さまよう刀、神様のカルテ

『さまよう刀』(東野圭吾




6,7。長峰のケータイを知っているのは、誠のはず。しかし誠はケータイをいれてない。はたして、長峰のケータイに、カイジや刑事が上野へ行くことを知らせたのは誰か?そして、長峰は娘の復讐をはたすことができるか?



神様のカルテ夏川草介
小学館の文庫大賞の作品です。私も今年はこの賞をめざしていたので、研究のために買ってみました。
といっても、私は、第一回のこの賞の受賞者の仙川環のファンなので、ミステリーで出そうと思っていたのですが、かき始めたら、時間がかかってしまい、まだ半分くらいしか進まないので、来年まわしにした次第でやんす。
ええと、この人は、現役のお医者様です。松本の中程度の病院勤務で、非常に忙しい毎日を送っていて、その中で、日々、感動したり、後悔したりしたことが飾らずにつづられています。
去年この賞に出した人は不運ですねえ。現役の医者が素の言葉で語っていたんじゃ、かなわないですもの。まあ、それは、運だと諦めるしかありませんが。
で、内容です。
まず宿直で、救急病棟の内部が語られます。これは、素人で病院ものを書こうとしている人には参考になりますねえ。これだけ活字離れが叫ばれている中で賞を取ろうとしたら、蘊蓄でいくしかありませんもの。
それから、医者仲間で、美人看護師に恋をしている鬼がわらみたいな男の話。それと、糖尿病で検査入院というか、指導入院している婆さん三羽烏のこと。あとは、自分のアパートのこと。
これは面白いです。元旅館を改造したアパートなんですが、奥さんは山岳カメラマンで、ほとんどいません。別の部屋には、画家をめざしている男や、東大生の通称「学士さん」と呼ばれる男がいます。この学士さんは、本当に博識です。
まあ、でも、それぞれに秘密があり、みな、一筋縄ではいかないのですが。どれをとっても、面白いのですが、特に医者の内面とか考えとかが分かって、参考になります。
でも、現実に直面していることを書いているので、悪くかけないのが、食い足りないところです。これに比べたら久坂壁羊はすごい。人間の悪魔の部分をえぐり出しているから。

来週の予定は『金のゆりかご』