堕ちる

3・12(木)
「堕ちる」小説。林由美子。
この前紹介した「逃げる」の人の前回作。日本ラブストーリー大賞受賞後の第三作。
今まで、ミステリーしか読んでなかったので、トリックが書けなくて、小説も書けないと思っていたけど、こういうストレートなのを読んで、これなら私も書けると思ったわ。目の前がぱっと明るくなったわ。
まずは帯から。
口外の一戸建てに住む主婦、純代は、夫の雄一と一人娘の加のとともに、平凡ながら幸せな毎日を過ごしていた。ある日、パートのシフトカットを受けて、家の不用品をオークションに出そうと考えた純代は、スーツケースの中から、見知らぬセーラー服を見つける。パート先で聞いた制服泥棒の話が頭に浮かび、純代は、夫への疑念を抱くが。主婦の転落人生を圧倒的なリアリティで描いた、傑作サスペンス小説。
もう少し詳しく筋を。筋はいたって単純。夫が女子高生の制服を隠しているのを見つけた妻。それを盗んだのが夫じゃないかって疑って、やきもきする話。ちょうど同じ頃、近所で、痴漢が出て、女子高生が、制服をくれと迫られる事件があって、妻は、絶対に夫だって核心をもつの。でも、確信をもってから、四分の三くらいまでは、事件が起こらないの。その辺は退屈。ただ、お金が足りなくて、ねずみ講まがいの石鹸の販売に手を染めて、そこに高い材料を買わされて、月の支払いが19万にもなっていることなんかが、延々と語られるの。
でも、最後、四分の三から超面白くなる。夫を尾行していて、女子高生をみつけるの。彼女は言うの。「若い男に制服をくれってせがまれたの。マスコミにちくってやる。」って。そして、顔の特徴をペラペラ話し始めるの。それで、困って、女子高生を殺してしまうの。
しばらくすると、警察の捜査が始まるの。困った妻は、夫に話て、娘と一緒に遠くの温泉に逃避行に行こうと決心するの。でも、その途中で、とんでもないドンデン返しが待っているの。超面白いから、読んで。

情報。
超辛口、アサヒのドライ・クリアー。