ずっとあなたが好きでした

3・21(土)
「ずっとあなたが好きでした」小説。歌野晶午
短編集です。この人のも漏れなく買うの。はずれがない。今回のは恋愛小説集ということだったけど、中々鋭いオチがついていて、面白い。
1・ずっとあなたが好きでした。
大和はスーパーでバイトを始める。美知穂が好きになった。バイトの場所が同じなので、ランチとか一緒にとった。それを宗像主任が裂きにかかった。大和を段ボールの整理場所に押しやり、段ボールの整理ばかりさせる。美知穂とはランチの時間をずらされてしまった。一緒に食べることができない。さらに、一回縛った段ボールの束をわざと切って、もう一度やり直させている。大和の手はがさがさになった。それで、辞める最後の日に、わざとソースを相手に服に零してやった。食ってかかってやった。そしたら、「君が好きだから、いじわるをした」と言われた。
感想。なかなかだね。
2・黄泉路より。
五十嵐と朋子とあと二人は富士の樹海で練炭自殺をすることにした。レンタカーを借りて、そこへ行く途中に、日帰り温泉へ立ち寄ったりして、時間を稼いだ。というのは、五十嵐は、朋子を好きになってしまったからだ。で、朋子にこっそり相談した。死ぬのを辞めようと。でも、朋子は死にたいと言った。後の二人に悪いからと。で、さらに相談を持ち掛けた。睡眠薬を飲んだふりをする。で、他の二人が死んだら、逃げようと。朋子はOKした。で、薬は飲まないで、眠ったふりをした。だが、気が付くと、他の三人は死んでいて、自分は、娘に車から出されて、助けられていた。朋子は別人になっていた。
それで、思い出した。ここへ来る途中に、娘に、樹海で死ぬとメールしたことを。
で、警察の見解。あなたが眠ってから数時間たっている。練炭は、隙間が空いていたので、充満しなかった。その間に、男二人が、あなたのカードで、限度いっぱいの買い物をした。店の防犯カメラで確認。さらに、朋子が知らない女に変わっていた点について。
警察の見解。本当の朋子さんは、詐欺師二人に騙されて、数千万の借金があった。それで死ぬ気になって、自殺サイトで相手を探した。しかし、ブス。なので、現場へは、詐欺師は、別人を送った。そして、実際の睡眠薬は、水の中に混ぜて飲ませた。三人が眠ったので、本当の朋子さんにすり替えた。睡眠薬を飲ませてあった。
そして、あなたのカードを盗んで、買い物をした。その二人は逮捕した。その後、娘さんが到着して、あなたを助けた。五十嵐は生きる気になった。
感想。長編になりそうなネタ。
3・遠い初恋。
北海道。弓木は、東京からの転校生の有坂さんを好きになった。有坂さんの家に行った。ネックレスを盗んだ。その次の月曜日。有坂さんが、ネックレスがなくなったと言い出した。筆箱の下の団に入れておいたはずだと。でも、先生には言わなかった。禁止されているから。私物をもってくるのは。
有坂さんはクラスで浮いた。ある日、椛島が、私がやったと言った。ネックレスは返された。実は、本当は、弓木が椛島に話て、そういうことにしたのだ。
ある日、弓木は、謝るために、自転車ででかけた。住所は書いてもらっていた。
小樽の石山から、札幌の石山まで。かなりある。途中で自転車がパンクした。トラックに載せてもらった。ところが、とのトラックが途中で反転して、札幌へ戻ってきてしまった。だから、小樽の石山ではなかった。
感想。なかなか切なかったわ。
4・別れの刃。
継世は、演劇部の先輩の鈴子さんを好きになった。鈴子先輩は、徹底的に役に嵌る人で、棒のような演技でも、秀逸だった。今回は、サガンの「ブラームスはお好き?」のパロディで、「ワーグナーはお嫌い?」をする。二股をかける役をする。それで、バイト先の店長と恋に落ちるふりをして、二股の練習をしている。でも、私も鈴子先輩が好きなので、尾行した。そしたら、アパートの玄関で、血だらけで倒れていた。そして、奥から、包丁をもった女が出てきた。その包丁が血で染まっていた。本当に二股をかけ、演技の勉強をしていたのだ。
感想。フランソワーズ・サガン。なつかしいわ。80年台、前半、夢遊病のように流行ったもんね。