春の魔法のおすそわけ

「春の魔法のおすそわけ」西沢保彦
この人は、本当に天才だと思うわ。これは軽いのよ。超軽いの。でも、読んだ後、やっぱりやられたと思うの。こういう軽いのいいわ。
主人公は、九段坂の駅をでたところで気が付くの。昨晩、飲みすぎて、記憶がないの。でもって、バッグも変わっているの。自分のポシェットがなくて、大きなバッグ。中には2千万の現金が入っている。でも、自分は小説家で二千万くらいの貯金hあるの。だから、取り間違えた人が、カードで下そうと思えば、下せる。バッグには保険証も入っていて、暗号は誕生日だから。つまり、現金と通帳を取り換えたようなもの。ならば、使ってしまってもいいじゃん、との結論に達する。そこで、お堀端で桜見物をしていると、男を買うことに決める。それも、2千万で。いやというはずがない。こういうところが普通じゃないから、いい。
で、見回すと、若い男で、タイプの男がいる。相談をもちかけてみると、OKの返事。で、ホテルへいく。そこで、抱き合いはじめるが、酔いすぎていてだめ。それで、話をする。すると相手は、結婚相手が主人公のそっくりで、それも、死んでしまったので、落ち込んでいた、と話す。おまけに、その相手の財産を整理したら、2千万だった。
主人公は、あまりの偶然に呆然とするが、そんなこともあるかと、軽く考える。そして、これが夢なら、ありうるかも、なんて、想像する。
で、いつの間にか寝てしまって、起きると、2千万が消え、自分のバッグが置いてある。
これを担当者に相談する。すると、担当者が謎をといてくれる。それは、バッグを取り違えた相手が、そもそも一緒だった相手だった、というもの。つまり、その相手は、主人公がタイプだったので、バッグを取り違えた後、ずっと尾行してきた。そして、わざと自分を買わせた。というのも変だけど。買ってもらった。さらに、もっと深い推理もするんだけど、それは読んで。
超面白かったわ。