黒冷水

『黒冷水』羽田圭介
第40回文芸賞受賞作です。史上最年少17歳での受賞なんだとか。本屋さんにうずたかく積まれていたので、買ってみました。文芸賞といえば、『蹴りたい背中』の綿矢りささんのデビューした賞どすえ。でも、若いからだけやおまへん。内容が実に充実しておりますえ。内容は、弟が兄の机の中をあさって、兄は、そんな弟の行動を毛嫌いしておって、監視カメラをしかけたりして、色々と妨害するんでございますが、まあ、描写が細かいです。これでもか、これでもかってくらいに微細にして巧緻な描写がなされてゆきます。でも、それだけじゃおまへん。この人、推理もかなり勉強してるとみえます。こう行くかと思わせておいて、足払いをくらわすなど、読んでいて、意外性があり、あきさせまへん。将来性を感じますなあ。