悪党たちは千里を走る,押入れのちよ

『悪党たちは千里を走る』(貫井徳郎


1、高杉と園部は詐欺師である。ある日、金本という金持ちの家に、小栗上野介埋蔵金の話で詐欺を持ちかける。埋蔵金を発見したので、掘るのに一千万出してくれというのである。しかし、隣でリトグラフの詐欺をしていた美人のせいで失敗する。彼女は、小栗なら万延小判のはずなのに、持ち込んだのが元文小判だと見抜く。
その後、犬を誘拐して、一千万せしめようとしていると、その家(渋井)からこの前の美人、三上菜摘子が出てくる。そこでもリトグラフ詐欺をしようとしていたのだ。渋井家のことには詳しいようなので、一緒にチームを組む。

2,3.その後、犬を散歩させている息子の巧を尾行する。しかし、逆に、息子に住所と名前を知られてしまう。息子は言う。父はケチで何も買ってくれない。そこで、僕を誘拐して、金をせしめて。
三人はその計画に乗るが、暫くすると、別人からケータイが入る。巧を誘拐したので、親から身代金をせしめろ、というのだ。なぜ高杉に電話がかかってきたかと言うと、ケイタイ番号を巧と交換してあったからと、巧が、高杉の計画を話したため。高杉は考え、親に電話をする。
曰く「巧を誘拐した。身代金は三億」。しかし、これは警察へ通報されるのは計算の内。

4、5、そのすぐあとでケータイをして言う。「身代金を6千万に負けてやるから、ネット銀行へ振り込め」乱数表があれば、すぐに振り込めるのだとか。親は大幅に負けてくれたので、払いこむ。高杉たちは、ネットでブランド品を買いあさる。受け取りは、園部のアパート。知り合いの古物商の売り払う。半額くらいにはなる。
その後、なぜか、こちらの情報が筒抜けになっていたことから、盗聴されていたと気がつく。電気の点検に来た。菜摘子は言う。「高杉を前から知っていた人。それから、電話の途中で巧がくしゃみが出ると言っていた。巧は馬糞アレルギー」
その二つから、誘拐したのは金本ではないかと推理。金本の家に行ったときに馬糞の匂いがした。

6,7.さらに、誘拐犯からの電話で、河川敷に3千万を運び渡す。相手はフェラーリで逃げる。追うが逃げられる。しかし、金本がむすこにフェラーリをかってやったと言ったのを思い出す。それで、金本の家の近くを探す。すると、くしゃみが聞こえるアパートがある。そこに乗り込み、巧を救いだす。そして、一千万だけを渡す。それは、警察に話さぬように。

『押入れのちよ』(荻原浩
「介護の鬼」
内容は、虐待していた義父が覚醒してしまって、家の中で苑子に復讐する話。真剣に殺しあいをするのが面白い。




関節の関は間違い。
他のも面白い。泣かせる。
1、「お母さまのロシアのスープ」。これは、ロシアの貧しい家の子供の話。双子なんだけど、最後にあっと言わせる。
2、「コール」。霊魂が語る話。心がじわーんとなります。
3、「押入れのちよ」これもちよという霊魂の話。口癖は「あぱあぱ」。ジワーンです。
4、「老猫」化け猫の話。面白い。
5、「殺意のレシピ」夫婦が殺しあう話。ふぐの毒とか、似てないおごとか、笑い茸とか。超面白い。
6、「介護の鬼」
7、「予期せぬ訪問者」ふとしたことで殺人をしてしまった男の元に、ダスキンみたいな清掃業者がやってくる。それをどうやって撒くか? なかなかです。
8、「木下闇」。昔、行方不明になった妹が、この家で殺されていると踏んだ姉が、昔の親戚の家にやってきて、泊まる話。なかなかに怖い。
9、「しんちゃんの自転車」30年前死んだしんちゃんが訪ねてくる話。


来週は、『毒笑小説』と『解体諸因』の予定。