絶叫

3・13(金)
「絶叫」葉真中顕(小説)
この前紹介した「ロスト・ケア」の人の第二弾。「ラスト4行に驚愕」と帯に書いてあったので、買ってみました。
話は単純です。国分寺のマンションで、ある女性(中年)の死体が発見される。死んでから半年くらいが経っていて、かなり腐敗が進んでいる。
それを担当の女刑事が調べていきます。それに挟まって、死体(私)の告白があります。ただ、私のことを「あなた」と呼んでいるので、結構奇異な感じがします。その謎は、最後に解消されます。それはドンデン返しに微妙に絡んでくるのですが。でも、大概の話は単調で、ちょっと退屈です。おおざっぱな感想は、「後妻業」みたいな感じです。ではもう少し筋を詳しく。
プロローグ。2014年3月4日、午後2時。警視庁刑事の綾乃は新人刑事一人と国分寺のマンションへ行った。そこの住民が家賃を滞納していて、おまけに臭いとの苦情があり、オーナーが入ったら、女性が死んでいた。半分白骨化していた。それで、呼ばれたのだ。
住民の名は鈴木陽子。ペットのネコが死んでいた。が死体は多くの部分を猫に食べられていた。
第一部.1.「あなた」と呼んで、語りが始まる。
「あなた」の名は陽子。1973年10月21日生まれ。Q県三美市で生まれた。二年後に弟が生まれた。名は純。両親は弟ばかり可愛がった。小学校の時、山崎先輩に初恋。父は母を殴っている。
1. マンションの住人は鈴木陽子。血縁者を探さねば。婚姻歴がある。預金通帳から、最後に引き出したのは、去年の10月。なので、10月頃に死んだと断定。
☆、千葉俊延(江戸川区の所轄)の証言。
神代という人の家から、「人が死んでいる」との通報があり、駆け付けました。神代武が刺されて、血まみれで死んでいました。
3・「あなた」(陽子)の部。
弟の純がいじめに逢っていた。弟はアスペルガー症候群。平成になったとし、純が車にはねられて死んだ。飛び込んだらしい。遺書が見つかった。「死にたくなったから死にます」。それから、陽子の前には、純の幽霊が現れるようになった。
2. 陽子の本籍地「狭山市」へ綾乃は向かった。家を発見するまで。元夫(離婚している)は死んでいた。
☆児玉健二(警視庁刑事、神代の担当)の話。
神代武は、NPO法人「カインド・ネット」の代表でした。同居人は、梶原仁、山井弘明、渡辺満。神代の愛人(警察に電話した人)については、姐さんと読んでいたようです。八木徳雄(神代を刺したと自供した人)という男も登録されていたが、三人は知らないといった。
5・「あなた」(陽子)の部。
陽子は高校卒業して地元の会社へ就職した。給料は12万。恋人ができた。6年後、バブル崩壊があった。父が出ていった。
6.綾乃は市役所へ。
2011(平成23)年、2月1日。鈴木陽子は、新垣晴彦と結婚していた。そして、平成23年、12月10日、新垣も交通事故で死んでいた。直後に、鈴木陽子に名前を戻している。その直後、あの国分寺のマンションに入居。その半年後、平成24年、7月1日、陽子は、沼田太一と結婚した。
☆、手塚学(NPO法人、「助け手」の代表)の話。
「カインド・ネット」の黒いうわさは有名だった。貧困者支援をうたっていたけど、本当は、彼らに生活保護を受けさせ、そのほとんどをピンハネしていたんです。
7.陽子の部。
父が3200万を借りて、夜逃げした。取立て屋がやってきた。家が担保に入っていたので、とられた。家をでて、アパート暮らしを始めた。弟の幽霊がよく出る。山崎が現れ、結婚。
8.綾乃は、山崎に逢いに行った。最初の夫。陽子の写真をもらった。綾乃は彼に言った、
「陽子さんと結婚して、生き残っているのは、あなただけ」
☆、被告人、八木徳雄の話。
神代さんの家で、陽子さんと暮らしていました。神代さんを殺しました。神代さんには、ホームレスをしているときに拾われました。でも、殺してくれと頼んだのは陽子さんです。
9.陽子の部。
2006年、10月21日。コールセンターで働き始めて、2年。山崎が連載を下ろされた。別の好きな女性に子供ができたから、別れてくれと言われた。別れた。コールセンターでの手取り15万。ハローワークで声をかけられた。「親和生命、栗原良子」といった。もうかると言われて、保険の外交の仕事を始めた。
10.綾乃の部、特になし。
☆、八木徳雄の話。
かいんど・ネットで、陽子さんに逢いました。
11.陽子の部。
栗原さんが、体で契約を取っていると聞いた。芳賀(男性)に親切にされていて、うらやましかった。自分もやろうと思った。
12・綾乃の部。
陽子の戸籍を調べた。次から次へと9人の男と結婚していた。そして、相手全員が、1年以内に死んでいた。それも、全員が交通事故。そして、その死亡した夫を轢いた男と、次に結婚していた。全員が、かいんど・ネットの社員だった。
☆、八木徳雄の証言。
カインド・ネットの内情。どうってことない話。
13陽子。
栗原が頭打ちになって、辞めた。芳賀が誘ってきた。でも、セックスはしない。陽子が頭打ちになった。佐多という若い社員が入ってきた。体で契約をしていると言った。芳賀にいいつけた。それの何が悪いと言われた。自分も体で契約を取った。
14、綾乃。
陽子の同級生にあった。保険の外交をしていた。派手だった。
☆、八木の証言。
他愛ない神代の話。
15、陽子の部。
体で契約を取っていた。芳賀が移動になった。落胆した。買い物依存症になった。
16、綾乃の部。
陽子の保険外交時代の話を聞いていた。総べてが派手だった。マンションへいった。臍の緒が落ちていた。「陽子」と書いてあった。
☆、八木の証言。
神代から、陽子の夫を車でひき殺すのを命じられた。世話になっているので断れなかった。そして、結婚した。
中略。
陽子は、保険時代の同僚の佐多をマンションへ呼んだ。臍の緒を持っていると言ったので、もってこさせた。そして、衝撃のドンデン返しへ。