夢は枯野をかけめぐる

「夢は枯野をかけめぐる」西沢保彦
1・迷いゴミ。
羽村雄太は同級会で、加藤理都子にごみの仕分けを頼まれる。理都子の両親がボケで、トレー入りの食品を大量に買い込んでくる。それを自宅で仕分けていたが、夫に嫌味を言われた。「兄もいるのに」と。それで、雄太にバイトとして頼んだ。でも、母を尾行していた理都子の娘がそれを発見。一緒にやることになる。

2.戻る黄昏
博雄の父の宗則の元に、博雄が車を預けにくる。マンションの外壁の塗り替えで、車を止める所がなくなったのだとか。
父がそこへ行ってみる。すると、塗り化は数週間前に始まっていた。それで、なぜ、今になって車が故障したことにするのか、推理。
博雄の妻の有紀子は、毎週末、ボケた妻の両親の元へ、自然食品のおかずを届けに行っていた。それの運転が、往復4時間。それに付き合わされてうんざりしてきたのではないか。
それは合っていた。

3.その日、最後に見た顔は。
陶子、スーパーで市原に会う。20年前。スーパーの前で、母が車にはねられて死んだのを思いだす。その頃、そこは市の会館だった。6歳だった陶子は、母が会館に入っていくのを見た。自分はその後ろから入った。母はノーメークだった自分がトイレに入っている間に、会館から出て、道路に飛びだして、車にはねられた。
運転手の話では、自分から飛び込んできたようだ。とのこと。その辺を推理してみる。その日、市原を見た。母は、再婚。もしかしたら、市原は母の子?だったのでは。
子供を見つけて、慌てて飛びだした。ノーメークだったのは、子供が来るという情報があったのでは。でも、推理はそのまま推理。

4.幸福の外側。
博雄の妻、雪子は、自然食レストランのオーナーの佐智子に信頼されている。佐智子の父が死んで、家と土地が佐智子のものになった。佐智子はそこをレストランにして、雪子を主任にしようとしている。そして、副を雄太に頼んだ。それを聞いた博雄は、佐智子を責めた。すると、佐智子は、雪子は、優秀だから抜擢したまでで、博雄が自然食についてゆけないのなら、離婚すれば、という。雪子に惚れていた博雄は、嫉妬もあり、自分が副をやるという。

5.卒業。
詩織はタクジンからプロポーズされる。タクジンは旅館の息子。跡を継ぎたくないのプロポーズしたんじゃないか、と友達から言われる。しかし、詩織は雄太が好き。それで、悩む。そんなとき、佐智子が交通事故。雄太は行く。

6・夢は枯野をかけめぐる。
佐智子が交通事故で大けが。雄太がかけつけると、雄太に結婚してくれないかという。でも、実は、あれから30年もたっている。佐智子はボケていて、それに気が付かない。
感想。これも、「葉桜のころ」みたいで、驚く。