誘拐

『誘拐』五十嵐貴久
内容、孝介は会社でリストラを告げる役。そして、友人が、リストラを告げられ、飛び込み自殺をした。妻子も一緒で、子供は重態。その子は孝介の娘の親友で、孝介の娘も飛び降り自殺してしまう。ここまでは、誘拐とは何の関係もない話。
で、一気に誘拐に話は飛ぶが、韓国大統領が来日し、友好条約を締結する予定の日。首相の孫が、病院の入り口で待っているときに誘拐される。
視点は、首相及び警視庁、と孝介の交互の視点で描かれるので、誘拐したのは、孝介と同僚の女。
二人は、孫を、都内のシティホテルに監禁して、脅迫行為を始める。
そのやり方は直接的ではない。不作為に電話番号を選び、関係のない市民を抽出して、その人に、脅迫文を、警察に伝えてもらう。
捜査本部と直接交渉はしないから、声紋をとられることもなく、捜査は、一千人を投入しても、お手上げ状態。
血のついた服などが送られてくるが、それは偽物。
そのうち、脅迫状が、郵送で送られてくる。それには、30億円を10台の車に乗せて運べ、と書いてある。
しかし、運搬途中に、中止、との連絡が入り、孫は、無事に解放される。誘拐の目的がわからない。
だが、孫のポケットに入っていた手紙で、次の段階に入る。首相が、地銀の統合を発表し、例として、トキワ銀行を挙げる。どうやら、この辺に犯人の目的はあるらしい。
感想。最初の自殺騒動が延々と描かれるが、これが、伏線になっていて、最後は、大どんでん返しが用意されている。さすがです。『交渉人』もすごかったけど、その上。読者の期待を裏切らない。