クローズド・ノート、ドロップ

本『クローズド・ノート雫井脩介
9月29日から映画公開の決まった作品です。
内容・香恵(大学生)は押入れの中に、前の住人の残していったノートを発見します。その人は伊吹という小学校の先生で、喘息をかかえながらも、独特の方法で生徒をはげましていた人でした。独特の方法とは、例えば、ちょっとした努力で何かを達成した子に、伊吹賞を与えるなどです。ノートには学校での苦労や嬉しかったことがびっしりと書かれています。
 他にも、自分が隆という男性に恋心を打ち明けられなくて悩む姿も詳細に書かれています。
 私(香恵)はその記述に励まされて、自分の好きな相手・石飛に心を打ち明けます。しかし、彼には広告代理店に勤めるバリバリのキャリアウーマンの恋人がいて、ことごとく邪魔をしてくるのです。おまけに、石飛も、香恵を『ちょっと変わった子』ぐらいにしか思っていません。
 しかし、伊吹先生の勇気に励まされて果敢にアタックするのです。
感想・最後が泣けます。最後の最後になって、伊吹先生の相手と石飛が同じ人であったことに気が付き、先生のノートのメッセージを読み上げるのですが、そこは涙はらはらです。
 全体的には感涙路線なのですが、でも、あえて文句をつけさせてもらえば、万年筆の薀蓄の部分がちょっと長すぎるかな? ここのところは切ってもらわないと、ちょっとうんざりです。
 まあ、作者は、ここで好きになるので、長くしたのでしょうが、それなら一目ぼれだとはっきり書いてもらわないと、伝わらないし。
 それから、嫉妬心とか、女心をよく研究しているのだけど、やはり作者は男だから、時々違和感があったかな。例えば、すきでもない男からコンサートで花束をもらうのは、現代女性なら普通だと思うけど、変にかんぐるのがちょっと。
 あとは、マンドリンで弾く曲が『灯』っていうのがちょっと古いような。そのくらいですね。

本『ドロップ』品川ヒロシ
 28万部の大ヒットになった作品だそうで。どんなんかなあと思って読んでみました。
 感想としては、喧嘩のシーンが多いですねえ。ほとんどがそればっかりです。
 でも、不良友達の彼女に寄せる想いとか、不良友達が死にそうでICUに入っているシーンなどは泣けました。不良友達の彼女にソッコーで振られるシーンは笑いましたけど。
 にしても、同じ芸能人でありながら劇団ひとりは68万部。こちらは28万部。どこが違うのかを検討してみました。
 前者は各所にジワンと泣けるシーンがありましたですねえ。後者は、最後の最後だけです。
 それから、前者は、人生の機微とかアイロニーとかがありました。なので、もう一歩売れるためには、次のような題材が入ればよいのかも。
 例えば、友達に嘘を言ったら、それが原因で自殺してしまったとか。あるいは、友達に本当のこと(言われたくないこと)を言ったら、それが原因で不良になって、おお喧嘩をして、片目を失ってしまったとか。
 てか、そんなの、自分の作品に入れろよって感じですよね。何も、大いに売れている芸人にこれ以上売れるようなアドバイスをする必要はないのでありますが。
 しかし、自分の作品となると、本当にむずかしくって。他人に対しては次々とアイデアが出るのに、自分のは、どうも。悪戦苦闘です。
 つうことで、今回は、自分に対してのアドバイスでした。
 新作のDVDは、ほとんど映画で紹介したものばかりなので、今回はなしです。
 では。

来週は休みです。