誘拐ラプソディ。翼ある闇

『誘拐ラプソディ』(荻原浩
これは、『小説キャラクターの創り方』(若桜木虔)の中でいう、キャラクターが面白いに該当するんじゃないかと思うの。
この中では、たまたま誘拐してしまうんだけど、その男が気が弱くて、誘拐される子供がおませで、やくざの息子。でもって、やくざが警察に頼らずに、独自にNTTなんかを買収して逆探知にのりだすとか、意外性があってとても面白い。
この人の小説って、どれも、キャラが立っていて好き。
やくざが出てきて、最後にほろりとさせるなんて、並の腕ではないわね。
今後も積極的に取り上げるわね。
帯から。――伊達秀吉は、金なしい家なし、女なし。あるのは借金と前科だけのダメ人間。金持ちのガキ伝助との出会いが、「一発逆転のチャンス」とばかりに張り切ったものの、誘拐に成功はなし。警察はおろか、ヤクザやチャイニーズマフィアにまで追われる羽目に。しかも伝助との間に、友情まで芽生えてしまう。はたして史上最低の誘拐犯秀吉に明日はあるのか。たっぷり笑えてしみじみ泣ける、最高にキュートな誘拐物語。←当たってます。


1、秀吉は自殺に失敗するが、車に子供が乗っていた。そいつの家の近くまでゆくと、大金持ち。誘拐を思い付く。篠宮家に電話する。「一千万を用意しろ」というと、「今ありますけど」の返事。それで身代金は5千万にあげる。一方、伝助のパパはヤクザのボスで、NTTの人間を連れてきて、逆探知をさせる。

2,3.5時に電話。逆探知から浦和にいるのがばれる。その後、コンビニに入る。身分証を落とし、秀吉の名前がバレてしまう。伝助は暇つぶしに絵を描き始める。パパの背中に牡丹があるが、秀吉は刺青だと気がつかない。翌日の午前中に電話。「2千5百万ずつに分けて、アタッシュに入れろ。岩槻市の国道15線沿いのファミレスに行け」。秀吉は指定した時間に工事人に化けて近くに行くと、ヤクザだらけ。装甲車までいる。だが、まだ相手がヤクザと気がつかない。
その時は、身代金受け取りは中止。伝助パパに電話して、「高速に乗れ。北に走れ」と指示。ヤクザは群馬まで行ってしまう。

4,5.その後伝助パパに電話。「大宮から東北線で上野に戻れ」と指示。ヤクザの舎弟は、荒川の河川敷に金を落とさせると推理。しかし、そこでは、伝助を見せただけ。その後電話。「赤羽駅近くで金を落とせ」
ヤクザの舎弟は赤羽駅近くでスタンバイ。そこへ電車がきて、金が落とされる。秀吉が取りに行くが、ヤクザの舎弟に追われる。必死で逃げる。伝助パパがヤクザのボスだとバレル。
その後、伝助がおなかが空いたと言うので、コンビニで食料をかっていると、チャイナマフィアの連絡網にひっかかり、ボスの王に連絡され、拉致されてしまう。王の息子の敵と間違われる。

6,7.マフィアの家に閉じ込めらるが、三階から隣のビルの屋根に飛び降りて逃げる。その後、伝助のナナクリという言葉から、大宮の七里に行く。そこで黒崎警部の息子にばったりと出会う。彼と伝助は幼稚園の知り合い。一方、途中で電話をして、逆探知をされ、ヤクザに居場所がバレル。大宮近辺でみつかり、山に連れ込まれ、穴を掘らされる。だが、息子の携帯で黒崎警部がかけつける。



名作復活シリーズは、『翼ある闇』(麻耶雄嵩

1、木更津は今鏡多侍摩(たじま)から手紙をもらう。内容「相談があります。一月前に妻の絹代が死にました」。木更津が到着すると密室殺人が起こる。塔の中に伊都の首と有馬の胴体がある。鍵はしまっていて、有馬の手の中にある。伊都の胴体は鎧の中。足は切られ、金属の靴がはかせられている。

2,3.伊都の足はひきだしの中にあり。有馬の首は帽子掛けの上にあり。頭の上にはオレンジの種が置かれていた。ひさの証言。「予備の鍵は金庫の中。埃をかぶっていた。使われた形跡なし」。
その後、畝傍(うねめ)が殺され、三階に首があった。おしろいを塗られていた。胴体は一階の部屋。階段では作男が作業をしていた。その前を通らねばならない。どうやって首を移動したか?

4、その後、静馬がバスの中で死亡。木更津の一回目の推理。多侍摩(たじま)が犯人に違いない。彼は死んではいないのだ。
しかし、お棺の蓋を開けると、首を切られて死んでいた。木更津は自分の推理が外れたことにショックを受けて、山籠りに行ってしまう。

5,6.その後、ボートの上で、双子が首を切られて死亡。二人は次のメモで呼び出された。「2じ。ひみつ」。その後、ひさ死亡。レコード板の上に首が置いてある。レコードのタイトルは「アメリカ」SHIITSUと書いてある。
メルカトルがやってきて、謎解きをする。彼は言う。「私は30年前に駆け落ちした椎津の子供。犯人は霧江だ。霧江はアメリカ人。「2じ、ひみつ」から分かるように、漢字が書けない。相談状と脅迫状で木更津を呼んだ。

7,8.さらに彼は言う。「第一の殺人の犯人は木更津だ。なぜなら、第一発見者は彼。彼は外から鍵をかけておいた。そして、後で鍵を開けてから、一番先に入り、鍵を有馬の手に握らせた。共犯は霧江」。
さらにメルカトルは言う。「2番目以降の殺人犯は霧江。木更津は推理マニアなので、彼の喜ぶような見立て殺人をしたのだ。まず、伊都の足が切られていたのは、「オランダ靴」の見立て。有馬の頭にオレンジの種が置いてあったのは、「チャイナ橙」の見立て。畝傍(うねめ)の顔におしろいが塗ってあったのは、「フランス白粉」、静馬が水の中で死んでいたのは、「スペイン岬」、多侍摩(たじま)がお棺の中で殺されていたのは、「ギリシャ棺」、双子が殺されたのは、「シャム双子」、ひさの頭が「アメリカ」というレコード盤の上に置かれていたのは、「アメリカ銃」。全部クイーンのタイトルの見立てだ。今後もまだ殺人は続くぞ」。
だが、そう言っていたメルカトルが殺される。頭にシルクハットを乗せられて。これは、「ローマ帽子」の見立て。

9.ここで木更津が2度目の推理をする。伊都と有馬の密室殺人だが、犯人は、二人を並べて同時に首を切ったので、伊都の首が有馬の胴体にスライドして乗っかった。それで、覚醒し、塔の中まで歩いた。
その後有馬の手が鍵をかけて、息絶えた。犯人は双子を呼び出した手紙から、漢字が書けないことより、霧江。彼女は、畝傍(うねめ)を殺した際、スカートの中に首を隠して3階まで運んだ。
だが、この後、語り部役の私が、もう一度ドンデン返しをする。それは、誰かが嘘を言ったので、密室になった。なので、首がスライドして胴体にのっかったなんてとんでもない謎解きはない。

追伸。来週は、『悪童たちは千里を走る』と『押入れのちよ』の予定。
今週面白かったドラマは、「科捜研?」沢口康子が主演している奴。「新9係」みたいに面白さを追及してるドラマが多い中で、科学に特化しているから。前には、水戸黄門みたいに最後に大立ち回りを入れるなど、苦労している時もあったけど、科学に落ち着いたみたいね。なんでも、ひとつのことに特化しているのはいいわ。
明日は、「由美姐」の三回目。