龍神の雨、ハードボイルド・エッグ


竜神の雨」道尾秀介
もう飽きるほど推理は読んでいるけど、またしてもだまされたって感じ。本当にこの人の才能には頭が下がるわ。

1、蓮は、考えている。瞬間湯沸かし器の火を細くしておけば、継父の睦男は不完全燃焼で一酸化炭素中毒で死ぬだろうか。そう考え、そのままにした。一方、圭介と兄の辰也も継母とうまくいっていない。それは、二年前に、継母の里江が母を殺したと考えているからだ。二人は継母に反抗して、レッドタンで万引きをすることを決意する。そのレッドタンで蓮はバイトをしている。ある雨の日、というか、蓮が瞬間湯沸かし器をつけっぱなしにした日、店長の半沢は、誰かからの電話で外出をする。

2,3.その後大雨になり、店は閉店して、蓮は家に帰る。すると妹の楓がスカートを拭いている。楓の話。「継父の睦男に無理に抱かれた。それで殺した」。蓮と楓は、車で死体を移動することにする。ところで、蓮が店番をしているときに、圭介と辰也が万引きをしていた。そのとき、二人は蓮の名札を見て、名前を覚えていた。

4,5.二人は、車で死体を移動するところを目撃する。その時、車からスカーフが落ちた。それを辰也が拾った。翌日、圭介は兄が脅迫状を書いているみたいなのを目撃。そっと尾行すると、兄は、楓を尾行していた。一方、楓は脅迫状を受け取る。「一千万よこせ。貴女の体も欲しい」と書いてある。ところで、また話は飛んで、蓮は、友達に会う。その友達が言う。「自分の彼女が痴漢をされた。相手はお前の父だ。睦男は痴漢魔だ。お前の家に入るのも目撃した。丸顔、丸眼鏡、鼻の横にほくろがあった」

6,7.蓮は母のお墓詣りに行く。すると住職が教えてくれる。「継父の睦男さんは、心のやさしい人で、毎日お墓詣りに来ていましたよ」。それと、昨日の友達の証言を合わせて考えて、妹の楓を襲ったのは別人ではないかと蓮は思う。睦男は痩せていて、ほくろもない。何故妹が嘘を言ったかは不明だが、とりあえず、半沢の家にゆくことにする。というのは、友達が目撃した顔にそっくりなのは、半沢しかいない。半沢の家は店の近くにあり、部屋には、半年前に誘拐された少女が縛られて隔離されていた。それに、子供と妻がいて、両方とも美人だと言っていたが、それは全くのウソだった。
そのころ、楓は、XXに工事中のマンションへ連れ込まれていた。それから、圭介も同じXXに拉致されて、別の部屋に隔離されていた。さて、蓮は二人を助けられるか?それは本で。


名作復活シリーズは、『ハードボイルド・エッグ』(荻原浩
これは、『小説キャラクターの創り方』(若桜木虔)の中で言われていた、”特徴あるキャラ”の例として取り上げます。キャラが立っているといえば、生意気な子供、変に特技のある老人、動物(動物探偵)にかなうものはないよね。この中では、減らず口と嘘のうまい婆さんが登場。履歴書の写真がダイナマイト・バディの別人だったりとか、体は中国雑技団みたいにやわらかいとか。主役はフィリップ・マーローにあこがれているんだけど、実際は動物の捜索しか仕事のない探偵。とにかく、飽きさせない。

1、私は、シベリアンハスキーの捜索を依頼されてみつけるが、飼い主が引っ越してしまい、それを柴原アニマルホーム(私設動物園みたいなもの)に預ける。その次の日、そのホームの近くで死体が発見される。それは、アニマルホームの経営者翔子の父(相沢清一)で、犬にかまれて死んだ。警察とマスコミは、シベリアンハスキーが噛んで殺したと言うが、アニマルホームの経営者の克之は、犯人(犯犬?)はシベリアンハスキーよりも戦い向きの犬だという。シベリアンハスキーは人を噛むことはない。ドーベルマンクラスの犬だ。

2、翔子は中塚組が、「ここを売れとおどしてきた」と言ったと私に言う。それと、中塚組から、「ドーベルマンがいなくなった。捜索してくれ」と依頼を受けたことから、中塚組に潜入する。しかし、組員にみつかってしまう。組員は言う「犬はみつかったから、もう探さなくていい」。その後、翔子の兄の相沢雅也に会う。彼は言う。「あのアニマルホームのある土地は、売れますよ。廃棄物処理施設や会員制クアハウスを建設する予定がありますから」
3、バーさんは言う。「息子か娘が犬を使って、父をかみ殺させたのじゃないかね。相沢雅也は早く売らせようとしていた。おどしのつもりが、本当に噛んで死んでしまった。娘だとしたら、この土地を売らないように説得していて、脅しのつもりでけしかけたのに、本当に噛んで死んでしまったとか。いずれにしても、中塚組が一枚噛んでいるね。あそこの犬はドーベルマン。人を噛みなれているよ」

4,5.須藤刑事に聞いた。「中塚組は覚せい剤でもうけているよ」と教えてくれた。中塚組に潜入する。すると、巨大な犬小屋があり、中に大きな餌箱があった。餌箱を調べると、下に覚醒剤が入っていた。そこで私は推理する。「アニマルホームは資金難だ。そこで、覚せい剤を保管してやって、金をもらっていたんじゃないか」

6,7。さらに私は推理する。「アニマルホームの土地は父から借りていた。兄はその土地を売らせようとしていた。父は散財家で、借金もあり、売るつもりだったらしい。それは困る。アニマルホームを経営できなくなってしまう。だが、父が死ねば、半分づつの相続になる。家は兄が相続しているので、山は翔子の物。(広いが価値は低いから)。それで、XXがドーベルマンを借り出して、噛むように調教して父をかませたのではないか?」

追伸。今週のドラマで面白かったのは、「カイドク」と「第9係」。「カイドク」は「ガリレオ」と「キイナ」のパクリなんだけど、新鮮だった。「第9係」は一瞬、フジと思わせるくらい軽いノリだったんだけど、よく見たら、テレ朝の「風のデカ」の枠だった。それぞれの登場人物がキャラが立っていて面白かったわね。でも、それにもまして感動したのは、「エバンゲリヲン・序」だったわね。これはダントツ。それから、「ラブゲーム」も面白そうで、毎回、見始めるのだけど、遅い時間なので、途中で眠ってしまうので、最後まで見れない。残念。

来週の名作復活シリーズは『探偵の夏、あるいは悪魔の子守歌』の予定だったんだけど、「アマルフィ」に変更します。