そのときは彼によろしく、ただ君を愛している他

映画、本『そのときは彼によろしく』市川拓司原作
内容・主人公の智史は、小さいアクア・プランツの店を経営している。バイトは夏目君。モデル並のプロポーションで三ヶ国語を喋る、バイトにはもったいない人材だ。主人公は人づきあいが下手なので、結婚紹介システムで選ばれた女性・美咲とつきあっている。美咲とデートして遅くなった日、店にバイト募集で美人の子がやってきている。森川鈴音。女優をやっていたのだけど、ストレスで嫌になってしまったんで、店に住み込みでバイトをさせて欲しいと申し出る。交渉はすぐにまとまった。主人公は美咲とまだ三回しかデートをしていないが、中学の頃の友達――佑司と花梨――の話を仲介にして、しだいに打ち解けてきている。鈴音が胸にしているペンタプリズムを見て、少し懐かしさを感じるが、何度目かのデートで、昔、花梨に同じ物をあげた話をいて、鈴音が花梨であることにきがつく。十五年も経ってすっかり変わっていたので、気が付かなかったのだ。
それから話は飛んで、自分が一番すきなのは、今でも花梨ではないかと思うようになる。一方、美咲もそれに気が付き、別れ話を持ち出す。お別れ会の日、”よくできた偶然”であるが、美咲は、夏目君が、数年前に振った相手だと知る。さらにさらに、消息不明だった佑司が入院して意識不明であることが分かる。このときになって、花梨は、自分の姉が、二十年眠ったままで、自分も眠りの世界へ行けることを打ち明ける。そして、二人は抱き合い、花梨は佑司を迎えにゆくために、深い眠りにつくのだった。
感想・ファンタジーですねえ。言葉使いが、宮沢賢治の『銀河鉄道』みたいな、ちょっと懐かしい、よくできたファンタジーです。でも、途中までは、そんなことは語られないので、純愛小説かと思って読んでいました。ファンタジーと分かってからは、少し、『いま会いにゆきます』風のロマンチックな匂いを感じました。ほんわかとした涙がでます。

DVD『ただ君を愛している』市川拓司原作
『そのときは彼によろしく』を読んですっかり市川拓司のファンになってしまったので、このDVDも見ました。
内容ですが、ある大学の入学式の日、誠人(まこと)は車の流れの途切れない道を、どうしても渡ろうとしている女の子・静流(しずる)に出会います。静流はメガネをかけ、髪もぼさぼさで、スモックを着て、まるで小学生みたいな幼さです。静流は誠人を好きになって、同じ趣味であるカメラを始めますが、誠人は同じクラスのみゆきに一目ぼれをしています。で、結末から言ってしまいますと、『女』を感じない誠人は、家出をしてきた静流を、自分の借りている家に下宿させてやり、だんだんと好きになってゆきます。が、キスをした翌日、静流はどこかへ旅立ってしまいます。で、時間は飛んで、卒業後、ニューヨークで写真の個展を開くという手紙を静流からもらった誠人は、ニューヨークに飛びますが、約束していた場所に現れたのは、ニューヨークで仕事をしていたみゆきでした。そこで誠人は、静流が、成長すると死ぬ遺伝的な病気であり、成長しないために薬を飲んでいたんだと知らされます。おまけに、静流はちょっと前に死んでいたのです。
感想・この作家は言葉使いが印象的です。たとえ、『男の子は、一人分の幸せをもっているんだから、それをちゃんと相手の女の子に渡さないといけない』とか、『わたしはまだちゃんと振られていないから』など。思わず泣ける言葉が色々とあって、じわーんと心が暖かくなります。最後の個展で、成長抑制剤をやめ、女性として成長した静流の写真も素敵です。

DVD『シャーロットの贈り物』
ウイニーという子豚とシャーロットというクモの心の交流の物語です。ときどきナレーションが入るんですが、それが絵本みたいな雰囲気をかもしだしています。
ウイニーは春生まれの子豚ですが、普通ならクリスマスに燻製にされてしまう運命です。それをさけようと、牧場の仲間――ねずみ、羊、アヒルなど――は知恵を絞ります。
動物小屋の隅にはクモが住んでいます。動物たちからは嫌われていますが、ウイニーは友達になろうと提案します。シャーロットは考え、ウイニーを有名にしたら燻製にされないだろうと結論を出し、クモの糸で『some pig(ちょっとした豚)』という字を描きます。これでウイニーは有名になります。その後も人気が衰えると『きらきらした』と描きます。でも、コンクールで優勝しないと牧場主は特別な豚とは考えてくれないでしょうし、その際は……。で、コンクールの夜も、一生懸命考え、ねずみの協力もとりつけて、『控えめな』とクモの糸を編むのです。ウイニーは特別賞をもらいますが、今度はシャーロットが子供を産んで、一生を終える時期になってしまいました。
感想・子度向きだと思って馬鹿にしていたのですが、思わず泣いていました。

本『余命三ヶ月のラブレター』鈴木ヒロミツ
肝臓がんで亡くなった鈴木ヒロミツの最後の手紙と対談集です。自分で書いている部分が最初の40ページくらいで、後は、経歴のインタビューという辺りがちょっと物足りないのですが。でも、延命治療を諦めて、最後まで好きなタバコや食べ物を楽しんだ、というところが、何とも胸をつかれます。人間、やっぱり、人生は楽しまなくては空しい、ということでしょうか。

本『人は暗示で9割動く』内藤誼人
またまた同じ人をとりあげてしまいました。タイトルが面白いので、しょうがないでしょう。
内容・なかなか勉強になります。”話の要点を10秒くらいで伝えてみせる””ホメまくって快ムード状態を作れ””暗示をかけるときは、少なくとも、3回はくりかえせ”などなど。最初のなどは、宣伝やキャッチコピーの基本ですし、二番目のも当たっています。確かに、ホメられると、頼まれごとを快諾してしまいがち。三番目のなどは、仕事で人を動かすときに役にたちます。この本のすべてが即役にたつとはいいませんが、人間関係で応用できることが多いです。

来週は、定率減税のカットと市民税都民税倍額アップに抗議してダイエットブログを中止していますので、お休みです。