人魚姫

「人魚姫」北山猛邦
アンデルセンの人魚姫が、ナポレオンの時代に、デンマークの王子を殺したという物語。いいのよね。こういうファンタジー。ほんわかしていて。心が温まるのよね。で、ミステリーだから、XXであるならば、XXでなければならない、など、理屈は相当うるさいけど。
物語は、アンデルセンが少年のころ。海で、人魚に会うの。その人魚は、あの、デンマークの王子に恋して、魔女に足を作ってもらったんだけど、デンマークの王子がスエーデンの王女と結婚したので、恋敗れ、王子を殺すこともできなくて、泡と消えた人魚の姉なの。で、ミステリーはここから始まるの。
泡と消えた日から二日後、その王子が、離宮で殺されているの。で、凶器は魔女の刀(いびつな奴よ)。なので、泡と消えた姫が、亡霊となって、復讐したんだとか、人魚姫の姉妹が復讐したんだとか、囁かれているの。
人魚姫の姉のセレナは、魔女に心臓を預けてきているの。7日で謎を解かなきゃ、心臓が止まって、死ぬの。(この辺がファンタジーね。頭が柔らかくなきゃ、ついていけないわ)。
情報を整理すると、朝の10時に王子は馬に乗って、人魚姫を探しに行ったの。午後の4時に、ラーセン(庭師)が馬が帰っているおを目撃。午後の5時から5時半、絨毯の張り替え。これは王子の部屋よ。王子の妻のルイーズが立ち会い。その後、部屋は、鍵をかける。6時、海に面したベランダで、王子が殺されていたのが発見。海からなら、短剣を投げて殺せるから、人形姫の姉たちが強く疑われいるの。
で、アンデルセンは、グリム(画家)と出会うの。グリムは、兄が童話で有名。なので、この離宮の図書館を管理しているA伯爵夫人に案内してもらって、二人は、離宮に乗り込むの。それで、ラーセンや絨毯屋と会うの。ルイーズ姫にも。皆、とてもまじめで、殺しなんかできそうにないの。それで、この章の途中には、童話も差し込まれるの。その中で、人魚姫が魔女を殺したことなんかも語られるの。
で、魔女の短剣は、魔女の、左の肋骨の13番目を削って作られるの。で、本編に戻って、魔女の死体が流れ着くの。でも、その魔女の13番目の肋骨の切り口と短剣の切り口が合わないの。
だから、魔女は二人いたの。もしくは、短剣も二つあったの。と推理づけられるの。
で、殺人の謎解きだけど、ずばり言えないから、ヒントだけ。テコの原理を使って、死体をベランダに投げこませたの。これなら、女でも可能。これ以上は言えないわ。
それから、人魚を王子を殺さなかった動機も、恋に破れたから、ではなくて、色々あるの。とにかく、面白くて、ほんわかするから読んで。こういうの、大好き。

追伸
脳梗塞がだいぶ良くなったわ。血液サラサラにする薬ノンで、リハビリ。進歩しているのね。