死ぬ。最後に女性が残る。自分も幽霊に吸収された夢を見る。翌日捜索隊が到着。雪穴の中で半分死にかけの女性を発見。すぐそばには四人の死体がある。つまり、四人の行動は、ビバークさせられた女性の頭の中の妄想だった。

第二話、ケータイ忠心蔵:内容*大石内蔵之助がケータイを拾う。自分は討ち入りをする気はないのだが、後世では討ち入りをしたと記述されているらしく、本当に討ち入りしたのかと聞いてくる。大石は何度も止めようと思うが、ケータイではしつこく討ち入りをしたと言われる。家来にもせがまれて、結局討ち入りをしてしまう。後世(未来)、過去の事件をケータイで調べる部署があって、いろんな事件についてケータイをいれている。

第三話、結婚シミュレーション:内容*結婚しようとしている男女が脳波と血液などで将来をシミュレートする。最初は生活習慣の違いで喧嘩、そのうちに子供の面倒を見るとか見ないの問題や、親との同居で喧嘩。離婚する。(途中で一回目覚める。別カップルが浮気で喧嘩)しかし結婚式前に撮影したビデオで仲直り。そこで目が醒める。途中で目が醒めたと思ったのは、実はプログラムの一部。最後は、色々あるだろうけど協力しようとの意見になる。

第一話&第二話からの発想。(上の画像)
『ケータイ三途の川』
 私は海の傍の高級ホテルでバカンスを満喫していた。私はさる新興宗教の教祖である。四十過ぎの熟女であるが、人の話を聞くのが上手で、友達の人生相談をしているうちに、初対面でも相手の悩みが見ぬけるようになった。それに、簡単な催眠術もかけられるので、触っただけで、一時的に痛みを忘れさせることができ、財を築くことができた。
 まあ、催眠術以外にも色々な特技があるが。
「さてと、海で泳いでこようかな?」
 三ヶ月も続くバカンスにも飽き飽きしていたころなので、思いきって沖まで泳いで、スリルを味わうことにする。
 海は荒れているが、人生があまりにも順風満帆で面白くないので、丁度よい。
そう思って泳いでいると、急に魚たちが海面を波立てて逃げて行き、やがて映画で見た黒三角の背鰭が急接近してくるのが見えた。
――嘘。鮫? 
「いや――。助けて――」
 大声で叫ぶと、首からかけているビニール袋の中の防水ケータイが鳴った。鮫は、私の周囲を遠巻きに泳いでいる。怪我をしておらず、血臭がしないから、餌かどうか判断つきかねているのだ。
鮫を回避しながら、ケータイを手に取ると、やり手営業マンの口調で男が喋り始めた。
「ご用意したゲーム・プログラムはお楽しみいただいていますか?」
相手の言う意味が理解できないで、はあ?と間抜けな声を上げると、相手はすぐに事情を説明し始めた。
「いやあ、現世に戻ると、三途の川での契約をお忘れになってしまう方が多いんですよね。実は人間の皆様には、御臨終になって、賽の河原で最後の晩餐をしている時に、望みを一つかなえてあげるのです。その時にあなた様は、人生が上手くいって退屈だったから映画『ゲーム』のような、本当に死の恐怖を味わえるサービスを、とご提案になったのです。で、今体験しているプログラムを用意させてもらったのですが。どうです。一生分の恐怖を味わえましたでしょう。そろそろクライマックスに」
 男の声を遮って、私は懇願の声を上げた。
「待って。そのクライマックスというのは、どういう状態なの? 痛いのは嫌よ。それに、私は、そもそも三途の川に行ったという自覚すらないわ。これは夢なのではないの?」
「困りましたネエ。三途の川ゲームですよ。本物の恐怖ですから、多少の痛さはないと困るのです。それと、第二の質問に対してですが、あなた様は心筋梗塞で眠っている間にお亡くなりになったんです。苦痛はありませんでしたし、記憶のないのも頷けますが」
 その言葉で、就寝中に怖い夢を見て、胸を締め付けられる痛さに襲われたのを思い出した。
「わ、分かった。ならば君の言葉は信じるとして、私も一つ提案があるのだけど」
「ちょっと待ってください。ご提案はまた三途の川の晩餐でお伺いいたしましょう。とりあえず、私はプログラムを消化してしまわないと、今日の仕事が片付きませんので、では、失礼して」
「あ、待って。相談に乗ってよ――。痛いのは嫌よ――」
 あらん限りの声で叫んだが、相手は聞く耳を持たずに、一方的にケータイを切ってしまった。
 同時に鮫が待ってましたとばかりに襲ってきた。
「助けて――」と叫ぶ間もなく、グサッと鋭い歯が肩にくいこんで、メリメリと音を立てて肉が食いちぎられた。稲妻に撃たれたような痛さが体を突き抜け、私は気を失った。手の双眸が大きく開かれ、嘘という言葉と見下した視線が降ってきた。
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