ヒートアイランド、モップガール、この指とまれ

青春文学大賞の締め切りま近だっつうのに、こんなに紹介する暇が良くあったよな、と思われるかもしれませんが、そうです。今回の青春文学大賞に応募するのは諦めたでやんす。
 理由は、この前も書いたように、タイトルに”恋愛”と入っていなかった点。それと、”文学”となっているのに、私のが、泣け泣け路線だからです。
 一次通過後はネット投票というのは魅力なのですが、ま、別の恋愛とついている賞を探すことにいたします。
 ヒートアイランド垣根涼介
 今秋公開予定だそうです。書かれたのはずいぶん昔なので、文庫になっております。
 作者はサントリーミステリー大賞でデビューした人です。懐かしいですねえ。今はもうこの賞はないですだ。
 内容、渋谷でチーム(6名)の頭をやっているアキというクソガキ、元へ、青年がおりまして、ヤクザと戦う話です。
 アキは、ミカドというチームを率いていて、週末ごとに喧嘩興行をして収入を上げています。ある夜、六本木のやくざ(松谷組)の賭博場から、プロの現金強奪人が、上がりを奪います。その中の一人が、50代で、引退を考えております。彼が、呑んでいるところへ、ミカドのチームの数人が通りかかり、金を奪います。その後は、プロの現金強奪人と、渋谷を仕切っている幾つかの組が入り乱れての攻防戦となります。
感想、いいですねえ。闇社会オタクの私としては、わくわくどきどきの連続です。アキが知恵を絞って、ある組に援護を頼むんですが、実は、それがフェイクで、松谷組と渋谷を仕切る組との全面戦争に持ち込んでゆき、そこへ、プロの現金強奪人が絡む辺りが見ものです。スリルとサスペンスのジェットコースタームービーになりそうです。

モップガール、加藤実秋
10月からテレ朝でドラマ化が決まった作品です。
内容、桃子が就職した会社は、掃除会社との名目でしたが、行ってみると、血まみれの凄惨な場所。あ、いや、この中では、自殺とか事故なんで、組と組との全面戦争なんて場面はないです。では、一話ずつ紹介。
第一話、あるマンションで”掃除”中、南フランス辺りの風景が桃子の頭の中にフラッシュバックする。そう。桃子はサイコメトラー。で、事件性を感じた桃子と、同僚は、掃除した家に、アフターサービスと称して勝手に入り込んで、探偵まがいのことをして、真相を暴く。
第二話、第二の掃除現場に行った後、全ての味が赤いきつねになってしまう。ここは、自殺の後始末なのですが、これも前と同じで、事件性を感じた桃子は、勝手に自殺者の会社に潜入して、かぎまわり、真実を発見する。
後のも同じような展開ですが、毎回、映像とか味とかに代わるサイコメトラーって設定が新鮮です。それに、作者は時代劇オタクらしく、銭形平次投げ銭なぞが出てくるのが嬉しいです。ちなみに、この作家は、創元推理短編賞の受賞者です。私も昔は出していましたが、この賞は、加納朋子のような叙情的な作風か、時代劇的ミステリーが好まれる傾向がありますねえ。余談ですが。

この指とまれ小川勝己
帯の”青春クライムサスペンス”に惹かれて買ってしまいました。先週は、”青春とは何だ?”って点に悩んでいましたので、”青春”って文字が目に入ると思わず買っていました。
 他にも、”reverse”(石田衣良)とか黒水熱(ヴァシィ章絵)とか買ってしまったのですが、読み終えてないので、次回回しです。
内容、女子大生の夏子をリーダーに詐欺グループが結成されます。そして、詐欺をくりかえし、奪う金額が、小額から徐々に大きくなり、最後は数億までいってしまいます。
 詐欺については、詳しく調べたんでしょうねえ。驚くほど詳しく書いてあり、非常に勉強になります。
感想、この人は、横溝正史賞出身者です。たしか、その時の『葬列』はやくざの賭博の上がりを盗む話だったような気がしますが。
今回は、最後の方で、生首とか凄惨なシーンがでてきますが、それまでが詐欺の説明が多くて、少々間延びですねえ。それに、全員のキャラが皆薄いような。皆、それぞれに、負け犬という過去をもっているのですが、毒気があまり感じられなくて、残全です。小説の出来はとても良いのですが。それに、それまであまり凶暴でなかった夏子が、最後でいきなりクロスボーで殺人、というのも、ちょっとギャップが大きいような。ここで個人的な趣味を言わせていただけば、次のようなのだと、面白いかも。私は、任侠オタクで、自衛隊オタクで、ボーイズラブファンですから、キップの良い姐さんと、自衛隊オタクのボーヤとメイド喫茶でバイトしている腐女子なんかが出てくれば、嬉しい。でも、こればっかしは、オタクでないと、無理か?

普通じゃない、 原田マハ
mixiで350万アクセスを突破した作品だそうです。
内容、突然、植物の言葉が聞こえるようになった少女の話です。
しいな(OL)は、植物園で知り合った老人と馬が合い、その老人の会社に就職します。が、実は、その老人(社長)は、もの凄い妄想家で、次々と難問をふきかけてきます。最初は、20分かかるところにある蕎麦屋から5分で蕎麦を届くようなシューターを作れ、というものでした。
でも、それは、会社の一箇所にその店の出店(屋台)を作ることで解決。次は、日本中のビルの屋上を花畑にせよ。これも、いろいろな努力の結果ついに、完成。
感想、350万アクセスは凄いです。大概、今までのネット小説だと、デリヘルをして、男に裏切られて、自殺未遂をして、などなどが多くて、うんざりしていたのですが、こういうほんわかした作品で、これだけのアクセスを稼げるのなら、私もmixiに引っ越そうかなあ、などと考えてしまいます。ちなみに、この作家は、ラブストーリー大賞の受賞者です。

来週は休みです。