『昭和探偵伝・絆』二回目

『昭和探偵伝・絆』二回目(五月一日分の前倒しです)
前回の内容・昭和32年、10月4日、午後九時。僕(小林星矢15才)は、小諸、懐古園の脇の叢で死体を発見し、ヒデさんと兄の恭介さんに報せる。ヒデさんは死体から勝手に金を盗むような危険な男。だが、捜査が始まると、第一発見者は僕ではなく、8時にはヒデさんと恭介さんが死体の周辺にいたことが判明。二人は犯行を否認し、唐松林商事の人間がいたと証言。
 翌日、家庭教師をしている細田勇気の母親・真紀さんから呼ばれ、勇気を”狂言誘拐”するとの手紙が投げ込まれたことを教えられる。
狂言誘拐の指示書”の内容ーー勇気の父親の会社の商品と愛人さんと愛人の子供を人質にとったので、4日後に開始する”狂言誘拐”に加われ――。細田のオバさんは、犯人は愛人の赤坂オバさんだと断定し、勇気が有名になるためには、加わると所信表明する。

第二章・1

 そうこうしていると、勇気の父親、細田のオジさんが帰ってきた。
「愛人さんには連絡を入れたんですの?」
 何が起こっても動じないオバさんが、明るく問いかけると、オジさんは暗い顔で首を横に振った。
「彼女の電話は繋がらなかった。副社長の弟はいた。弟の話では、一月前にクビにしてから、連絡をとっていないらしい。それともう一つ。真由美君は株の才能がある人間で、子会社の社長だ。愛人ではない」
 細田のオジさんの弟さんは細田信二という。
 兄とよく似ている。
 いつも背負いきれないほどの心配事を抱え、ぶつぶつと何か呟いている。
「例の商品も行方不明だ」
「湯西さんからの連絡はないんですか?」
 湯西さんとは、オジさんの会社を相手にして訴訟を起している人だ。オジさんの会社の輸入化粧品を使った妹が顔に痣状のものができたらしい。
 オジさんは下を向いたままだ。
「でも、男の人の協力がなければ、こんな危険なことはできないですし、当然、湯西さんがからんでいるでしょうね」
 オバさんは高らかに断言した。
「それに、お前もな」
 生まれて初めて窮地に陥っているオジさんが憎しみのこもった目で見上げる。
「俺は、お前が主導でこの筋を書いたと思っている。こんな恥っさらしのことをするのは、お前くらいしかいない」
 呟き声の皮肉を聞いて、一瞬睨みつけた元女優さんは、すぐに目じりを細めて笑顔を作って、部屋の中を主役気取りで歩きはじめた。
「まあまあ、お褒めにあずかって光栄ですわ。私がこれくらいの脚本をかけるなら、映画会社に売り込みますわ」
「話を逸らすな」
 オジさんはマジで怒って片手をあげかけたが、怒っても勝ち目のないのを思い出したのか、諦め顔になった。

「それに、こういう状況にしたのは君にも責任があるんだぞ。自分がいつも映画監督の所に遊びに行って、子供をほったらかしにして。勇気がどれほどさびしい思いをしたか。俺が仕事の時は、いつも、真由美君に面倒を見てもらっていたのだぞ。感謝しろ」
「はいはい。充分に感謝しております。あなたもそれだけ真由美さんのありがたさを感じているのなら、さっさとクビを撤回してあげればよいのに」
 オバさんは、ここぞとばかりに自己主張をする。
「だから、向こうから頭を下げてきたら許してやるつもりだったんだ。それが、予想外に頑固だったようだ」
 信じていた人間に裏切られたオジさんは、頭を抱え、どさんとソファーに腰を下ろした。 
「再度お言葉を返すようですが、私は、主犯は湯西だと思うわ。まあ、私も相談されれば積極的に協力はしますが。それより、湯西が真由美さんと会っていたかどうか、その辺は調べたの?」
「クビにする前、何回か真由美君に電話が入ったらしい。会ったとは思う。だが、真由美君は利用されているんだ。今はクビになった悔しさから協力しているだけだ。そのうち目が醒めれば、自分から手を切るに違いない」
 まだまだ部下を信じていたい社長さんは、強気で言いきった。
「はいはい。まあ、気楽にやりましょうよ。心配したってどうにかなるもんでもないし。それに、どうせ狂言なんだから、湯西が子供をどうこうするとは思いませんわ。隠した商品を横流しする度胸もないでしょうし。ならば、言われたとおりにやりますわよ。やらなきゃ訴訟だって勝てないでしょうし。勝てなきゃ借金まみれになるでしょうし」
「それはない。お前が芸能界復帰と子供のデビューのために多額の借金でもしなきゃ、この家は安泰だ」
 オジさんはいったん言葉を切り、大きく息を呑むと、自分に言い聞かすように断言した。
「こんな恥さらしのことをしなくたって、訴訟問題に解決はつくんだ。商品だって、在庫一掃できるんだ」
 そして、オバさんが差し出したウイスキーを一気に喉に流し込んだ。
 絶妙のタイミングである。
 これだけを見ると、この夫婦は仲が良いのか悪いのかわからなくなる。いつも喧嘩ばかりしているし。
 ――にしても、一千万の商品が売れ残っているんだ。では、オジさんはまるっきり関係ないと断言できるのか? これはちょっとした発見だ。

 体面を気にするオジさんに対し、変化を好むオバさんは、さばさばと手で髪を梳いている。
「はいはい。今回のことはぜーんぶ私の責任です。でも、一言申しあげます。あなたは考えが甘いわ。もし私が書いた筋書きなら、もっと勇気を感動的に売り込むわ。あ、そうだ。出発前なら変更しても大丈夫よね。むこうは、無事にお金を受け取れれば良いだけだから。真由美さんは元のポストに戻れば良いだけだし。という訳でここで、私が主導で筋書きを変更させてもらいます」
 オバさんは犯人から送られた便箋を取り出し、(3)の部分――身代金と無線通信装置は揃ったと考える。ない場合は子供の命も保証しない。一台は車に搭載せよ。こちらの無線で出す指示を待て――の後に勝手に次の文を入れた。
『出発前に一回、指示がある』

「あくまでも犯人の指示に従ってやったように、後でちゃんとした指示書を打ち直しますから安心して。もし、警察に疑われたら、その指示書を見せますわ。私たちはやりたくなかったけど、犯人に指示されたので、仕方なくやったって」
 そして、次のように追加した。
『ラジオ放送を要求する。できるならテレビ放映も』
「でも、テレビは、無理だわね。力道山くらいの有名人でないとね。それに、ことが大きくなりすぎても、逆に非難されそうで怖いから、テレビ放映はカットね。映画の前のニュース映画くらいなら問題はないわよね」
 部屋の中央で口に鉛筆をくわえたまま立ち、テレビ放映を消して、『ラジオ放送』のあとに付け足した。
『受信用ラジオは各車に用意しておけ。さし当って、明日の午後六時には海野宿で一回目の放送をせよ。身代金の運搬は川中島の古戦場をとおり、長野の善光寺に向かえ。急激な変更はアマチュア無線で行う。ラジオのチャンネルはいつでも指定の周波数をにしておけ。変更する場合は、通知するので心配するな』
「この急激な変更の送信は星矢君にお願いするわね。最初のラジオ放送の内容と、急激な変更の内容は後から教えるから」
 映画監督気取りのオバさんは、メモを終えると、こちらを見てにこっと笑った。
「そんな無茶ですよ。それに、勝手に変更してしまって、犯人に悪い感情を与えないですか?」
「大丈夫よ。ほんの些細な変更だもの」
 と、意味深に口を閉ざし、その先を教えてくれなかった。
 ――もう、強引なんだから。
 
 目を上げると、急性映画監督は、先を話していた。
「それに、ラジオ放送はポーズでもあるのよ。最初にこの条件を警察に突きつけておけば、警察も、覆面パトカーは少なくて良いと考え、油断をする。つまり、先回りして何台も配置しておかなくても、ラジオ放送を聞けば、運搬車の位置はすぐにわかる。一方、犯人からすれば、敵の車が少ないってことは、最終段階において覆面パトを撒き易いってことね」
「いや、お前がだろう」
 すかさずオジさんが訂正をいれた。
「はいはい。そういうことにしておきましょう。それに、どうせ、黒幕は湯西ですもの。こちらがどんな変更を加えたって文句は言えないはずよ。本当は、わたくし、観光協会の理事もしておりますので、次のような文章も入れたいくらいよ。いわく。身代金の運搬は誘拐の翌日の朝からにする。軽井沢星野温泉ホテルか三笠ホテル前から出発。菱野温泉、高峰温泉、蓼科、木曽、松本安曇野などを巡り、上田別所温泉を通過して布引観音へお参りし、海野宿に六時までに到着、ってね」

  2

 翌日、僕は、ヒデさんと一緒に布引観音温泉の近くにある唐松林商事に出かけて行った。
「唐松林組の親分は、あこぎな奴で、土建会社を起こして裏で悪いことをしている。あっしが殺害現場で見た舎弟もきっと殺しに関係ある。確かめねばならねえ。それに駒次の計画に出資してくれているが、その仕事が成功した暁には、お宝は掻っ攫おうと思っている。だから、釘をさしてやらにゃあいかんのだ。あっしが駒次の用心棒を引き受けたから勝手なマネはさせねえ、とな」
 駒次さんは、真田幸村の隠し財産があると信じて発掘をしている。
 日本中に腐るほどある隠し財産伝説を信じている一人だ。
 それも、信じられない馬鹿馬鹿しい話でも強引に結び付けて信じている。
 例えば、自分は真田幸村の生まれ変わりだから、自分が感動した伝説には幸村も感動するはずだと勝手に理屈づけ、望月のある場所を発掘している。
 昔、馬が美しい姫に恋をして死んだ伝説だ。
 自分が好きな話なので、幸村もその話に感動しただろう。
 ゆえに、そこに隠したに違いないと、極めて根拠の薄い理屈である。
 僕から言わせれば、駒次さんも馬鹿だし、金を出すほうも阿呆だと思うけど。

 今、僕らは林の中を逃げ回っていた。
 後ろからは、龍の模様の入った詰襟の男や、ダボシャツで顔に傷のある男などが追いかけてきていた。
 さっき、唐松林商事に行った時に、ヒデさんが喧嘩を売ったからだ。
 ヒデさんは、事務所に入ると、何の挨拶もせずに、「オメーらの中に殺人犯がいるはずだ」と怒鳴ったのだ。
 事務所にいた敵が、手に手に武器を取って追いかけてきたのは当然である。
 林の中を知りつくているのか、ヒデさんはかなり巧妙に走りまわった。
 追跡できたのは、数名のヤクザだけに絞られていた。

 僕らのすぐ後ろに迫っているのは金髪のチンピラと他二名だった。
 男は、グリっと、怒りをこめて、ヒデさんを見据えた。
「さあ、かかってこいよ? どうしたんで。玉がねえのかい?」
 ヒデさんは立ち止まり、挑発の声を上げた。
 その声を引き金に、男達が、襲いかかってきた。
 まず、右の男の蹴りが、ヒデさんの肩をめがけて飛んで来た。
 ヒデさんは、ヒョイと竦んで、それを交わした。
 ついでに、片足で半回転しながら、目標を失った足を、木刀で上に跳ねた。
 眉をそり落としたチンピラの足が、空を泳いだ。
 チンピラは背中を見せ、態勢を崩し、地上に落ちて行った。
 ヒデさんは、木刀を握ったままの右手を、機械のように冷徹に男の後頭部に降り下ろした。
 ガギ! と、鈍い音を立てて、男の後頭部に罅が入った。
「この糞ム所帰りが――」
 左の男が、跳びかかろうとした。
 派手なアロハをきた男だった。
 同時に、男の後ろで落ち着いた声がした。
「そこまでだ。観念しないと、このチャカが物を言うぞ」
 
 ヒデさんは、林の中で目を上げた。男の後頭部に、木刀を降り下ろした状態だった。
 まだ着物の裾が、めくれ上がったままだった。
 男は、一番後ろから走ってきた奴だった。
 ピン・ストライプのスーツを着て、幹部らしき雰囲気だった。
 ヒデさんは、一連の動作を止めはしなかった。
 そのまま、殴った男を地面に落とすと、すかさず、横っ飛びに飛んで、粗大ゴミの後ろに隠れた。
「銃で狙われたら、止まるな。三メートル以上なら、命中率は、ゼロに近い」
 相手のヤクザたちと、僕に向かって注意までしながらだった。
「待て、まちやがれ!」
 男達がばらばらと、粗大ゴミの周囲を回って、二手に分かれた。
 ヒデさんは止まらなかった。
 大きく粗大ゴミの後ろを回り込むと、林の奥に駆け込んだ。
「ようやく、来なすったな」
 低く、感情を見せない声が、林の中から響いて来た。
 斑に降り注ぐ日の光の中で、ヒデさんは、目をあげた。
 三メートルほど先、切り株の上から鈍く光る銃口が、ヒデさんの眉間に狙いを定めて、待ち構えていた。

 枝打ちをされていない唐松の枝の上。
 そこまでを見物していた僕は、ヒデさんが追い詰められたのを悟り、思いっきり腰を屈めた。
 一瞬だけ周囲に目を走らせた。
「ハッ」
 枝を掴んだ腕に反動を付けて、一気に大回転をし、一番低い枝に飛び付いた。
 そのまま、大きく前に足を振り上げた。切り株上の男の頭上だった。
「ナ、何をしやがんで」
 切り株上の男が、微かに動揺した。リーゼントに決めた男だった。
 僕は怯まなかった。
 今度は全体重を乗せて、反動で足を後ろに蹴り上げた。
 男が態勢を立て直そうとして、逃げかけ、太い根に躓いた。
 手を泳がせながら銃を構え直した。しかし遅かった。
 その時すでに、僕の足が、男の顔面に食いこんでいた。
 僕は、自分の靴の爪先が男の眉間に吸い込まれてゆくのを、コマ落としで見ていた。
 爪先は、柔らかい皮膚に触れて、皮膚が破れた。
 次に、脳味噌をガードしている頭がい骨の一部に付き刺さった。
 骨の柔らかい部分が、微かに撓んだ。
 靴先は、それでも止まらずに、頭蓋骨を押し開いて、男の頭を、微かに後ろに押した。
 男の人差し指が衝撃で収縮した。

 プス。
 拳銃が乾いた音を立てた。
 銃口が微かに赤い火を吹き、弾が、仲間のいる方角に飛んでいった。
 僕の靴先はそれでも止まらず、反動エネルギーを温存したまま、弧を描いて男の頭と体をフッとばした。
 男の体は、肉でできたマネキンのように、地面に叩き付けられた。
 グエ。
 男が、車に撥ねられて舞い上がり、落ちた時のような声を上げた。

 ミシ。
 僕の掴んでいる枝に亀裂が入った。
 一回、上まで上がった足は、反動で戻りつつあった。
 しかし、体重のほうが重かった。
 枝は体重を支え切れずに、途中で不規則に折れた。
 僕は、樹皮一枚で幹につながる枝を、片手で掴んでバランスを崩していった。
 体は、お尻を頂点にし、重力に引っ張られて、地面に落ちかけた。

 下には、別の男の体があった。
 僕は態勢を崩していた。必死に立て直そうともがいていた。
 もがいたままの姿勢で、半回転し、男の体の上に落ちた。
 膝が、男の顔面の中でも、柔らかい部分に触れた。
 僕の目は、そこがどこであるか確認することはできなかった。
 ただ、膝だけが関知していた。豆腐のように柔らかい部分であると。
 僕の膝は、全体重ーー身長一五〇で、中くらいの体型ーーを乗せて、男の柔らかい部分にめり込んだ。
 柔らかい組織が、生暖かい汁を飛び散らせて、音もなく潰れた。
(眼球?)
 膝はそれで止まらなかった。
 次に、柔らかい部分の周囲の、ちょっと堅い骨にのし掛かった。
 眼球の周囲の骨に、ミシリと亀裂が入った。
 
「そこまでだ」
 どこからか、しわがれた声がした。
 そして、影の部分を選んで、黒い影が僕の脇を走りぬけた。
 鋭く空気が引き裂かれ、すごい力で横にはね飛ばされた。
 ずしん。
 柔らかい腐葉土の上に尻餅をついて見上げると、黒い影は走り去って行くところだった。
 年齢は定かではないが、仙人のように老齢だった。忍者らしき衣装を着ていた。
 
「人を殺めてはいかん」
 鋭い一言が聞えた。老人は、僕がぼーーっとしているうちに、薄ぐらい木立の中に消えてしまった。
 僕は、自称・真田幸村の直系の駒次さんから、忍者修行を受けている。
 修行の途中で、自分のお師匠さんの話を聞くが、その人だろうか?
 しかし、感慨にふけっている暇はなかった。
 遅れて追いかけた来た男の一人が、震えながら、銃を突き出したのだ。
 が、直後。
「ギエーー」
 頭蓋骨の陥没しかけた男の悲鳴が、空気の中を突き抜けた。
 僕らを囲む男達が、一瞬怯んだ。隙をついて、僕は木の後ろにすっ跳んだ。
「助けて、くれーー」
 顔の半分が崩れた男の喉が、悲鳴を上げた。
「この、糞ガキがーー」
 一人の男が、銃を持っているのも忘れて、ヒデさんに飛び掛かろうとした。
 その時だった。
 
「死人が出る前にオシメエにするべーや」
 林の中から太い声が聞えた。
 振り向くと、如月警部と磯田警部補がやってくるところだった。
 唐松林商事の若い者を二人連行していた。
 唐松林商事の事務所で訊問した結果、ヒデさんが見た人間が浮かびあがったと説明した。
 二人は犯行を否定している。逆にヒデさんのほうが先に来ていたと主張したらしい。
 被害者――フリーのジャーナリスト――は、唐松林商事の弱みを握って、強請りをしていたらしい。
 警部は、ヒデさんと組の若い者を訊問するんで、署へ連行すると断言した。

  3

 ――翌日(七日)。午後八時半。
 細田家から離れた場所にある会社の事務所。
 僕は、細田少年の父親に頼まれ、アマチュア無線の装置を組みたてていた。
「だからあ、アマチュア無線というのは、八木式アンテナ、集音マイク、送信機、それと受信機が一体になったものなんですよ」
「ラジオとはどう違うんだ?」
「だから、ラジオは受信機だけ。ちょっと専門的に説明すると、使える周波数が違うんですよ。HF。3−30MHzは、アマチュア無線短波ラジオ。国際通信、航空機・船舶通信、市民ラジオ。で、MF。300−3000kHz.は船舶用送信、航空機専用の周波数で、アマチュア無線もOK。VHFが警察消防、タクシー。FMはFMラジオ放送。まあ、アマチュア無線は3MHz−30GHz(ギガヘルツ)までOKなんですけどね」
 ラジオも届け出が必要だが、零点五ボルト以下の微弱電波での市民ラジオなら、許可はいらない。
 それと、比較的簡単な操作で送受信のできるものに、トランシーバーなるものもあるが、まだ高価である。
 どちらもプリント基板があり、銅箔の配線部分を薬品液でとかす製造法で、配線さえきちんとなされているキットであれば、素人でも作れる。

 そこまで説明すると、電話が入った。
 反射的に父親が出たが、狐につままれたような顔で応対を始めた。
 僕も思わず受話器に耳をつけた。相手は勇気の母親だった。
「だからあ、勇気が本当に誘拐されてしまったの」
 細田オバさんの尖った声が電話線から飛び出していた。
「嘘だろう。決行予定は明後日の午後六時だろう」
「だから、敵に裏をかかれたのよ」
「そうかな。お前はうすうす勘付いていたんじゃないか? 勇気を有名にするためには何でもやりかねないから」
 オジさんがまだこだわって冷たく断言すると、ツバが飛びそうな声が返ってきた。
「いいえ、その言葉はそっくりそのままあなたにお返しするわ。湯西さんと赤坂さんが主役で黒幕」
「煩い。それより、本当の誘拐はあの指示書通りだったのか?」
「うん。六時に配達の男が来て、勇気と二人で受け取りに出たら、噴射機で変な黄色い液体をかけられて、きな臭いと思ったら気を失ってた。そんで気がついたら八時で、勇気がいなかった」
「待て。今は八時半だ。君が気がついたのは八時といった。それでは、三十分は何をしていた?」
「ボー―っとしていた」
「は?」
「頭の中が真っ白で何も考えられなかった。天国にいるのかと思ったわ。次に『狂言誘拐の指示書』を思い出したの。あれと同じだと気がついた。でも、決行は明後日の予定だから、誰かの悪戯じゃないかと思った。家の中で勇気を探した。どこにもいない。押入れも天井裏も探した。でもいない。次には庭も探した。私より先に目が醒めた勇気が私を脅かしてやろうと思って庭に隠れていないかと思って。でもどこにもいないの。次には外に出て、小諸駅前まで行った。でもいないの。で気がついたの。ああ、『狂言誘拐』の予定が二日繰り上がったのだって。それで電話したの。だから三十分もかかってしまったの」
「阿呆か? これだからB型は」
 オジさんがいつものお説教を始めようとすると、受話器の向こうから泣きそうな声がした。
「どうしよう?」
「どうしようって言ったって? 取りあえずは犯人の指定してきたことをやるしかないだろう」
「じゃあ、すぐに警察に電話してよい?」
「当たり前だ。犯人は『狂言誘拐ゲーム』を開始してしまたんだから、警察に連絡しなければ、逆にこちらの誠意を疑われて、勇気の命が危ない」
「OK。じゃあ、警察に電話してあの指示書を読む」
「待て。向こうの指示では、最初は普通の誘拐と同じようにするんじゃなかったか?」
「そうだった。ではこうするわ。とりあえず、”狂言誘拐”だとは言わないで警察に電話する。けど、もしバレた時は、あの指示書を警察に渡すわ。で、正直に今までの経緯を話す。最初このメモを貰った時は冗談かと思っていたけど、裏をかかれて本当に誘拐されてしまったので、身代金の運搬の警護をお願いします、と。但し、一回目のラジオ放送とニュース映画の撮影だけは追加して書くけど。そうすれば、犯人さんに対しても、顔が立つし、うまくすれば、あなたの輸入したシームレス・ストッキングは完売するし、ついでに勇気の顔があちこちの映画館で放映されて、話題になって主役を射止められるかも」
 僕と父親は顔を見合わせたまま黙っていた。
 どう考えてもそれしかない。
 今までの情報から犯人は間違いなく真由美オバさんと湯西という男だろうし、それならば、身代金さえ渡せば、勇気の命に別状はないだろうし。
 だが、電話を切る前に慎重派のオジさんが訂正した。
「いや。最初の指示書を用意しろ。犯人から送られた奴だ。ラジオ放送を入れると、我々の主導だと思われるから」
 
  4

 ――同日九時三十分。小諸署。
「今日の午後六時頃に誘拐事件発生。誘拐されたのは、細田勇気、六歳。住所は小諸市古城XーX。細田家は高級住宅。夕暮れともなるとほとんど人通りはないです。勇気の父親は輸入会社の社長。母親は自称女優です」
 磯田警部補が説明を開始していた。
 小諸署にいるのは、如月警部、磯田浩警部補、浅井沙耶警部補(二人とも二十九歳)、それと僕である。
 僕らは緊張した面持ちで額を寄せ集めていた。
 勇気の母親が警察に電話した後、所轄の刑事たちが、出前持ちや水道工事屋に変装して細田家に到着したのは、九時くらいだった。
 如月警部も磯田警部補もいた。
 そのすぐ後、僕は、何の説明もなしに、署に連れてこられていた。
 署の中に残っている人は少ないが、ざわめきが走っていた。
 今さっき、細田家から電話が入り、第二の脅迫電話――身代金と無線装置は用意できたと思う。指示通りに出発し上田辺りで二度目の連絡をする――があったと報告がきた。
 因みに、僕は警察に連れてこられてしまったので、オジさんが、声色を使ってかけたはずだ。
 
 僕は、茣蓙の上に置かれた座卓を囲んで、警部たちから色々と問い詰められていた。
「なあ、オメーは、本当に犯人じゃあねえんかよう?」
 警部の質問はあまりにも突拍子もなくて、僕は、この前の殺人事件の時同様に、面食らった。
「ま、待ってくださいよう。何で、僕が犯人にならなきゃいけないんですかあ?」
 呆れ顔で強く言い返すと、警部はシレッと言い放った。
「だからあ、オメーは充分に怪しいんだよ」
「どこがですか?」
「どこがって、全てがさ。僅か二日の間に、二つの事件の当事者になっているじゃねえか。こんな天文的な確率がこの世に存在するか?」
「二つの事件て何ですか? 当事者って何ですか?」
「だから、坂之上秀忠殺人事件と、細田勇気誘拐事件だ」
 警部は、手に持っていた”おやき”の包みをどさっと座卓の上に置いた。
 長野の特産で、まんじゅうの中に野沢菜や胡桃味噌などが入っているものである。
 それを、夕飯がわりに、十個以上も食べている。
 まだ手は止まろうとしない。
 僕は黙ってその動きをみつめていた。
 警部もそれ以上は何も言わない。
 困った磯田警部補が先に進めた。
 
「続きですが、犯人と思しき男からの電話が、午後の八時すぎ。内容は次。身代金は、現金五百万円と無記名の有価証券三百万円分。母親を運搬人とし、現金は使い古しの五千円札と千円札で用意し、ボストンバッグに入れろ。明日の午後の六時には運搬を開始しろ」
 磯田警部補が一息入れてメモを下に置いた。
「有価証券とはなあ。もし株券でも良いなら、自社の株でもいいのか?」
 警部がまた関係のない質問をした。
「さあ。それより、母親は近所を調べた後、父親に電話をした。父親は、『すぐに警察へ知らせろ』といった。そこで『危険だ』の『子供の安全が保障されない』だのと、一通りの喧嘩はあったのですが、父親におしきられ、母親は仕方なく警察へ電話した。これが八時半ちょっと過ぎ。母親の言葉によると、だいたいの流れはこのようになってます」
 警部は黙っている。
「先にゆきます」
 磯田警部は、次に、それぞれの部署の専門捜査官からの報告をした。。
 音声分析官など、専門職の刑事たちは、妻からの電話が入ると即、細田邸に直行していた。
 掃除会社の人間などに変装してであるが。
 まず、何を置いても、逆探知装置を設置しなければならない。
 逆探知装置の他にも、録音装置を設置して、方言があるか、声に特徴はないか、あるいは、口の大きさ、喉の太さ、顔の大きさなど、分析できうるものは分析してしまわなければならないからである。
 
「それにしても、遊び半分と思われる点が多々あります。まず、無線で連絡を行う。ヒントはスプートニク? アマチュア無線ですねえ。ガキの遊びでしょう。まあ、金持ちの糞ガキにしかできない趣味ではありますが。因みに、誘拐された勇気君と、ここにいらっしゃる星矢君は、二人ともこの高級な趣味にはまっていらっしゃったようですがね」
 磯田警部補が嫌味たっぷりの口調で締めくくった。

   5

 十分ほど睨み合いの続いたあと、また磯田警部補が口を開いた。
「現場に向かった連中の報告を伝えます。まず、勇気の母親ですが、刑事が到着した時点から、落ち着いたり急にそわそわしたり、わざと紅茶を零したりしたようです。下手な演技であります。参考までに、家の外見を言いますと、和風建築と南欧風を継ぎ足した豪華な邸宅であります。庭は”だるまさんが転んだ”ができるくらい広いです」
 浅井警部補が口をはさんだ。
「それに、犯人からの脅迫電話のタイミングが良過ぎますねえ。逆探知装置をかける前に電話がきた。まるで間合いを計ったかのようですね」
「気に入らねえな」
 警部がボソッと呟いた。

「続けます。犯人は『ラジオ放送を要求する。局は一局のみ』と、『明日の午後六時に海野宿で一回目の放送。急激な変更は無線で行う』、とも言ったそうです。最初の電話でです。最初に警察に告げなかったのは忘れていたからだ、そうです」
――これはオバさんの創作部分だ。あれだけ止めろと言われたのに……。子供を有名にしたい欲望には勝てなかったようだ。
「ほかに面白いこともポロット言いました。『犯人はわかっているから、警備は最小限で良い』とも」
「ほう。興味をそそられる言葉だね」
「まさに、”狂言誘拐”で、共犯もはっきりと判明してるってことですね」
「ちなみにこの家にあるアマチュア無線の型も判明しましたから、取扱店を絞り込みます?」

 会話の間、僕は警部の唇の端についたクルミ味噌を見つめながら、ずっと考えていた。
 警部たちの嫌味が一々耳に突き刺さる。
 明かに”狂言誘拐”だと思っている。
 シラを切りとおすのは難しいと感じた。
 なので、席を外させてもらって、細田のオバさんに電話した。
「もう”狂言誘拐”の手紙を黙っているのは難しいから、警部に話すよ」
 そう伝えると、オバさんも同意した。
 向こうも、現場の刑事の反応から、僕と同じ印象を持っていたようで、数分話し合った結果、全てを警部に伝えることで譲歩した。
 つまり、最初に犯人が送ってきた文章と、オバさんが創作した部分を別にして話すのである。
 
「実は、二日前に『誘拐の指示書』なるものを送られていたんです。で、その時は冗談だと思って放っておいたのですが、裏をかかれて本当に今日、誘拐されてしまったんです。最初は警察に『指示書』を見せると犯人を怒らせるかと思って黙っていたのですが、向こうが警察に連絡することを前提として話を進めているので、話してしまいます。それで、もし解決した後に記者発表するとしたら、あくまでも、一一〇番通報以降を基準にして発表して下さい」
 僕が打ち明けると、ようやく警部が目じりを下げた。
「やはりな。まあ、よく話してくれたな。じゃあ、腹を割って相談を受けようか」
 警部が初めて打ち解けた目で、僕の肩に手をかけた。

 電話の向こうでは、まだ元女優のオバはんが、現場の刑事を相手に下手な演技を繰り広げている。
 ――現場の刑事に、後半の付け足しの部分が”創作”だとバレるのも時間の問題だろうな。
 僕は心の中で舌を噛んだ。

   5

 ――翌日午後六時五分。海野宿端の打ち捨てられた物置の中。
 僕は埃と腐ったわらの臭いに塗れて、こっそりと隠れていた。
 まだ、耳の中には、『CQCQ』の言葉が響いている。
 アマチュア無線機で、電文を打ったばかりだ。
 電文の内容は、『何か隠していないか服を脱いで証明せよ』だ。
 無線の電文を受けたのは細田のオバさんだ。
 おまけに、これは、細田オバさんが考えた文章だった。
 昨日、結局、警部には、”創作部分”は話さなかった。
 最初は”創作部分”も話してしまおうかと思ったけど、よーく考えてやめた。
 そんな筋――海野宿でスカートをめくり上げて映画撮影をさせる――を話したら、どう考えても、主犯は細田夫妻だと思われてしまう。
 だから、犯人が送ってきた筋書きだけを話した。
「母親はラジオ放送といっているが」と追求されたが、オバさんの妄想でしょうと突っぱねた。
 警部は強引に電話を奪って、「最初に犯人が送ってきた封書は保管してあるんだな?」とオバさんに詰問した。
 だが、オバさんは、「封書は会社関係だと思って、読む前に破って捨ててしまった」と強硬に主張した。
「なるほど。封筒は破り捨てられてしまって、残骸をみつけることもできない。手紙も妻の指紋がベタベタで、犯人の指紋を割り出すことは不可能だな」
 警部には嫌味百%で睨みつけられたが、途中で変更すると余計変だし、それで突っぱねてもらった。
 小諸署にいる僕の周りでは、「ふざけているんですかねえ。警察も舐められたもんだ」とか、「なげかわしい世の中になったもんだ」とかいう会話がこれみよがしに交されたが、僕はじっと黙っていた。
 まあ、僕としては、最低限の協力をするつもりで、オバさんは夫が主犯だと考えていて、オジさんは妻が主犯だと思っていると教えてあげた。
 オジさんは、家に帰ってから警部に署まで呼ばれ、”二回目の脅迫電話”の件をかなりこっぴどく叱られた。
 だが、「信頼できる社員と一千万の商品と息子が誘拐されてしまったのだ。し方がないだろう」と涙まで流して自分たちの行為を弁護したのだった。
 さすがに、脚の引っ張り合いは日常茶飯事のビジネス業界で生きてきた社長だけのことはある。
 
 そして、今日、海野宿の中央には、元女優さんがいる。
 ラジオ局とニュース映画の会社は自分で手配したようだ。
 沢山の野次馬とラジオ放送クルーの前、トヨペット・コロナを背にして、悲劇の母親の顔を取り戻し、大げさに溜息をついていた。
 これから、スカートをめくり上げて、ストッキング姿をニュース映画のカメラに晒す予定だ。
 そうすれば、全国の映画館で上映され、輸入した商品の宣伝になる。
 僕がいるのは、北国街道にそって並ぶ海野宿の一番端の家の広い二階の物置。
 明治になってからはほとんどの家が養蚕農家になったので、どこの家にも大きい蚕部屋があり、養蚕を止めた後は物置になっている。
 そこに勝手に入ったのだ。

 海野宿のほぼ中央、掘割に沿った道路の上でオバさんは主演女優並にもったいぶった顔で、トランジスター・ラジオを助手席に戻した。
 周囲は異常な興奮に包まれていた。
 幾つかの新聞社や雑誌社が取材にきていたし、近隣の住民や、温泉地の泊り客も見にきていた。
 オバさんの強い要望で、ラジオ局は一局だけに限定されたが、それも出発後のことである。
 出発前は制約はないので、沢山のフラッシュに囲まれていた。
 僕は格子戸をあけて道を覗いている。
 海野格子と呼ばれる、ニ本づつ長短の繰り返してでできている格子戸だ。
 掘割には鯉が泳いでいる。
 屋根の上には”うだつ”と呼ばれるシャチホコみたいな飾りが見え、屋根の中央には気抜きと呼ばれる二重屋根も見える。

 オバさんは両手で顔を覆った手をゆっくりと離した。
 悲痛でなおかつ面食らっていると自分で思っている表情で、電文の内容を周囲の私服の刑事に報せた。
 それから、ゆっくりゆっくりと、スカートをめくりあげ始めた。
 僕は、メモをポケットから取り出し、オバさんの創作した指令書に目を落とした。
 続きには次のように書いてある。

五――ラジオ放送は最初の一回で終わりとする。
 これがオバさんの言う小さな変更だ。まあ当然である。
 ラジオ放送は勇気を有名にするためだけにセッティングしたのであり、運搬後も後ろからついてきて放送されたのでは、たまらない。身代金の無事な運搬はできない。
 次に僕が打つべき電文はこうだ。
 繰り返す。『ラジオ中継は中止だ。八ミリカメラを夫に持たせて、すぐ後ろの車から周囲を収録させよ』。
 撮影するのは、あくまでも警察をけん制するためだ。
 八ミリカメラのフィルムは十分遅れで警察に渡す。
 それに、こちらから撮影しておけば、何回か近くを通過した車は覆面パトであると分かる。よって、運搬人が覆面パトを撒く時にやりやすくなる。
  
 この後、僕は上田で第二のメッセージを送信しなければならないかも知れない。
 犯人からの指示があればよいが、ないことも考えられる。
 その際、主犯がいることを証明するために誰かが犯人役をやらなければならないのだ。
「誘拐というのも大変な作業だ」

 溜息をついて無線装置の電源を切ると、後ろから低い声をかけられた。
「よう、小林少年。こんな所にいたんかな」
 ドキッとしてして振り向くと、如月警部だった。
「大変だいなあ。オメーも。ま、みつかっちまったからには、そこまでにしようや」
 僕は慌てて無線だけはわらの下に隠そうとした。
 しかし、無駄だった。
 警部が嬉しそうに呟いた。
「そうかい、そうかい。なるほど。オメーに聞いた指示書の内容は、海野宿で六時に出発せよと書いてあるだけだった。だが、通常は主犯がキーポイントで連絡をしてくるものだ。そうでなきゃ犯人の指示に従う奴はいねえからな。だから、絶対コンタクトがあると予想していた。そうかい。そうかい。なるほどね。主犯はお前さんだったのかい」

(続く)
 作者注・登場する団体、名称などは全て架空のもので、現実の名称などとは全然関係ありません。それに歴史小説でも時代小説でもないので、時代考証もあんまり真剣にやっていません。なので、今後、当時海野宿になかったような建物(例えば、置き屋とか、立ってするパチンコ屋とか)も、時代色を出すために必要な場合は出てきます。

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社長のOKしないような新冷麺開発プロジェクト(2回目)
今回は、チーズ系を中心にゆきます。
まずは、好きなものを列挙。
うに
チーズ(カルボナーラをベースに)
冒険篇では、前回の改造で。
コーヒー
ココア(チョコ)
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では、検討を始めるぜい。
(1)まずは、カルボナーラをベースにしたもの。
市販のカルボナーラ・ソースに冷麺を入れる。
上に乗せるのは、うに、いくら、シャケフレーク、小柱、乾燥桜エビなど、何でも。
ウニは味が薄いので、ウニ味のカルボナーラにする時は、瓶ずめのウニくらげや粒ウニなどが良い。かに味噌やエビ味噌でも。
トッピングで意外と合うのが、わさびせんべいのミンチ。
市販のカルボナーラ・ソースはやさしい味なので、もっとパンチの効いた味にしたい時は、わさびとゴルゴンゾーラ(少しチンして、生クリームなどで伸ばして)を加えても良い。
でも、ゴルゴンゾーラは癖があり、一人前の麺全部を合えるとくどいので、一人前を四等分して、精進風に、カルボナーラ+ウニ風味、普通のカルボナーラカルボナーラゴルゴンゾーラ+刻みのり、カルボナーラゴルゴンゾーラ+わさび、などとすると飽きない。

ストリングチーズが合うと思ったけど、冷たいとぼそぼそするので、やっぱりクリームチーズを暖めてからのほうが良い。

(2)和風のパスタソース。
基本的にきのこソースでも他のパスタソースでも、合う。

キューブチーズで、トマトチーズとペッパーチーズの詰め合わせがあるけど、日本人なら、うにチーズとか、かつおチーズとか、いくらチーズとかのキューブがあっても良いような気がする。
パスタの上にそのまま乗せても良いし、パーティなどのサラダにそのまま載せても良いし、便利だと思うのだけど……。

では、冒険篇。
(3)前回のをレベルアップして、コーヒー牛乳+コーヒーゼリー(シロップ付き)+冷麺にしてみました。
これは、普通に飲むコーヒー牛乳の味では薄いので、かなりコーヒーを濃くしないと駄目(麺にからまない)。私的には結構好き。でも、麺でなくて、白玉の方がおいしいかも。

(4)チョコフレーク麺をレベルアップ。
濃い目のココア(苦いほうがおいしい)+牛乳+チョコフレーク。上と同じで、白玉のほうがおいしい。ドリンクチョコでも良い。

(5)もう一つ、私的にお勧めは、とろける杏仁+冷麺。
気に入ったけど、一般的には?????かな。

前回の補足。
たこ焼き冷麺のところ。子供向きには、お好み焼を猫型などで抜いてソースマヨ味の冷麺の上に乗せても可愛い。(型で抜いてあまった分は大人が)

少し変化させるには、アタリメの時の付け合わせ味(醤油マヨ)にしてシーフード炒めを乗せても良い。