吉原暗黒譚

「吉原暗黒譚」誉田哲也
吉原で花魁殺しが続いた。花魁と言っても、ちょっと下の格の花魁。三人は女衒の丑三が賭けで借金を作った揚屋の主から千両で借りて、中程度の揚屋に三年千両で貸し付けたもの。
お茶屋に呼ばれて花魁道中をしている最中に、黒い狐面の男たちに襲われて斬られた。吉原中では、丑三に恨みがある者の復讐ともっぱらの噂。
吉原は幕府の管轄である。入り口には番屋がある。今村圭吾は同心。重い腰を上げない幕府(花魁は人として格は低いから)に匙を投げている丑三つに500両で片を付けてやると持ちかける。今村には相棒がいる。彩音という。
忍びの娘として生まれ、吉原に売られ、見受けされ、その相手を殺して、今は売れっ子の髪結いをしている女。
彩音は色々と情報をもってくる。
一方、時々、「私」の回想が入る。呉服問屋に生まれ、母は花魁で、子供が自分に似ていなかったので、父から折檻をうけた。あるとき、盗賊が入り、一家皆殺しになったが、縁の下におしこめられていたので、一人だけ助かった。そして、揚字売りの看板娘になった。それがおよう。
一方、もう一人の人物の描写も入る。宗吉。同じ長屋におようと住んでいる。好きなのだが、おようはあいまい。おようは時々、狐つきみたいになる。宗吉が調べると丑三つはおようの家を襲った盗賊で、目の前で父を殺した。おようは、自分で殺そうと思っていた父を殺されて、丑三つに恨みを持った。
さて、吉原。4人目の花魁が、今村の目の前で殺されそうになった。塀を切って逃げようとしたとき、元隠密同心の本田千衛門が出てきて、狐面を引っ張った。
それは、糸を引くと、爆発する仕組みになっている。面は爆発し、賊は斬られた。一人が逃げた。
本田は、今は老中直で、500石になっているらしい。でも、今村は知らないので、500両を半分もっていかれると心配。本田は仙吉と名乗り、丑三つと直談判していた。
さて、あるとき、おようが狐月みたいになって、丑三つを殺した。
この時、本田がそばにいた。
それで、今村はこのからくりを解く。
幕府は吉原の上がりを吸い上げていた。しかし、丑三つの貸花魁は、合法的に幕府に入る金を横取りするものだ。それで、丑三つを殺すために狐男たちを仕立てた。
丑三つの元に、花魁を走らせないため。
最後に、おように催眠術をかけて、丑三つを殺させた。
感想。よくわからない。揚屋の主が賭け事で数千両の借金がある。そういう主が数十人いる。というのが前提だが、そんなにいるかなあ?