奈落のエレベーター、紅蓮女

『奈落のエレベーター』(木下半太
悪夢のエレベーター」の続編です。
帯から。−−やっと抜け出した悪夢のマンションに再び引きもどされた三郎。彼の前に、殺意に満ちた少女が立ちはだかる。一方、事情を知らずに車で待つマッキーのもとに、男の影が。薬で眠らされたマッキーが目を覚ますと、大切な仲間が惨い姿で転がっていた。自分たちは最初から嵌められていたのか?
(前回まで)三郎は、管理人を殺してしまった。カオルは、姉の夫の浮気相手である陽子の部屋に入った。殺そうと思っている。マッキーは車の中。




『紅蓮女』(上甲宣之)
「このミステリーが凄い大賞」から出てきた人です。まだ新阪急ホテルでベルボーイをしているんだそうです。タクシーからお客が降りてくる度に、こいつは本当は口裂け女のコスプレが好きなんじゃないだろうか、とか、こいつは夜な夜なドラキュラに扮装して徘徊しているんじゃないだろうか、なんて妄想しながら、接客しているんでしょうか? 一度、口裂け女の衣装でお目にかかりたいもんです。
『告白」以来、短編連作が話題なので、私もそっちを勉強しようと思って取り上げてみました。
帯からーー陰気で友達も恋人もいない史代は、周囲からダメ教師のレッテルを貼られ、敬遠されている。そんな彼女の生きがいは、ちまたで有名な幽霊「紅蓮女」の変装をして人を驚かすこと。怪奇スポットや自殺の名所を徘徊し、その場に居合わせた人々を怖がらせること。口裂け女。都市伝説パーティ、生き神信仰、呪いの手紙、電話男ーー徘徊先で遭遇する事件に、紅蓮女が立ち向かう。





来週は『交渉人』と『スイート・リトル・ライズ』の予定。
今週は、「パレード」も見てみました。小説を読み始めて、たいしておもしろくなくて、期待していなかったのですが、途中から後半がよかったですねえ。特にサトルが出てくる頃から。
杉本良介、大垣内琴美、相馬未来、井原直樹の4人はマンションで共同生活をしている。琴美は、売れ始めた俳優とつきあっているが、なかなか電話が来ず、待っている毎日。良介は、友達の姉を好きなんだけど、告白できない。でも、思い切って告白しろと皆に言われて、その部屋にゆく。すると、相手が積極的で、すぐにセックスをしてしまう。(この辺まではつまらない。ミステリー以外のジャンルだと、セックスしかねえのかよ、って感じ。でも、サトルが出てくるとおもしろくなる。)
サトルはおカマさんをしている。つまり、売りのほう。ある日、未来が、酔っぱらって、強引につれてきて、同居を始める。
ある日、直樹が町で彼を見つけて、尾行すると、ある女性の部屋に、鍵をこじ開けて入ってゆく。泥棒でもするのかと思うと、違うんだよね。その女性の写真をみて、マスターベーションするだけ。これって、すごくない? 完全に予想を裏切られたね。だって、普通はどう考えたって泥棒か、強盗じゃん。それが、何もしないんだよ。ただ、その女性が気に入ったので、こっそりはいって、マスターベーションするだけなんだよ。脱帽だわね。
このサトルは、意外と、硬派で、未来が、こっそりしまっておいた、レイプのビデオを、「こんなのダメだよ」って言って、勝手につまらないドラマをダビングしちゃうんだよ。これもおもしろかったわね。
最後には、この近辺で続いている連続殺人犯の正体もバレルんだけど、まあ、これは、付けたしみたいで。
全体的に言うと、悪意とも言えない悪意にあふれていて、ジワーンとおもしろかったわね。

あと、今週興味をひかれたトピックは、ゴールデンアワーでやっていた内容。子供手当は、国籍に関係なく、外国人の両親でも、日本に在住していれば、払われるって点。これはいいわ。これからは日本も国際化しなきゃだめだから、これはいいことよね。