『ドラムライン』『タップドッグス』DVD

この二つはDVD二枚組で1980円で、超お買い得です。両方とも脚本は非常に良く練れているし。

ドラムライン』チャールズ・ストーン三世監督、20世紀フォックス配給、米映画
内容*アメリカの大学のブラスバンドにドラマーとして入った生意気な男の子が、様々な葛藤を経て、成長してゆく話です。
感想*たったこれだけの話なのに、随所に大規模な演奏シーンが入るので、全然退屈しないです。さすがハリウッドの脚本家はすごいです。メリハリがあって、職人ですね。

『タップドッグス』デイン・ベリー監督、20世紀フォックス配給、オーストラリア映画
内容*オーストラリアの辺鄙な港の生意気な少年が成長してゆく話。タップはうまいのだけど、喧嘩が早く、劇場での仕事をクビになって、自分たちだけのタップグループを作り、閉鎖された鉄工所でショーを開く。
感想*脚本はいろいろと詰め込んであって、タップもいろいろと工夫してあって退屈はしないのですが、もの足りないんですね。で、どこがいけないのかを『ドラムライン』と比較してみました。

前者は、派手ですね。悪役がいるんですよ。意味もなく悪賢く強い悪役が。こいつが敵の大学のブラバンを指導しているんですが、やることが派手なんですよ。たかが大学のブラバンの全国大会なのに、超有名タレントを招いたりするんです。
日本で言えば、ミスチルかB’sか安室奈美恵クラスのタレントです。それから裏で引きぬきをはかったり、まあ悪役の典型ともいうべき姿です。

一方、後者には悪役がいないんですね。自分たちで一生懸命に努力をしているんです。内輪もめをしたり、事故で肉親を殺してしまったりと、内容は盛りだくさんなんですが、スリルがないんですね。
これだけの脚本なら、途中に、強敵を出現させればかなり面白くなるのに。
それから、この監督は地味ですね。今一つ華がないというか。タップを扱うのなら、フレッド・アステアくらいは見ないと。壁を相手にしたタップとかは圧巻です。水を跳ねさせるくらいでは、今時、誰も驚きませんし。
やはり先達の偉業は研究しないと。『ザッツエンターテイメント』をみただけでも、彼がいかに苦労してヒット作を生み出したかがよくわかります。ハリウッドは一日にしてならずですね。
いずれにしても、青春小説やライトノベルを目指す人にとって、この二枚組はお買い得です。