ジェネラルルージュの凱旋

『ジェネラルルージュの凱旋』海堂尊
内容。『ナイチンゲールの沈黙』と同じ日のERの話。
吐血した歌手、冴子を、ICU付きのナース翔子は無理にERに押し込む。満床だったので、当直の医師に頼んで、あっちの患者をこっちに、こっちの患者をあっちへとやりくりして。しかしベッドのコントロールはナース長とかそれぞれの科の医者の管轄らしく、怒られる。
次の日、リスクマネジメント委員会の委員長、田口の元へ、投書が舞い込む。『ICUの速水教授は医療代理店、メディカル・アソシエイツと癒着している。VM社の心臓カテーテルの使用頻度を調べてみろ。ICUの花房師長は共犯だ』。田口は調べ始める。看護師の藤原は病院内で誰と誰がソリが合わないとか、誰が誰のスパイだとか、複雑に入り組んだ情報をつかんでいて、うまく調べないと大事件になると言う。藤原はうまくやり、翔子にICUの中でスパイがいないかどうか調べさせる。
ところで、エシックス・コミッティ(倫理委員会)という所があり、リスクマネジメント委員会と同じような委員会なので、田口はそちらに調べてもらうように頼みに行くが、難癖をつけられて、差し戻されてしまう。
ダメ元で、速水に、この件を聞くと、素直に認める。しかし、それは、私腹を肥やすためではなく、ICUは大赤字なので、そうするしかなかった、と主張する。
で、いろいろあって、エシックス・コミッティも、重い腰を上げる。ここはかなり重い腰らしく、30件の案件を二年で通過させたのは、0件(ここちょっとうろ覚え)。
ところで、エシックスには、速水からは、AI(死後CT)を認めてくれるように要望書が出されている。しかしいろいろ難癖をつけて(あれは、生きた人間のものであるとか)案件は通してくれない。速水は切れて、辞表をたたきつける。
で、最後に、告発文を書いたのは誰か、ということになるが。書いたのは二人いる。なぞ解きは、読んでください。
ジェネラル・ルージュとは、速水が新人のころ、大災害が起こって、大奮闘したことがあった。その時は他の医者の権限を無視して、全権を自分に集中させた。その時、ルージュを引いたので、ルージュ将軍と呼ばれるようになった。この作品でも、最後に大奮闘して病院を去ってゆく。
ドクターヘリも導入するしないで、話題になるが、数億円かかるので、これは実現しない。
感想。ERの抱えるいろんな問題がリアルに描かれています。表面には現れないけど虐待をしている親とか。そういう場合にはAI(死後CT)が有効なんだとか。『救命センター部長ファイル』(浜辺祐一)の訴える問題とかなり重なる部分が多いです。
来週からは、医療ものに少し飽きてきたので、推理も取り混ぜてやります。来週は『告白』(湊かなえ)、次は『聖女の救済』東野圭吾、次は『まず石を投げよ』(久坂部羊)、次は『ガリレオの苦悩』東野圭吾、『螺鈿迷宮』海堂尊、『チャイルド44』(TRスミス)、『田村はまだか』(朝倉かすみ)の予定。最近、映画をやっていないので、どこかで映画が入るかも。

先週の続き。SPASHよ、「長沢ちゃん」を復活しろっつうの。でなきゃ、こうじゃーー。(先週、アリスの飛び出す絵本が評判よかったので、今週もそれで)