サーフズ・アップ、暗礁

サーフズ・アップ』アニメ映画
これは、夏、ハワイに行った時に飛行機の中で見て、超はまったもの。あまりにも面白くて、行きも帰りも見てしまった。内容は、ペンギンがサーフィンをするっちゅうだけの物なんだけど、一人一人のキャラが立っているちゅうか、あ、こういう奴いる、こういう奴もいる、こういう奴もいる、って、叫びっぱなし。超お勧め。

『暗礁』本、黒川博行
忙しくて(下)は読めなかったので、あくまでも(上)の感想です。
感想。この人は、サントリーミステリー大賞でデビューしたらしいですが、私が読んだのは、ミステリー・ホラー大賞の『そして粛清の扉が閉ざされる』だった。これは、教室の中で、『バトル・ロワイヤル』(小説)が繰り広げられるような、すっごい作品で、すっかりファンになってしまった。でも、その後は読んでなくて、今回、久しぶりに読んだのだけど、ドタマがガーンとくる感じだっちゃ。
 警察とヤクザ屋さんの癒着をせざるを得ない背景なんかが分かって、面白かった。最初のマージャンの部分は分からないので飛ばしたのだけど、ストーリー展開には全然関係ないから、平気。でも、よーく考えたら、前回の『越境捜査』は警察の裏金を奪い合う話。今回は、大会社の暴力団対策費(これも裏金)を奪いあう話。やっぱり欲に突き動かされて進む話は面白い。
内容。主人公は、ヤクザの息子で、ヤクザ屋さん関係に顔が広い。それで、色んな会社がヤクザに嫌がらせをされたときにトラブル解決をする、コンサルタント会社をやっている。
 だが、桑原というヤクザに顎でこき使われている(なぜかというと、色んな理由があって、一言では説明できないので、カット。まあ、危険だけど得もあるって事)。今回は、東西急便の営業一課長、大阪支店長、奈良県警交通部の現職幹部とマージャンをさせられた。
 これは、一種の賄賂である。賭けマージャンであるから、奈良県警の現職幹部を勝たせて、数百万の儲けを出させるって仕組み。しかし、現実は、イカサマをしたので、数十万の儲けしか出さなかったのだが。
 ところで、桑原のシノギ(仕事)は、サバキ。建設会社がビルなんかを建てるとき、色んな組がいちゃもんをつけてくる。そんなときは出張って行って、二蝶会(ヤクザ)の名前を出して、数十万くらいの金で、そのヤクザを追い払う仕事。
 で、話を戻して。今回、なぜ、東西急便が奈良県警に賄賂を渡さなきゃならないかというと、東西急便・奈良支店のターミナルの前が右折禁止になっているから。そのために、ターミナルに入るトラックは、一キロ先まで行って、Uターンしてこなきゃならない。この右折禁止を解除してもらえば、ガソリン代が大量に浮く。そのため。
 奈良支店でなくて、わざわざ大阪支店の幹部が接待マージャンをしたのは、賄賂の発覚を恐れたため。
 ところで、運送会社と警察の癒着はこれだけではない。交通事故のもみ消しをしてもらうために、相当額の裏金が県警の交通課に流れているし、警察のOBも大量に天下りしている。
 で、またところでなんだけど、大阪府警の丸暴対策課(4課)の刑事・中川と桑原の癒着も激しい。警察内部の情報(例えば何月何日にガサいれがあるとか)を流してもらうために、十数万の金が流れている。
 でもって、今回の事件に話を戻すと、大阪府警の中川が、奈良県警の内部の色んな極秘情報を探って、桑原に流してくれる(当然、十数万ずつを請求される。命を助けてもらったときは数十万を請求される)。
 それで、奈良急便(東西急便の分裂したもの)の内部が分裂しかかっていることが分かる。創業者の西山派と、丸暴対策のために4課から受け入れた落合との対立である。警察の天下りで占められている落合派が勢力を拡大し、会社をのっとるまでに成長している。
 で、落合派が敵方を陥れるために、現職警官が、賭けマージャンをしたことが週刊誌にリークされる。それがきっかけで、マージャンをした奈良県警の刑事と東西急便の何人かが贈収賄で逮捕される。
 ところで、話は込み入っているので、飛んで、二宮は、「ある資料を返すので、奈良急便の北稜支店の前までこい」と呼び出される。しかし、そこへ行くと、屑みたいな書類しかない。で、しょうがなくそこを離れると、直後に、北稜支店が放火される。それは、どうも、裏帳簿を焼却し、ついでに二宮を放火犯にする目的だったらしい。
 と、まあ、話は次々と展開してゆき、奈良急便が丸暴対策費として隠しておいた金、9億が残っているらしいと判明する。おまけに裏金の管理者の部長は逮捕されるらしい。こうなると、この金を狙おうという方向に話は展開する。
 漢字が多くて、読むには、多少苦労するけど、日本の裏社会の事情が分かって、面白い。