reverse、黒水熱、ミッドナイト・イーグル

reverse(石田衣良
内容、ネットおかまとネットおなべの話です。つまり、ネットで性を偽って書いている二人が、恋や仕事の悩み相談をしながら、惹かれあってゆく。でもって、オフ会やるべって話になる。そのまま会う訳には行かないから、二人とも代役を立てるが、最後にバラス奴がいる。
感想。どうも、私は、こういう女っぽいのはあまり……でして。いつも、生首が転がったり、AK撃ち合ったり、白刃を抜いたり、なんてのばかり読んでいるので、細かい心の襞っつうのはちょっと。でも、恋愛に悩んでいる人にはお勧めです。

黒水熱(ヴァシィ章絵
内容、主人公エリカは、昔、マラリア予防接種の間違いから、子供を死なせた過去がある。あちこちで死亡事故の起きている不備な薬だったのである。で、今は、そのワクチンを製造している会社と、それを許可した大物政治家(藤原)に復讐を誓っている。
 彼女は、全身整形をして、その政治家のセックスの暴露本を出し、失墜させようとしている。
 ある日、海外のある島へ同行するはめになる。そこの、近くにある秘密の研究所の男(佐々木)と恋に落ち、その研究所で遺伝子操作したマラリアウイルスが生産されれているのを掴む。正確に言うと、佐々木は、独自に同じ調査をしている男(富樫)の部下で、富樫が、秘密を暴くのだが。
 エリカは、日本に帰ってきて、佐々木や富樫と一緒に、政治家の地元へ行き、豚を媒介にして、新たなマラリアが大量生産されつつあることを掴むが、撃たれ、殺されそうになる。
 しかし、前に働いていたデークラに盗聴器つきバイブを置いていった男がいて、それが刑事で、彼の助けもあり、藤原の悪事は暴かれ、彼は首吊り自殺をする。
感想。書かれている形式は、エリカと数人の人物の視点が交互である。でも、登場する場面が一番多いのはエリカなので、主役はエリカと思われ、女性主人公で、女性路線に思える。
 でも、それにしては、セックスシーンが多くて、男性読者に訴求しようとしているように感じる。でも、女性視点のセックスだから、男性読者が感じる描き方ではないし。つまり作者は悩んでいるんですなあ。どっちにしようかと。
 男性に訴求するか、女性に訴求するかは、そりゃあ難しい問題でして。
 私も、デビューは戦記ものでしたので、ペンネームから主役から登場人物から、全てを男性にせよといわれました。そうしないと男性読者が感情移入できないからと。で、一応、編集者さんに従ったのですが、主役だけはどうしても女性にしたかったので、それだけは残したのですが、今考えれば、それも男性にしときゃよかったと思っております。そうすりゃあ、一万部以上はいったんじゃないかと。
 で、結論だけど、男性読者に訴求するには、なにもセックスだけでなくても可能だと思う。男性の好きなのは、他にも、銃、火器、喧嘩、スポーツカー、バイク、金髪、制服、ジオラマ、プラモデル、など色々とあるのだし。それに、男性に訴求する場合、女性作家の書いた女性目線のセックスシーンは男性作家の書いたものには適わないし。
 でも、これだけ、遺伝子工学に詳しくて、構成もしっかりしているのであれば、女性読者に訴求しても売れると思う。例えば、「OUT」のように。それに、人口の半分は女性なんだし。

ミッドナイト・イーグル高嶋哲夫
11月23日公開だそうです。
内容。日本アルプスの山中にステルス機が墜落したらしい。元戦場ジャーナリストの主人公・西崎は、たまたまそのシーンの写真撮影に成功し、元妻に送って、調べてもらう。で、再度、同僚のジャーナリスト、落合と一緒に、真相究明に山へ入る。
一方、元妻・慶子は米軍基地での爆破事件の真相究明に乗り出すが、米の高官がわざわざ来ているわりには、おざなりな情報しか出てこない(自衛隊のへりが墜落した)。
 そのうちに、編集部の独自の調査で、米軍基地で爆破を起こしたのは、北の工作員であり、アルプスに墜落したのも、核兵器を搭載していたステルス(B-3A)であるのが判明。
 西崎は落合と一緒に、山の中で、自衛隊北の工作員が撃ち合っているのを目撃。自分たちも工作員と間違われて、銃撃されそうになる。
 でもって、長いので、どーーんと飛んで、最後。
 西崎は、銃撃で怪我をした、自衛隊の伍島一尉を助け、三人で、北の工作員を追い払う。しかし、核爆弾の一発は盗まれ、もう一発は、秒読みセットがなされている。彼は、慶子に連絡して、基地で銃撃された工作員から、暗号解読のヒントを得るように頼む。彼女は、ストップコードを探し出し、ストップは成功するのだが、今度は中国の軍隊が襲ってきて、核爆弾を奪おうとする、それを阻止するにはナパーム弾しかないのだが。最後は見てください。

感想。ステルス、AK、ミサイル、89式小銃、SIGザウエルP220、UH−60、などなど。自衛隊オタクには涙がちょちょぎれますなあ。でも、ちょっとクレーム。
伍島一尉がかっこよ過ぎないかい? まるでジェームズ・ボンドみたいに、不死身で博識。一尉でこれじゃあ、一佐だったらどうなるべえ。ジェームズ・ボンドの三乗になるんじゃねえの?自衛隊にいた浅田次郎の情報とはかなり違うような。
 それに、自衛隊の作戦が淡白すぎないかい?テロ工作員がミサイルまでもって、領海侵犯しているのに、応戦するのが、一小隊とヘリ二機(UH−60)。まあ、戦闘機なんかをだして、すぐにやっつけちゃったんじゃあ、主役が活躍する場がなくなっちまうか。でも、UH−60Jなんかだったら、15名運べるんだから、半径一キロの地点に、兵員をドンドンと落として援護させても良いと思うんだけど。それに、習志野空てい部隊も出して欲しいよな(あ、レインジャーとは言っているから、そうなのかなあ?)。それから、戦闘機も、どんな形でも良いから出して欲しいよな。といっても、核兵器があるんだから、すぐには使い方が思いうかばないんだけど。
 いずれにしても、スケールは大きいので、是非見たいよね。

ps。この前書いた恋愛物は、JUNON恋愛小説大賞に出しちゃいました。キーワードは、恋愛と、携帯投票だったから。一次を通過したら、携帯での投票になるようなので、そのときはお知らせしますので、よろしく。それから、前から名前がどうも気に入らなかったので、唐沢類に戻しました。
 来週は休みです。