さようならは、明日の約束

4・22(水)
「さようならは、明日の約束」西澤保彦
この人も、大好きな人。今まで、ワープとかサイキック(それも不完全)とか、いろいろやってきたけど、これは、地味。超地味。でも、超推理。なんでもない謎から、とんでもない推理に発展する。それがすごい。
1・恋文
主人公のAバーサンと孫のエミールが書庫の整理をしえいる。本の間から、ヒッチコック宛ての手紙が出てくる。Aバーサンには書いた記憶がない。どうやら、日付をみると、大学時代、ルームシェアをしてたB子が書いたらしい。封を切ってみる。「私が殺されたら、C,Dが犯人に違いありません」と書いてある。
CはAバーサンの結婚した人。Dは知らない人。でも、昔、E助手が焼身自殺した時に、女を奪いあったと噂された人。
つまり、DはEには恨みがある。さて、住所をもっと詳しく調べてみると、滅茶苦茶。でも、逆さに読むと、「見知らぬ人」。これはヒッチコックの有名な作品。交換殺人。それで、エミールはこう推理。Aバーサンの同居人のB子は、Aバーサンが好きだった。でも、結婚する予定。で、DにC男(Aバーサンの婚約者)を殺してくれと、頼んだ。その代わりに、自分がE男を殺す。だが、E男は焼身自殺。で、子の話は、立ち消えになった。そして、B子の書いた手紙も出されることなく、書庫にしまいっぱなしになった。
感想。なかなか面白かったわ。とんでもない推理というのは、作者の想像力。子の話では、「見知らぬ人」→交換殺人というのがミソ。
2・男は関係ない。
A男(50代)はエミールとエミールの母親について話をしている。母親は、B先生の子供を宿して、高校を辞め、子供を出産。ポルノっぽい女優になって、最近、死んだ。でも、美人だったので、ストーカーをしていたC先生につきまとわれ、逃げ回っていた。さて、そんあ時、d先生が、ピンク電話の近くの部屋にいて、出てきて、C先生に叱責されて、心臓発作で死んだ。最後の言葉は、『男だけって言ったのに』だった。これが、ずっと、A男の心に引っかかっている。その謎解き。
30年前。学校のピンク電話はダイヤル式。女子高生が3人、そのあとがA男(エミールの母親の弟)。で、A男の前で女子高生が途切れて、D先生が出てきた。その時、C先生にひどくなじられた。それは、どうしてか?
ここからが推理。推理の飛躍がすごい処。C先生がエミールの母親の行方を探すために、D先生に電話の盗聴を頼んだ。女の友達が知っていると思って、「女だけ」と言ったのだが、あの時、A男は、エミールの弟だから、エミールの住所を知っていると気が付いて、盗聴を辞めたD先生を怒鳴った。ピンク電話はダイヤルというのがミソ。戻るスピードで、ナンバーがわかる。これで、謎が解けた。感想。すごい。

他にもすごいのが二つ。