天使の卵、武士の一分、リットルDJ、カフーを待ちわびて

そろそろ脳みそのリハビリをかね、新しい小説の模索を始めなければいけないので、マンガ付き短編は休止します。
DVD、本『天使の卵村山由佳原作
大ヒットした小説の映画化です。
内容・大学生の歩太が8才上の精神科医・春妃を好きになって、春妃が急逝してしまうまでの話。本の内容は、そこまでですが、それだけでは短いので、映画では、続編の『天使の梯子』『ヘブンリーブルー』からの会話も入っています。春妃の死の数年後、春妃の妹の夏姫と、恋愛時代を回想する形式になっています。宮沢賢治の詩とか、切なくなる会話が満載です。泣けます。

DVD『武士の一分』
内容・主人公・三新之丞は毒見役で、あかつぶ貝の毒に当たって失明してしまう。妻の加世は、自分を好きな上級武士の所へ行って、家禄を下げないようにとお願いし、体を要求されてしまう。結果、家禄は下がらなかったのだけど、その武士の助言はなかったことが判明し、主人公は、果し合いを申し込む。
感想、会話が軽くてよい。アホウとか、殺意を感じるとか、などなど。最後はハッピーエンドで、これもなかなかよいです。

本『リットルDJ』鬼塚忠
映画化の決まった本を二冊取り上げます。
これは、一言で言ってしまうと、白血病の少年の話です。セカチュー路線です。
内容・海辺の病院に、白血病で一人の少年が入院してきます。彼は、院長先生のお父さん(おお先生)が、毎日、昼食時に、クラッシックを院内放送で流しているのを聞き、DJをさせてもらえないかと頼みます。おお先生は、病気が良くなればと快諾してくれ、音楽が流れる前に短いおしゃべりが開始されます。そのうちに、リクエストも受け付けるようになり、ポップスも流れ始め、さらには、患者をゲストに招いて、トークも始まります。しかし、主人公の病状は悪化し……。
感想・地味ですが、泣けます。病院内のけんか、淡い恋など、じっくりと日常生活が語られてゆきます。院内のDJという発想がユニークです。

本『カフーを待ちわびて』原田マハ
これも映画化の決定した作品です。
内容・沖縄、与那喜島、友寄明青(あきお)の元へ、一通の手紙が届きます。遠久島の飛泡神社で、『嫁にこないか』と絵馬に書いてあったのを見つけた女性・幸からでした。中には『私をお嫁さんにしてください。近々お訪ねします』と書いてあります。
 数週間後、美人がやってきます。そして店を手伝いながら、同居するようになります。あの手紙の主なのですが、なぜ、あの手紙を書いたかは話しません。主人公は、自分の手が野口英世みたいに指がないのを引け目に感じていて、好きなのに、プロポーズができません。そのうち、島の開発計画が持ち上がります。
 首謀者は、友達の俊一で、賛成派がどんどん増えてゆきます。残りは、主人公と裏のおばあの二人だけになってしまいます。で、最後のほうで、友達の渡が、実は、あの女は、俊一が、明青を懐柔するするために送り込んだ女だと言い出します。つまり、女を好きにさせ、女のほうから「移住しましょう」というつもりだったと。主人公はショックを受けて、百万を渡して出て行ってくれといいます。幸も悲しそうな顔をしますが、主人公のウソーー別人と結婚するーーを信じて、悲しそうに出てゆきます。
 で、この後、大ドンデン返しがあるのですが。
感想・技巧派です。さいごのどんでん返しは言えませんが、推理ではないでの、当たり障りない部分だけいってしまいますと、実は、女は、送り込まれた人とは別人だったのです。
 では、幸は、誰で、なぜ、あんな絵馬に感動してわざわざやって来たかというと、親しい人を通じて主人公を知っていたからで、あの絵馬を見て自殺を思いとどまったので、お礼もかねてやってきたのでもありました。 (ああ、謎解きをいいたい)
 まあ、実際読みおわってみると、「そんなこと、最初に言えよ」と突っ込みを入れたくなってしまいますが、それを最後の最後まで言わないところが、非常に技巧派です。

来週はお休みです。