『夜叉』『ダヴィンチ・コード』『嫌われ松子の一生』紹介

『夜叉』東宝、1985年
監督・降旗康男、脚本・中村努
出演・高倉健、田中裕子、田中邦衛大滝秀治寺田農小林稔侍、下條正巳ビートたけし、あき竹城、真利村梨邑ケイ、檀ふみ乙羽信子奈良岡朋子いしだあゆみ

内容・15年前、大阪ミナミのヤクザだった修治(健さん)は、今は日本海に面した小さな港町で猟師として暮らしていた。ある日、ミナミから蛍子(田中裕子)という女がこの町に流れてきて、居酒屋を始め、店は猟師仲間でにぎわっていた。その頃、矢島(ビートたけし)というヤクザが蛍子を追って町に姿を現す。矢島は覚醒剤の常習者で、いつの間にか猟師たちをも巻きこんでゆく。それを止めようとした修治は、蛍子と共に、抗争に引きこまれていった。そして、背中の「夜叉」が怒りを爆発させる日がやってきた……。

感想・田中裕子といしだあゆみが演技がうまい。その二人に比べると、健さんビートたけしはちょっと、鉄仮面みたいなかんじ。(ごめんなさい。誇張です。本当は二人とも大好きです。本当でーーす)
健さんも、若い頃に比べれば、演技はうまくなって、良い味は出しているんだけど、何しろ、今出した二人が滅茶苦茶演技派だから。
 でも、私としては、久しぶりにケチがつけられる映画に会えて、嬉しい。
 実は、毎回毎回、ブログで小説を書く度に、トリック以外の部分で余計なことを考えて、疲れてしまい――例えば、この名前で、この人を犯人にしたら、こういう噂が広がるだろうから、こうするしかないなあ、とか――へとへとになっているので、今回はなーんも考えないで書きます。はっきし言って、ストレス発散でーーす。
 つうことで、健さんとたけしさんは、目をつぶってください。
 気になったこと、その一。健さんの耳の舐め方が今一。
これは、浮気のシーンです。健さんいしだあゆみという良く出来た女房がいながら、田中裕子と浮気をしてホテルに行くのですが、その部分です。どこが今一かは言及できないし、それに、監督さんの指示に従ったまでで、本当は違うかもしれません。興味のある人はDVDを見てください。
 でも、もっと言ってしまうと、耳のなめ方は今一でも、乳の揉み方が上手ければ問題はないとの指摘もあるでしょうから、ここまででイチャモンは止めます。それに、これ以上書くと、妄想で、夜、眠れなくなってしまいそうなので。
 そう言えば、健さんを前にして、いしだあゆみと田中裕子が、「私もお酒のんじゃおうかな?」「注いで?」「あらあら私がお注ぎしますわ」などと、にこにこしながら嫉妬の火花を散らすシーンは圧巻どえーーす。女は怖い。 
 
 気になったこと、そのニ。ビートたけしがヤクを捨てられて、女房(田中裕子)を追いかけるシーンが今一。ヤクを捨てられたらもっと、怒り狂うと思うのだけど。
 ここでは、雪の埠頭を、フォークを持って追って行くんだけど、すっころんで、健さんに止められておしまい。詳しく見たい人は、DVDを。
 まあ、これも、監督さんの方針でしょうから、文句は言いませんが(言ってるか?)、麻薬を捨てられたら、『新仁義なき戦い・総長の首』の中の室田日出雄か、山崎努のように、あんなこともこんなこともすると思うんだけど。ここまで書いただけで、また妄想が……。なので、ここでおしまい。

 今週は『眼下の敵』とか『クリムゾン・タイド』も見たけど、やっぱり、ファントムのコックピットとか、頭上に戦艦がいる状況下の潜水艦の中の方が、私は好きかな?

ダヴィンチ・コード
原作・ダン・ブラウン(『デセプション・ポイント』の人)
監督・ロン・ハワード 
出演・トム・ハンクス(ラングドン教授)、オドレイ・トトゥ(ソフィー)、ジャン・レノ(ベズ・ファーシュ警部)
内容・ルーブル美術館の館長のソニエールが異様な死体で発見された。死体はグランド・ギャラリーにダ・ヴィンチの最も有名な素描<ウィトルウィウス的人体図>を模した形で横たわっていた。館長は銃撃され、自分の体に必死でダイイング・メッセージを残したのだ。
 殺害当夜、館長と会う約束をしていた人・ハーバード大学のラングドン教授は、警察より捜査協力を求められる。
 館長の腹の上にはペンタクルの図が血で描かれ、床には次の数字と文章が残されていた。ブラックライトペン(透明インク)で。13−3−2−21−1−1−8−5。おお、ドラコンのごとき悪魔め! おお、役に立たぬ聖人め!"
 
 ラングドンは自分が警部・ベズ・ファーシュに犯人扱いされているのを察知する。自分は、マグダラのマリアをキリストの妻とするシオン修道会テンプル騎士団の研究をしていて、それに関する本を書き、ソニエール館長に会う約束はしたが会ってはいない。犯人扱いされる理由がわからない。
 そこへ、暗号解読官のソフィーが来る。彼女の部署には、全てのメッセージが送られていて、”P.S.ラングドンを探せ”の文字も入っていた。だが、警部のファーシュはラングドンを犯人と決めていたので、それを消したのだ。
 ソニエールの孫であるソフィーは、そのメッセージが自分への物だと察知し、独断でやってきて、トイレにラングドンを呼出し、警察の包囲網からラングドンを救い出す(GPSの装置を窓から投げだし、警察がそれを追跡している最中に、祖父の残したメッセージがモナリザを示していることをアナグラムで見ぬき、そこからさらに別の絵画に辿り着き、カギを探し出して逃げる)。
 鍵は、チューリッヒ保管銀行のものだったのだ。
 二人は過激な宗教教団・オプス・デイのシラスに襲われながらも、貸し金庫専門の銀行へ行き、ダイイング・メッセージが金庫の番号であると謎を解き、聖盃の地図の入るクリプトンを手に入れ、高名な宗教学者のリー・ティビングの屋敷に逃げこむ。そして、自家用機でイギリスへ。
 ジェット機の格納庫の中で機体を回転させている最中にラングドンとソフィーとシラスがこっそりリムジンに乗り換えて、まんまと脱出。テンプル教団へ。
 しかしここでドンデン返しが。ティービングの執事のレミーが実はオプス・デイの回し者だったことが発覚。で、レミーに開放してもらったシラスが、謎を解いている最中のラングドンとソフィーを襲い、ティービングを誘拐する。
 最後には、あっと驚くドンデン返しがあるが、カーの三原則にのっとっているので、今までの登場人物の中に犯人はいる。
 感想・この人は、話が大きいし、嘘も大きい。”ジュラシック・パーク”のマイケル・クライトンシドニー・シェルダンを足したくらいスケールが大きい。はらはらどきどきの連続。
 最初は、暗号物かつ宗教物と聞いて、ちょっと退いたけど、全然退屈しないし、面白い。なぜなら、普通の暗号小説は、暗号の解説の部分が長くて、オチはチョビットなんだけど、この小説は勘で解いているので、退屈なし。一応ヘブライ語に置きかえるだのと解説はあるが、文字を適当に並べかえただけ。なので、カタルシス一杯。

 ダイイング・メッセージが具体的なのが一番面白かった。 
 例えば、XX時、青い車、ナンバーはXXXXにコンタクトせよだったら、XXXX−青車ーXX時。とかに並べ直すというやり方。単純が一番。

嫌われ松子の一生
監督・中島哲也(『下妻物語』の人)
出演・中谷美紀(松子)、瑛太(笙)、伊勢谷友介黒沢あすか谷原章介宮藤官九郎劇団ひとり武田真治荒川良々柄本明香川照之市川実日子木村カエラ蒼井そら柴崎コウ、ゴリ(ガレッジ・セール)、榊英雄、マギー、片平なぎさ本田博太郎竹山隆範カンニング)、甲本雅裕角野卓造キムラ緑子阿井莉沙大久保佳代子谷中敦、BONNI・PINK、濱田マリ、渡辺哲、山本浩司木野花、AI、山下容莉枝土屋アンナ山田花子、あき竹城、嶋田久作、木下ほうか、奥ノ矢佳奈
内容・ミュージシャン志望の笙(瑛太)は、父(香川照之)に頼まれて、53才で死んだオバ・川尻松子(中谷美紀)のアパートを片付けながら、オバの人生を辿る。
 昭和22年・福岡県大野島生まれの松子は、体の弱い妹を異常に可愛がる父の気を惹こうと、タコみたいなおどけた表情を獲得する。
 その癖が、緊張したり、パニックに陥った時には必ず現れ、「ふざけているのか」と叱責を買うはめになる。
 それに、一生懸命生きているのだが、不器用で、トラブルばかり抱えこむ。例えば、売れない作家を好きになって、そいつを追い詰めるつもりはないのだが、鉄道自殺に追い込んだり、その作家にコンプレックスを抱いている作家の愛人になって、そいつの家に押しかけて、そいつの妻に勝てるかどうか確かめ、それが原因で、折角できた愛人と別れるはめになってしまったり。
 その後も、ヤクザを好きになって、トルコに行って金を稼いだのに、捨てられたり。でも、松子はメゲない。どん底に突き落とされても、次の瞬間には立ち直って、明るく唄を謳っている。
 50才過ぎて、本当に惚れたヤクザに「うざい」と言われて捨てられてからは、故郷の筑後川と似た荒川の側にアパートを借り、そこで光ゲンジにファンレターを送ったり、酒を飲むだけの生活に陥るが、それはそれで逞しい生き方に見える。
感想・展開が早い。それに、どん底に陥る度に流れる昭和の曲が、妙に新鮮。和風ミュージカルって感じ。
 展開の早さは、劇画のよう。
 最初、高校の担任になって修学旅行に行った時に、旅館のレジのお金が盗まれたエピソードがあるの。そこで、松子はとんでもない解決策を編み出すの(興味がある人は見て)。
 で、ここの最後のシーンで、教頭役のカンニングの竹山が、松子に詰め寄るの。「別の教師から金を盗むなんて、この不始末は、どう償うつもりですか? どうあがいても償いきれないでしょう。ならば、おっぱいを見せなさい」→松子(中谷)、一瞬だけ考えるけど、次の瞬間には、ジャージを捲っておっぱいを見せる。
 この後、別のシーンに転換してしまうので、竹山がおっぱいを見たのか見なかったのかは不明。私は、最後まで、この点が気になっていた。
 
追伸。Yahoo唐沢通信2でのダイエット食開発プロジェクトは、色々とあって進んでいないので、来週アップします。それから映画でも他に紹介したいのがあるので、来週”はてな”では映画紹介で、その次の週に『昭和探偵伝・絆』の5回目にゆきます。こっちは、出来あがった分を読み直して見たら、「殆ど友達関係みたいなこの上なく穏やかな愛人関係」とか、生臭い言葉がビシバシと出てきていたので、今、再考中どえーーす。

唐沢通信2、http://blogs.yahoo.co.jp/karasawa0602/
一こくらーめんHP(唐沢が宣伝担当をしている店)http://www.geocities.jp/ichikoku0602/
一こくらーめんのブログ(殆どアップしてないのですが)http://d.hatena.ne.jp/ichikokuramen/
唐沢類人HP、http://www.geocities.jp/karsawa0602/