信じるものは救われない』『使命と魂のリミット』『この国は誰のもの

本『信じるものは救われない』内藤誼人
面白いです。目から鱗の連続です。言われてみれば当然なのですが、言われるまで気がつかなかったことだらけです。
例えば”正直さは、美徳でも何でもない”の項。
ブランド品を売る場合、値段は高い方が、価値があると思われる。例えば、原価は一万円でも百万の値をつけたほうが売れる、とか。
これを私なりに解釈。
相手が、高くても妥当だと思っているのなら、100倍の値段をつけるほうが良く売れる、という意味でしょうか? まあ、考えてみれば、こんなのは日常茶飯事です。ダレでも百万円のバッグの原価が数十万もするとは思っていません。でも、バーゲンで半額になっていれば目の色を変えて買います。それは、道具として使うためです。つまり、「これ百万もしたの。でも、私のお給料と両親の稼ぎを考えれば、それほど痛くはないわ」などと言って、合コンで金持ちのお坊ちゃまを騙すのです。
 まさに、”正直さは美徳でも何でもない”の良い例です。

他に、”知っていることでも知らないと応えておけ”
 これは、相手に花を持たせるという意味です。会議などは別。一般的な雑談の場合です。自分が知ったかぶりをして喋りまくれば、相手は嫌な気分になると同じで、自分が知っていることを相手が喋りまくれば、自分は面白くない。でも、そこをガマンすれば、相手は良い気分になり、呑み代をもってくれたり、仕事で優遇してくれたりする。まあ、そういう意味です。言いかえれば、聞き上手になれってことで、銀座のママの鉄則でもあると聞いたことがあります。

本『使命と魂のリミット』東野圭吾
心臓外科医の卵の話です。マンガ『研修医なな子』(森本梢子)をもっともっと劇的にしたような話です。
おおざっぱなストーリーを言いますと、主人公は、父親を動脈瘤の手術で亡くした過去があります。その手術をした高名な心臓外科医に、今師事しています。で、心の中では、なぜ手術が成功しなかったのか? ミスなのか、しょうがないことだったのか? その辺をさぐりたいと思っているのも事実です。ミスではないかと思ったのは、父の死後、母が、その外科医と付き合っているのに気がついたからです。でもって、話が進行して行くと、父が捜査の最中に交通事故死を起す遠因を作っていて、その事故で死んだのが、今師事している外科医の息子だとも判明します。おまけに、大会社の社長が手術をする日に目標を定めて、恨みを持つものが、病院に嫌がらせ(停電させるなど)をしかけてきます。
 まあ、目をみはるほど劇的です。きっと、本もヒットさせなきゃいけないし、映画にもしなきゃいけないし、と編集者に迫られたのでしょうね。『24』の一シーズン全てを見せられたくらいのスリルでした。

 でも、ここで一つだけ、小さい小さい疑問。
 何となく、皆、こんな素晴らしい医者かなあ? 『研修医なな子』は、”ああ、こういう医者っているいる”って、頷けるんです。『なな子』は、登場する医者が人間くさいんですようね。例えば、あまりにも忙しくて、仮眠室で着替えをするんですけど、そこにパンツを忘れて、そのことにすら気がつかないとか。あるいは、患者の顔を見ても、全然思いだせなくて、揖保痔の切開跡をみて、ああ、あの時の、と思いだすとか。その辺が、とても人間臭いんですよね。
 勿論、この本もとても良く取材をしてあるんですけど。なんか、登場する医者が皆神みたいで。こういう医者だけだったら、前立腺手術をわざわざ内視鏡を使って10時間もかけてやって、患者を死なせるなんて医療過誤は起きないでしょうし、やってもいないレーザー治療を毎月保険請求するなんて不正も起こらないんでしょうが。その点だけがちょっと。他は感動です。

『スピン』山田悠介
これは、ホラーです。今までミステリー以外は取り上げたことのない私がホラーを取り上げたのは、何故か? 答えは簡単。計算だからです。私だって、無収入のままで終わりたくはないので、そのうち、自律神経失調症が直ったら、積極的にセールスをしたいと思っているからです。それには、新人発掘に真剣な会社を考えていますし、そこでデビューした作家も取り上げないと、という訳で。(何か、久しぶりにアグレッシブになってます。ドグマチールが利いてきたせいでしょうか?)
ま、その前にマンガをもっと上手くなる必要もありますし、ダイエットブログが出版になっても差し支えはないのですが。参考までに、アメブロのダイエットの方は、月に2キロのペースでほぼ順調に体重ダウンしておりますので。
 で、『スピン』ですが。この作家は、古巣(文芸社)で書くときよりも、アウエイの出版社で書く時の方ができが良いような気がします。普通は、古巣の方が肩の力が抜けて、面白いのですが。珍しいタイプですね。私はデビューしてからずっと読んでいますが、一皮むけたと思ったのは、『パズル』でしたから。
 で、再度『スピン』ですが。これは、各地でバスジャックをした高校生(主に)たちが、東京タワーを目指す話です。最初は視点がコロコロ変わって、ちょっとついて行きずらいのですが、なれてくれば、サクサクと進むし、展開も早いので、面白いです。それに、最後のどんでん返しもちゃんとミステリーになってますし。まあ、デビューしてからかなり勉強したんでしょうね。完全にホラーから脱出してます。
 それにしても、最初の”佐藤さん殺し”から、よく、ここまで成長しましたですねえ。最初のなどは、なんと形容したら良いか、分かりませんでした。でも、背中がむずむずしたので、(私の場合、背中のむずむずがバロメーターです)きっと成長すると感じたのでしょうね。

本『この国は誰のものか』牛島信
 この人は、会社の買収や合併関係専門の弁護士をしていて、経済専門誌に『会社は誰のものか?』っつう趣旨のエッセイを書いていて、それをまとめたものです。ですから、内容は、ほとんど、株や会社のっとりなどの話です。でも、一つ一つのコラムが細かく分かれていて、読みやすいし、とてもわかり易い。多少は、専門用語(業界人にとっては当たり前の言葉なのでしょうが)が多くて、イミダスを引きながらでないと意味不明な部分も多いですが、面白いです。インテレスティングの意味で。勉強になります。
 うちは、会社経営をしているので、登記所に行くこともあり、否応なく法律は勉強しなければなりませんが、そういう機会のない人でも読むほうがよいと思います。これから先、会社合併などが進めば、明日からは夫が流浪の身、なんてことがもっともっと起こるようです。
 それから、今後、アメリカの法律事務所などがどんどん日本に進出してくるようです。で、そこに就職しようと思えば、弁護士の資格だけでなく、ビジネス英語や法律英語も必要になるようです。まあ、逆に考えれば、人口減少で医者などは余るようになるでしょうから、子供をそっち方面に進ませたほうがずっと将来性があるとも言えます。

本『腐女子彼女。
↓な感じ。右側のは、ハート型のエプロンのつもりだったのだけど、ちょっとエロいので、スカートもつけました。3番目のはおまけ。メイド喫茶があるのなら、お医者さん喫茶があっても良いのでは? 腐女子ボーイズラブ好き。だけじゃなく、腐女子=コスチューム好き。腐女子=けっこう心は男?でも、自分のパソコンでエロ小説を頼むほど神経は太くない。←この心情、半端じゃなくよくわかる。


DVD『レイディー・イン・ザ・ウォーター』
とても説明が難しいんだけど、あえて言えば、創作をしている人には分かるけど、それ以外の人には??かな。
分かるってのは、感じられるって意味だけど。創作者の殆どは、これと同じ類のことを言いたいと思っています。
きっとこの監督は天才系なんだと思う。なので、私が監督の言いたいことを”通訳”をすると、大体次のような感じかなーー人間はどんな人でも価値のない人はいない。誰でも誰かに影響を与えているし、その人から影響を与えられている。意識するとしないとに関わらず。その関係は人と地球でも、人と宇宙でも同じだーー。
私は感動したけど、でも、大ヒットするには設定が間違っている。それは、おとぎ話を現代にもってきた点だと思う。
おとぎ話は”昔昔あるところに”で始まるように、時代物にしないと観客が無意識に拒否してしまう。あるいは、アニメかCGにするべき。
 具体的に言うと、『レディー・ホーク』を現代にしたら面白くもおかしくもない。あるいは『シュレック』を実写にしたら白ける。そのように、設定をミスったら、駄目だ。しかし、このミスは成長するための小さいミスであると思う。大予算を使って取り返しのつかないミスをしたのとは違う。次回作を作るときに、今度はじっくり考えればよいことである。おとぎ話なら昔の時代に。あるいは、じっくり時間をかけて出資者を募ってCGかクレーアニメなどのファンタジー設定に。そうすれば、『リトル・ミス・サンシャイン』のような感動を残すことができると思う。


DVD『サム・サッカー』
アメリカに限らず、世界中の若い世代の悩みや現実をみせつけられたって感じ。
まあ、永遠の問題なんだけど。
自分がうまく表現できなくて、理解して欲しい人には理解してもらえなくて。自分は真剣になりすぎるキライがあるのに、好きになった女のこは、遊びだと(正確には実験)だとしか思われなくて。まあ、相手の女のこもちょっと病的に臆病かな?だって、マリファナを吸引して相手の目を隠してからでないと、”実験”ができないのだから。まあ、そんなこんなで、とても考えさせられる作品です。どんでん返しもどきどきはらはらもありませんが。

『36』の続きは2,3日後です。