切羽へ

『切羽へ』井上荒野
直樹賞受賞作です。フリンの話と帯に大きく書かれていたので、セックスシーンが出てくるかと思ったら、出てきませんでした。心の変化。プラトニックラブですねえ。とは言っても、心の中で、炎は燃え狂うのですが。
語り口が静かで、淡々とした日常が語られ、読みやすいです。でも、インパクトから言うと、前回の『乳と卵』に負けるかな。それから、川上未映子と比べて、上品にまとまっていて、小粒な感じ。そう考えると、川上未映子は、百年に一度の逸材ですなあ。