笑う警官、実況中死

『笑う警官』佐々木譲
映画化だそうで。わかりやすくていい。難を言えば、本格推理みたいにドンデン返しがないのが惜しい。でも、まあ、たまにはいいか。原題は「歌う警官」だったようで。「歌う」とは白状するの意味。警察内部の裏金のことで査問委員会に呼ばれた警官が、直前に、殺人罪を着せられ、SWATに出動命令まで出てしまう。明らかに査問委員会に出席させない為の上層部の意思。一人の正義感あふれる警官が、仲間を募り、24時間、彼を守り抜く話。手に汗握るストーリー展開です。

1、カーサビアンカ円山で水村朝美の死体が発見される。彼女は生活安全部の巡査で、ミス道警。津久井巡査部長とつきあっていた。津久井巡査部長は、銃器対策課で、郡司警部の下にいた。郡司は覚せい剤の密売に手を染めていた。津久井は、不正経理の件で、明日、査問委員会に出席する予定。そこで証言する(歌う)と言っている。

2,3佐伯は、津久井とは、潜入捜査以来の親友。津久井は水村の殺人は否定。本部が強引に、水村の殺人犯と断定した。指名手配をし、SWATの出動まで要請した。佐伯は、バー、ブラックバードに影の捜査本部を設置。24時間以内に水村殺しの真犯人をあげると、断言。

4.5新宮、諸橋、植村、児島百合も参加。児島百合の情報では、水村は最近、新しい恋人ができたらしい。ミス道警仲間の仲舘にも聞いてみるという。殺害のあったマンションで管理人に聞くと、そこら辺は、最近窃盗の被害が多発している。その部屋は生活安全部のアジトだった。よーく調べるとテレビが盗まれている。インターネットで札幌のこの周辺で窃盗をしていた人間を洗いだす。アクセス権を持っている人間のIDで本部のデータベースへアクセス。調べると三人ほどヒットする。


6,7その中で、谷川五郎が古物商に何かを持ち込んでいたらしい。質屋の親父の話。「テレビと高級腕時計のパテックフィリップとMDプレーヤー」。たまたま運転免許章を見せ、本名で質入れをした。住所の控えがあったので、そこへ行く。
谷川に事情聴取をする。「水村を殴って、強盗をした」と認める。さらに、「逃げる時に、50歳くらいのイケメンが部屋に入るのを見た」と証言。
児島の調査で、石岡生活安全部長の名前が浮かぶ。話を聞くと、殺害は認める「最近では、警察の金で海外出張へ連れていけとせがまれたり、マンションを買ってほしいとせがまれて、困って殺した」。だが、逮捕は待ってくれ。明日の朝までには出頭すると言う。しかし、その夜に自殺。さて、津久井は無事に査問委員会に出られるか?どうやって上層部を欺いて、津久井を送るか?それは映画で見てください。

名作復活シリーズは『実況中死』(西澤保彦

1、素子は夫が愛人の女性(髪が赤い)を車に乗せるのを見て追いかける。

2,その後、雷に打たれる。そして、他人の見ている物が見えるようになる。まずは、テレパシーを送ってくる奴は、どこかのトイレで女性を殺した。その後、急に意識は飛んで、今度は、ガーデンズ・フラット402、阿久津礼子の郵便受けをごそごそやっていた。翌日、ニュースで、ファースト・クックのトイレで女性が殺されたことをやっている。名前は金谷澄子。その写真は昨日、他人の意識を覗き見たのとそっくりの女性だった。つまり、テレパシーを送ってくる男(多分)は、ストーカーで、次は阿久津礼子を殺そうと狙っている。
3、素子は、そのことを知らせようと、あちこちの新聞社や出版社に手紙をだす。たまたま、主人公の小説家、保科の元へくる。保科は、最近、チョーモンインという所の神痲(かみおぎ)嗣子という女性の訪問を受けていた。チョーモンインとは、超能力何とかかんとかという組織で、テレバシーが使われたことを察知できる装置を持っている。そして、素子がテレパス(テレパシーを察知)したことを確認。そのテレパシーを神痲にも転送できるような装置を使って、テレパス転送を可能にする。今後は、素子とテレパシーを共有できる。今後、テレパシーを送ってくる男(多分)のことは、ボディと呼ぶ。次の日、阿久津礼子が殺される。例のストーカー男の仕業に違いない。

4,その後、またテレパスがおこる。今度は、ボディはロン毛の男を尾行している。保科は、昔の事件で、能解(のげ)という美人の警部とつきあいがあり、能解が阿久津礼子の事件の担当になる。能解は、素子に事情聴取をし、澄子が殺されたちょっと前に、夫の車がファースト・クックの駐車場に入ったのを突き止める。つまり、夫と愛人は、澄子を殺した犯人を目撃しているかもしれない。だが、二人とも目撃していないと証言。一方、保科は、自分の小説が、女婦木(おめらぎ)ミラという小説家の作品とダブって、没になったので、ミラが自分のアイデアを盗作したのかとかんぐる。そして、自分の小説のファンで構成される会のオフ会が前にあったのを思い出し、その中の誰かがミラではないかと疑る。会のメンバーは、男が上地、目加田、女が阿久津礼子、井落、吉川。それぞれのプライバシーを探り始める。
5、そのうち、保科の家に、ファックスが入る。「保科はヒトゴロシ、阿久津礼子を殺した」と書いてある。その後、保科は、宅配便の男に襲われる。だが、このときは、テレパスが開いて、神痲にテレパシーが通じ、なんとか助けられる。能解警部は、推理する。犯人は、阿久津、保科とオフ会のメンバーを連続襲撃している。オフ会のメンバーなのではないか。金谷澄子は別だけど。

6、その後、またパスが開く。神痲は見る。ボデイが街でロン毛を尾行している最中だった。ロン毛が振り向くと、上地だった。つまり、ボディは上地ではない。となると、オフ会で残る男は、目加田。保科。目加田は行方不明になった。残るは保科しかいないが、保科は襲われている。彼でもない。見落としている参加者はいないか?
7、さらに能解は推理する。金谷と阿久津を襲った犯人が同じだというのは、あくまでも、”パス”を通じて見たという共通点があったから。(阿久津の場合はストーキング中)しかし、金谷の場合は、素子一人の申告だし。ホシは別人なのかも。


8、神痲は言う。「ボディは金谷を誰かと間違えたんじゃないか?後ろから襲って、打撃を負わせた。だが、振り向いたら別人だった。犯人を特定されるのが怖いので、一層のこと殺してしまえと、殺したとか」。その後、素子の夫の恋人の佐藤が刺殺される。
9、能解は言う。「佐藤が殺された時、”パス”が開かなかった。つまり、誰もテレパシーを感じなかった。ということは、犯人は、前の連続犯とは別人ではないか」その後、オフ会には、ゲストとして、遅塚が参加していたことが判明。彼を問い詰めると白状する。「自分は、阿久津をめぐって、保科と三角関係にあった。保科に嫉妬したので、襲った。ファックスも自分」

10、能解の見解「保科さんは、ミラさんが阿久津さんか上地さんじゃないかと疑い、郵便受けを覗いたり、尾行したりしていた。その時、”テレパス”状態になった。襲われた時も同じだった。つまり、素子のボディは保科さん。その後、素子を問い詰めた。阿久津を殺したのは、あなたじゃないかと。すると、吐いた。そうだと。「本当にストーカーがいると思った。今でも思っているが。忠告のつもりだった。阿久津が襲われれば、テレパスの事実が警察に知れ、ストーカーが狙っている人物が襲われないと思った。それで忠告のつもりで襲った。だが、強すぎて、死亡してしまった」
11、さらに、能解は捜査を進める。佐藤を殺した現場にはナイフが捨てられていて、指紋が取れた。それを照合すると、素子の夫のものだった。つまり、佐藤を殺したのは素子の夫。夫の証言「佐藤は、素子が金谷の殺人の直前にファースト・クックのトイレに入るのを見た。それで、犯人は素子だと言ってゆすった」
さらに、能解は推理する「金谷を殺したのは、XX。彼女は佐藤と間違えて襲った。その後、カXXXに打たれて、そのことを忘れた。あたかもテレパスだと思った」