盤上の敵

「盤上の敵」(北村薫
主語が書いてなかったり、主語が書いてあるので、その人が主人公かと思ったら、あっさりと殺されてしまったり、進行と関係のない思い出話が延々と挿入されたりと、一読しただけではよくわからない。非常にトリッキー。
でも、おおまかな筋を示してみると。
主人公はテレビ局のディレクター。最初からは出てこない。最初は瀬川という男の描写から。瀬川はカモ猟が大好き。早朝、鴨猟に行く途中で、自転車の男を引いてしまう。すると、男が車に乗り込んで来る。そして、瀬川は猟銃で撃たれて殺されてしまう。
場面は変わって。主人公。家に帰るちょっと前で、家の周りが警察に包囲されているのを発見。警察に聞くと、瀬川を殺した犯人が、家に乗り込んで、奥さんを人質に立てこもっているという。テレビ局に電話。シメタというニックネームの上司に、中継を申し込む。
それから、友達の梶原の家に行って、車を借りる。
ここで場面は急に変わって、ある女の回想。
何回にもわたって、延々と挿入される。総括すると、お隣さんから犬をもらった。それを友達の兵頭三季に殺された。
その後、友達の三季にねたまれた。三季は男たちをそそのかして、ある女を襲わせた。ある女は多重人格になってしまった。その後、三季は襲った写真を夫の主人公に送ってきた。ここでやっと、ある女とは、主人公の妻だとわかる。
で、事件に戻って。
主人公は家に電話をした。犯人と取引をする。夜、梶原の車で家に乗り付けるから、乗り移れというもの。そのとき、家には「妻の死体」がある。「妻の死体」と犯人は思っているが、実は違う。犯人が突入する直前、妻の友だちの三季が妻の暴行写真をもって、妻に見せに来た。それで妻は友達を殺してしまった。
主人公は、その直後家に帰って、失神している妻を発見。とりあえず、ホテルに移送。そのあと帰ったら、事件が起こっていた。
夜。主人公は、梶原の車で家に乗りつけ、暗闇の中で、犯人としたいを乗せて逃げる。そして、妻に電話して、同じ型の車をレンタルで借りてきてもらう。そして、暗い河川敷でのなかで、無灯火で、走って、車をすり替える。
妻の車が停車。主人公に言われて、ガムテープで手首を縛っていた。「犯人は逃げた」という。警察に。
一方、主人公は、梶原の車で、逃げた。妻が毒薬を鬢に入れておいた(自分が死ぬため)。それをコーヒーに入れて犯人に飲ませた。犯人は失神。主人公は、犯人と三季の死体を海へ捨てるつもり。
感想。非常に分かりにくかった。家から犯人を連れ出す場面は、あまりリアリティがなかった。

あと、
今週面白かったのは、西村京太郎の。
お嬢様大学の同窓会の後、Aが階段から突き落とされて死ぬの。Aは威張っていたし、Aの夫はリフォーム詐欺をしていたし、殺される理由はいくらでもあるの。
ところで、Aは金遣いが荒い。だれかをゆすっていたらしい。そのネタは何?
ところで、16年前、主人公の妻は、空きビルで、B(今は医師)が襲われそうになっているのを発見。犯人を追いかけたの。犯人は、捕まったの。名前は近藤。彼は、そのあと、ビルから飛び降りて自殺。この事件の後、BはしばらくC刑事(今は警備員)の家に世話になって、Cの妻をお母さんと呼んでいるの。
さて、近藤は、16年前、ある女子大生とホテルの入るところを写真にとられていたの。その写真がAの遺物から出てきたの。つまりAはその写真で、一緒の少女をゆすっていたの。その少女が誰か、を調べるの。耳が見えているので、お嬢様大学の卒業写真を使って、照合するの。すると、Bだったの。つまり、AはBをゆすっていたの。でも、Aが死んだあと、D(大学の同僚)が来て、主人公の妻の物を落としたの。だから、妻が容疑者とされたの。そのあと、妻が来て、逃げたから、よけい怪しく思われたの。
で、Bを特定できたのは、Bの母は心臓病で、その薬を飲ませて、空がそこに落ちていたから。さらに16年前、近藤は、飛び降り自殺したのではなく、Aを襲ってその写真を撮って、ゆすりをしようとして、ビルから落とされたから。
感想。いつもの西村と違って、殺しが少ないから、退屈だったわ。

追伸。
この前、腸が痛くなったの。で、都立病院で注腸してもらおうと思ったら、一か月も先の予約だったの。そんなに待てないじゃない。もし、癌だったら、進行してしまうし。それで、府中の医王病院へ行ったの。そこなら早いから。次の日の検査でもできるし。
胃カメラなら、朝食を食べてこないなら、その日でもできるの。ここは。
そしたら、検査は次の日に決まったのだけど。医者の見解は、メトグルコの副作用、というもの。メトグルコは糖尿病の薬なんだけどね。食事をした後痛いなら、薬の副作用が一番ありうるって言われたの。副作用の本を調べたら、あたっていたんだけどね。癌なら、一日中痛いんだって。で、解決したんだけど、やっぱ、私立病院は早くていいわね。