水難女難

「水難女難」幡大介
大富豪同心の第7弾です。まずは帯から。
梅雨の長雨で、関東全域が洪水罹災し、江戸の米蔵も水没。コメ不足に陥り、大混乱の江戸の町。その期を利用し、吉原の不幸な女を束ねる一方、町民を先導氏、打ちこわしを企む、元盗賊の残党、お峰。偉いは、同心八巻卯之吉暗殺と、豪商三国屋の財力。不穏な空気に、包まれ町奉行所の警戒が厳しくなるなか、絶対絶命の窮地に立たされた卯之吉。
さらに詳しくいうと。
水害で、将軍や札差の蔵は、一階のコメが皆やられてしまったの。で、梅雨期で、むれるから、早く出さないと、二階の米までダメになりそう。
さらに、群馬をはじめ、各地の天領もやられたの。さらにさらに、残っている天領からコメを運ぼうにも、堤防が壊れて、道が水浸しだから、第八車がつかえないの。
それで、江戸の備蓄してあるコメは、江戸市民の5日分の食料しかないの。
で、5日後、コメの値段は、4倍に跳ね上がり、打ちこわしが始まりそうな不穏な雰囲気が広まるの。そんなとき、打ちこわしを扇動してまわる輩が出るの。当然。
それには二通りいて、義をもって扇動している輩と、三国屋を襲って、残り金を奪って、八巻を失脚させようという輩。
前者は、村の農民の窮状を訴えようとして出てきた、浪人、松川八郎べえ。後者は、山海房の悪党の一味。とお峰。
両方が手を組んで、町民におにぎりなどを配って、挑発するの。
で、三国屋は、江戸中の札差を集めて、できるだけ、金を集めて、堤防の普請をするよう相談するの。自分も10万両の有り金全部を普請のために吐き出すの。その金は、本田出雲の守を通じて、全国の人足の手に渡ったの。
で、いよいよ打ちこわしが始まろうとしたとき、堤防の改修がすんで、天領から運んできたコメが届くの。それでさっそく、前の値段で売り渡すというの。それで、打ちこわしはされずに済んだの。
当然、山海房たちが八巻を襲おうとして計画もオジャン。
感想。壮大なスケールで、面白かったわ。チャンバラのないのは、大好き。時代劇って、チャンバラさえ入ればいいと思っている輩が多すぎて、どいつもこいつも同じでつまらない。