『野性の証明』『冬の華』紹介

4月24日分の前倒しです。

野性の証明』(’78年角川映画
佐藤純彌監督、森村誠一原作
高倉健薬師丸ひろ子中野良子夏八木勲舘ひろし、田村高広、大滝秀治成田三樹夫、梅宮辰夫、松方弘樹丹波哲郎三國連太郎

梗概・青森、岩手、宮城県にまたがる白神山地の中で自衛隊の”特殊工作隊”の訓練が行われている。その最中に、風洞村で大量殺人が発生し、村人を殺したと思われる味沢一等陸曹(健さん)が解雇される。
 永井頼子(薬師丸ひろ子)だけが生き残る。
 一年後、羽代市では越智智子(中野良子)が、その地方で莫大な権力を持つ大場総業と行政の癒着を暴こうとしている。
 その矢先、同僚が車で崖から落ち、死体となって引き上げられる。
 一緒にバーのホステスが乗っていたらしいが、ホステスの死体は上がらない。
 智子(中野良子)が真相を暴こうとすると、大場会長の不良息子(舘ひろし)とその仲間から襲われそうになる。が、保険調査員になっている味沢(健さん)に助けられる。
 その後、健さんに引き取られていた頼子(記憶を失っていて、味沢が父を殺したシーンを忘れている)の記憶を取り戻させようとする健さんは、風洞部落に頼子を連れてゆく。
 一方、大場総業の不正を暴こうとする智子(中野良子)は、ある計画を立てて印刷までするのだが……。


感想・習志野空挺部隊風な部隊とか、SH60Jヘリとか、アサルト・ライフル(突撃銃)とかの専門用語を使って説明したいのですが、マニア以外では理解不能なので、この辺はカットします。
 全体的な感想をいうと、推理あり、社会性あり、人間ドラマあり、男の友情ありで、とても内容は濃いです。マジで自分の小説に使えそうなので、詳しくは説明できません。
 ウー―ン、乱暴な言い方をしてしまえば、新聞記者って命がけなのねって印象でしょうか?
 
 推理的に一つだけ疑問に思った点。
 最初の風洞部落での大量虐殺のシーン。村人が何人か殺されて、最後に薬師丸が「おとうを殺さねえでケレ」と叫んで、健さんが、男の頭に鉈を振り下ろすシーンです。
 これは、実を言うと、ものすごーーくレベルの高いトリックなのです。一見しただけでは、健さんが大量殺人を犯したかのような印象を持つのですが、本当は、薬師丸の父親が狂って大量殺人を冒したので、それを止めさせるための行為であった。というのが謎解きなのですが、ここだけは犯人Xとして、顔を隠しておいて欲しかった。
 というのは、犯人の顔がばれてしまっているのに、薬師丸が殺人犯を「お父さん」と呼ぶのが、どうも、心情的に受け入れられない。恐怖で殺害時の記憶が飛んだと説明されても、どうも……なのです。
 それに、犯人をXとして背後からの映像だけにしてあれば、一読者としては謎解きの面白さもある。例えばブログだと、読者の反応をみながら、適当に犯人を双子にしたり三つ子にしたり変更できるのですが。
 その点だけが不満ですが、他は大満足の作品です。

『冬の華』(S53、東映
降旗康男監督、倉本聡脚本
◆出演・高倉健池上季実子三浦洋一倍賞美津子田中邦衛大滝秀治岡田真澄夏八木勲小林亜星小池朝雄小沢昭一、山本麟一、峰岸徹寺田農北大路欣也

梗概・男(健さん)は、15年前、自分たちの組を関西の組と手打ちにさせようとした親友(池部良)を殺した。池部の娘が池上季実子で、今では親戚の叔父さんと偽って、手紙を送りつづけている。
 池上季実子は19才になっていて、横浜の有名女子大に通っている。健さんを本当の叔父さんだと信じている。
 喫茶店モーツアルト”でチャイコフスキーのピアノ・コンチェルトを聴きながら、ブラジルにいると思っている叔父さんからの手紙を読むのとバイオリンを弾くのが唯一の楽しみ。
 ちなみに、刑務所に入っていた健さんからの手紙は三浦洋一が運んでいる。池上は大きな組の親分の所に引き取られているので、裕福な生活をしている。
 で、途中をはしょって説明してしまうと、出所した健さんは、車中や喫茶店で殺した男の娘を盗み見ているのだが、さすがに相手も気がついて、「叔父様でしょ?」と声をかけられる。
 しかし、自分の過去を知られては困る男は、かたくなに否定をする。
 最後は関東の親分(池上季実子の世話をしている)が騙されて殺されたのをきっかけに、健さんは殴り込みにゆく。

感想・19才のガラスの天使のような美少女。過去を持つ男。絶対に自分の心情を打ち明けられない現状。
 でも、相手は憧れていた”足長叔父さん”だと信じているので、何度か強引に近づいて話しを引き出そうとする。だが……。
 それに、途中で三浦に「彼女に会ってやってください」と言われても、「俺はただテメーの罪のつぐないを一生かかってやっているだけだ」と拒否する健さんの苦しげな表情。
 非常によくできている作品で、どうあがいても乗り越えられまへん。でも、乗り越えたい。と思ったときは、壊すに限る。
 なので、脚本家さんと監督さんには申し訳ありませんが、『積み木崩し』風にぶち壊させてもらいます。
 
 まず、普通、組長の娘として育てられたら、こんなにお嬢さんお嬢さんしているはずがありまへん。(これはあくまでも著者の偏見です)。妖精みたいな女子大生で、バイオリンを抱えたセーラー服姿。ありえません。(これもあくまでも妬みです)

 なので、次のように変更してみました。
 設定は同じ(15年前に親友を殺した)。
 健さんがこっそりと尾行していると、お嬢様の池上季実子(19才の)が喫茶店モーツアルトに入る。そこで優雅にコーヒーを飲むが、窓の外に怪しげなオジさんがいるのを知っている。
 で、裏口から出て、近くのスナックの前で待っている。
 一方、相手がなかなか出てこないので、喫茶店に入り、裏口から出たことを聞いた健さんは、慌てて後を追い、ちょうどスナックに入る池上を見る。尾行してスナックに入る。
 タバコを吸っている池上季実子を目撃。ショックを受ける。
そこへ、池上の友達の女子大生(健さんと似た娘)が入ってきて、麻薬かシンナーか分からないけど、明かに違法性のある物を渡している。
 健さん、ショックで、転がるように外へ。

 あ、この前に、次のようなシーンが入らないといけないですね――健さんは今は出所して外国で”必殺仕事人”みたいな仕事をしている。
 ある日、部下から、池上が最近不良っぽい男(三浦洋一とは別の男)と付き合いはじめたとの情報を貰い、焦って仕事をドジる。必死で逃げて日本に帰ってきたばかり。(その情報は部下の勘違い)
 親友の娘を危険に巻き込んではいけないので、今までは会わないでいたが、日本に来てからは会いたい気持ちを抑えきれなくなって、ここ一週間ばかりは尾行していた。
”足長オジさん”のふりをして手紙だけは出していたが、自分が危険な職業についていて、親友の娘に危害が及んでいはいけないので、暗号で三浦洋一に電文を打ち、それを代筆してもらっていた。

 で、外へ出ると、昔関係を持った女(倍賞美津子)と出会い(この辺は偶然っぽく)実は娘が生まれて、池上季実子と同じ女子大に通わせていると打ち明けられる。
 写真を見せられると、これがさっきの池上季実子の友達。(実は、池上季実子は数日前から変なオジさんが自分を尾行しているのに気がつき、友達に頼んで、その男の尾行をしてもらったのである。で、さっき渡したのはフェイクの麻薬で、一緒に、健さんがまんまと罠に嵌って衝撃を受けたことなどを報告してもらった)
 そこへ健さんの娘が登場してきて、池上季実子が変な男にひっかかって危ない仕事をさせられそうになっているなど、健さんを心配させるようなことを言う。
 それと、さっきのタバコなどは、悪ぶってやっているだけで、本当の姿ではない、などなど、あることないこと吹きこむ。
 で、健さんは悩むが、ついには池上季実子に会う。
 そこで、心配事を聞かされる。(「育ててもらった父が関西の組に殺されそうになっている」とか、「組がのっとられようとしている」など)
 
 それを信じた健さんは、外国で仕事をしていた時の部下を呼び集め、関西の組に殴り込みに行って、敵を一網打尽にする。が、外に出ていて生き残った組員がいて、関東の組に復讐をしかけ、関東の組も大打撃を受ける。
 実は、これは、倍賞美津子の策略で、関東の組をのっとるため。
 
 で、倍賞美津子が関東の組をのっとった後、池上季実子は、友達から自分が利用されたことを聞き、健さんに謝りに行く。
 健さんは大怪我をして、どこかへ逃げてしまっている。
 捜し歩いているうちに池上は倍賞美津子の部下に掴まってしまう。
 倍賞美津子池上季実子の縛られた姿をメールなどで、健さんの隠れていると思われている組に送りつけ、健さんをおびき出す。
 すると、健さんは怪我の後遺症で目が見えなくなっていて、比較的簡単に掴まる。

 倍賞美津子は同情してすぐには殺さずにビルに監禁する(ドアを番号でロック)。
 自分は時間が迫っていたので、”必殺仕事人”みたいな請負仕事をしにでかける。(どこかの会社の内紛に乗じて、片方の派閥が敵を一掃する仕事)

 仕事は成功する。
 逃げる途中で、一息いれていると、健さんが現れ、逆に狙撃されそうになる。
 実は、さっきのは偽装。本当は目が見えたので、ロックの番号なども見ていた。
 それから後は、追いつ追われつのサスペンス。

(このところ『Mr&Mrsスミス』ばかりを見ていたので、完全に影響されてしまいました)
 最後は、池上季実子と友達が、互いの陣営の行動を教えあっていたというオチで。

追伸。
 新しいブログは今検討中です。(アフィリはなしの方向で)
 最近、自分で、棘がなくなったように思えるので、また新しいことを始めます。
 もうばれているようですが、私は品川の”一XXラーメン”の経営にも参加していて、一応、宣伝担当です。
店には入っていませんが、商品開発もしていまして、これから冷麺のアイデアもださなければならないので、いくつか試食しています。
 8年前、新宿にオープンした時に(こちらは三年で閉店しましたが)、日本で初めて(多分)トンコツラーメンにチーズも入れました。その時の経験から、好きなものを先入観無しに載せて試食するのが成功の秘訣だと悟りました。
 なので、今年も色々やってます。中で、社長がOK出しそうなのは企業秘密でここに紹介できませんが、斬新すぎてうちの社長がOKを出しそうにない物を紹介します。(色々と軋轢が生じると困るので、紹介するのは、新製品としてイケルと思ったものだけです)
(ネットでは私がどこどこの会社を非難したとか色々と噂が流れているようですが、ブログに書いた以外は公式ではありません。単なる風説だと思って下さい。捏造や粉飾の場合も多いですし、私がたまたまその時の話し相手の同情を引きたくて嘘を言っている場合も多いですから。推理作家は病的に嘘をつきますから、この同情を引く場合が多いかな?)

1、基本的に私はマヨネーズ系が好きなので、一番おいしいと思ったのは、エビマヨ・冷麺。
  市販のエビマヨの素を付け麺か冷麺の麺に合えるだけ。
  エビマヨの素は、えびとブロッコリー以外でも蒲鉾とほうれん草炒めなどにかけてもおいしい。

2、おこのみ焼味冷麺。ソースとマヨネーズをベースにお好み焼のトッピングを載せる。
  ヤキソバの冷えたような感じですが、冷麺の麺を使い、水で締め、つるつるしているので、目から鱗のおいしさです。でも、これも、六十才以上の人間にとっては認められるようなものではないと思うので紹介。  
  この上に”マヨネーズおかき”や甘辛せんべいなどをミンチにしてかけると一層おいしい。たこ焼き(温かい)を載せて、たこやき冷麺にしてもおいしい。
  ソースは甘めのものが合うかな?(これはあくまでも私の好みです)

3、上のは大体の味が予測できたもの。
  それ以外で、冒険したものはつぎ。
  チョコフレーク麺とコーヒーゼリー麺。
  これらは、単体では大好きなものなので、言わば遊びです。
  どちらも、麺と合えなければおいしいのですが、合えると、麺の粉くささが残って、ちょっと。
  でも、最初のはチョコムースを合えたり、二番目のはコーヒーをかけたりすれば、また変わると思うので、来週また報告します。
  他にも色々と挑戦したいのがあるので、ネタがなくなったら、そっちをメインにするかも。  
 仕事以外で今凝っているのが羊羹でして、最近はまっているのは、ニューサマーオレンジ(泰山園、伊東市)。

次回は『47人の刺客』と『新幹線爆破』にしようとは思っているけど。変更になるかも。