『黄泉がえり』『天国の本屋』

今回はレンタル・日本部門の上位を独占している作品二つの感想です。
黄泉がえり』DVD
 内容*ある地方で黄泉から帰ってきた人が多数現れる。しかし、主人公(葵)の元恋人(俊介)は帰ってこない。それは、その人に対する愛情が薄いからだと葵は悩む。
しかし、葵の現在の恋人(平太)は彼女の心がまだ俊介に残っているのを悲しく思う。そして、ある日、黄泉がえりの人たちが天国に帰る日が決まる。
その頃になって、葵は、自分が事故に会ったことを思い出す。で、黄泉がえりの最後の日。平太は、献体に出してしまった俊介の体の一部を持って、葵の元に駆けつけるのだが。  

感想*ミステリーを研究しつくした作者の作品で、非常によくできている。葵の元恋人(俊介)だけが黄泉がえりをしないのは、実は葵に原因があって。でも、それを言うのはネタに言及せざるをえないので、ここでは言えないけど。感動系ホラーという感じ。ああ、こういう風にどんでん返しを持ってくればよいんだ、と教えてくれる作品。

天国の本屋』DVD
内容*ピアニストの職をクビになった男(健太)が、天国で目覚める。
死んだのかと思ったら、「ここでバイトしているだけだ」といわれ、死んだ人や死にかけの人に出会って色々と体験し、最後にはこの世に帰ってくる話。
この小説の設定では、人間の寿命は百年とのことで、早死にした人は、残りの寿命を天国で過ごす。健太は、天国で昔から憧れていたピアニスト(翔子)に出会う。翔子は花火の事故で耳が聞こえなくなって自殺した(? 病死かな? はっきりとは描かれないが)。
で、この世では、花火の事故を起こしてしまった花火師(瀧本)が花火造りを止めてしまっているんだけど、翔子の姪が花火造りを再開させようと努力する。
一方、天国では、自分のせいで弟を事故で死なせてしまった女(由衣)が、弟を探している。由衣も自殺一歩手前で、まだ死んではいない。
で、最後には、死んでいない二人(健太と由衣)はこの世に帰ってくる。特に健太は、瀧本が花火造りを再開して、打ち上げているときに帰ってきて、天国で翔子と一緒に完成させた曲を弾く。

感想*ミステリー系の作家ではない作家の書いた作品なので、非常に素直。
「私は死んでいる」と登場人物が言えば、それは本当に死んでいることで、「ここは天国」といえば、本当に天国である。ミステリーばかり読んでいる私としては、ちょっと物足りないが、セカ中路線では王道でしょう。爽やかに、思いっきり泣けます。