ソロモンの犬,サマヨィザクラ

『ソロモンの犬』(道尾秀介
全体の感想としては青春小説だね。

1、秋内は「RiverSun's」にいた。そこには、京也、ひろこ、智佳もいた。みな同じ大学の同級生。「この中に人殺しが」。数週間前のある日、秋内がバイトでロードレーサーに乗っていると、陽介が犬のオービーをつれて道にいた。

2、道の向こう側、ニコラスの階段には、ひろ子、京也、智佳がいた。そこで、京也が電線の雀を撃つ真似をした。その直後、オービーが飛び出し、引きずられて陽介も道に飛び出した。

3、陽介はトラックにひかれて死亡。オービーは行方不明。秋内は動物生態学の間宮教授に相談をする。「誰かが飛び出すような合図を出したのではないか?」教授の答え。「合図を出すのが主人かトレーナーでない限り、犬は絶対に従わない」。それでも秋内は、あの時の京也の仕草が事故を引き起こしたように思えてならない。

4、陽介の母の鏡子が自宅で首つり自殺。京也が発見。京也は鏡子の家の鍵を持っていた。→二人は付き合っていた。ひろ子の意見。「二人がつきあっているのは知っていた。京也は自分とも付き合っていた。つまり浮気。二人がつきあっていたせいで、鏡子先生は離婚した」

5、間宮教授の意見。「鏡子に相談を受けた。二人は慰めあっていただけ。男女の関係ではない」。オービーと鏡子の夫の悟の関係について。「オービーは悟に対しては縄張り意識があった」

6、秋内は戸部という人物から配達の依頼を受ける。しかし途中で、透明の台が置いてあり、自転車で転倒。三途の川に来た。

7、一方、悟は、間宮に尾行される。間宮は言う。「あなたが道の反対側でナイフを出したから、オービーは主人を守ろうとして、走り出したのだ」。なぞは解けたが、この後、ぞくりとするドンデン返しが。卑怯じゃーとさけびたくなるような感じ。

『サマヨィザクラ』(郷田マモラ
テレビでやったけど、見なかった人のために。

1、相羽圭一は、フォレスト・ガールのイベントで写メールを撮る。その後、裁判員の仕事へ。起訴されたのは、鹿野川雪彦。起訴事実は、次。観音丘で、近隣の主婦三人にいやがらせをされたと逆恨みをして刺殺。自分も殺したと認めている。観音丘にいたホームレスは逃げた。

2、3、裁判員は、圭一の他に5人。雪彦が殺人犯だと断定された経緯は次。寺木悦子が、被害者が死ぬ間際に、「かの」というのを聞いた。堂島未来が、犯行を目撃したと証言した。未来は、小さい頃、公園で暴行を受けた。雪彦が犯人だとの噂が流れた。

4、被害者の娘、浜千代杏里は集団によるいじめはあったと証言。わざと食べ物を置いて、ホームレスを住みつかた。ホームレスを観音様と呼んでいた。ゴミを捨てたりした。
裁判員の吉井由美香は、兄が苛めで自殺したので、自分は死刑回避に入れると断言。

5、6、近くに住んでいた斎宮祐介もいじめはあったと証言。この場所を再開発する計画があった時に、自分は土地を売らなかったので、妻が苛めに会い自殺した。しかし、他の住民は集団によるいじめはなかったと証言。
最初の評議で、死刑は4、回避は4、白紙が1。再度評議。いくら苛めがあったとしても、普通は殺人は犯さない。しかし、今回は3人も殺されている。通常の判決では、これは死刑になる、と裁判長が話す。副裁判官も前例から言えば極刑だと話す。二度目の評決では、死刑7、回避2だった。
しかし、その後、圭一が、事件のあった時間に写メを撮ったのを思い出す。見ると、後ろに雪彦が写っていた。

7、そこで圭一は再度ホームレスのいた場所に行って調べて、結論を出す。雪彦は無罪だ。真犯人は、現場から立ち去ったホームレスだ。彼もいじめを受けていた。雪彦が殺害を認めたのは、未来の復讐を受けたからだ。被害者が死に際に言ったのは、「観音様」の言葉だった。この後にもホームレスについて小さなドンデン返しがあるのだけど、それはマンガを見てください。


来週の名作復活シリーズは、『ヴェサリウスの柩』(麻見和史)にしようかな。『小説キャラクターの創り方』(若桜木虔)の中で、一人主人公視点に貫かれていていいと褒めてあったからね。

ところで、今週の推理ドラマでちょっとおもしろかったというか、犯人に同情したのは、『赤い霊柩車』シリーズかな。片平なぎさが主演する奴。まあ、いろいろと言いたいことはあるんだけど、まず、見なかった人のためにストーリーから言うと、大学の助手が殺されるの。彼女は妊娠して中絶したばかりだったの。で、誰の子かって話になるんだけど、まず、昔の恋人Aが浮かびあがるの。で、そいつとウイルスについて話していたとの証言が出るの。で、彼女のついていた教授はウイルスで大発見をしたばかりだったので、その研究を盗んで売ろうとしていたんじゃないかと推理するの。
で、この後、彼女は、大事にしていたロケットをなくして、それを拾った第三者がお約束通りの強請りをして、殺されるんだけど、まあ、これは脇道だから、忘れるとして。その後、被害者の部屋が荒らされるの。で、ロケットがまだ被害者の部屋に隠されていて、犯人は発見していないと推理するのね。それで、探すと、鉢の中から出てくるの。で、その中には、マイクロチップが入っていて、調べると、被害者のついていた教授の研究を盗んだものだと判明するのね。ここで笑ったわね。被害者はものすごい研究の成果を盗んだんだよ。殺されて当然だよね。犯人がどんなアリバイトリックを使おうと、どんな奴であろうと、私は犯人に同情するわ。というわけで、おもしろかったのはこの作品。
あと、『名探偵の掟』は二時間推理ドラマをパロディにした奴で、超面白かったんだけど、話すと超長くなるので、興味のある人は読んで。

追伸、キムくーん。息子に譲るのは国内ではインパクトがあるかもしれないけど、海外ではそんなにインパクトがないから、早く拉致被害者を開放したほうがいいと思うわ。それで日本の世論は少しでもいいほうに向かうから。