心臓と左手、悪夢のエレベーター

明日は仕事なので、一日前倒しで。
『心臓と左手』(石持浅海
この人は、「扉は閉ざされたまま」の人。密室で、普通はドアをぶち壊して入るのに、「女でも連れ込んでいるんだろうか、そっとしとこう」と言って、ぶち破らずに推理を進めた人。この短編集を読んでも、とても独創的。秀才だわね。これは表題作だけど、他の短編も面白かったわ。

1、新興宗教の教祖が死んだ。そのそばで幹部が殺しあって死んでいた。所割の刑事がかけつけたが、嘔吐して、残りの幹部(鳴島)が帰ってきて、背中をさすってくれた。殺しあった三人の幹部は、教祖の心臓を食べるのが目的だった。
教祖は言っていた。「自分の心臓には神が宿っているから、食べた者が次の教祖になる」と。
最初は三つに分けたが、殺しあいになった。左腕は切断してビニールの袋のなかにもあった。(左腕で病気などを直したから、一応、大切)。
この教祖は質素な生活で、教団員も質素だった。だが、鳴島は、死亡推定時間、銀座の行きつけの店で、かつ丼の大盛を食べている。それで、アリバイは証明された。
彼の証言。「私は何も知らない。左手で奇跡を起こしたから、左手を欲しいと言った。かつ丼を食べて帰ったら、三人は死んで、左手は袋に入っていた。」

悪夢のエレベーター』(木下半太
映画になるそうで。確かに、とても面白かったわね。第一章では小川が謎を解いて、次の章では、その周囲の人間が自分の過去を交えた別方向からの切り口になるんだけど、私(カラルイ)は、小川が復讐のために、死んだと偽装していると思ったの。でも違ったわね。全然違ったわ。それから、また新たな殺人があったの。で、謎解きがあって、ぐいぐい引っ張ってゆくの。面白かったわ。では筋を。


2,3
小川は、マッキーに、奥さんとどちらが大切だと詰め寄られる。小川は、妻を愛しているので、愛人と別れるとメールで送る。一方、愛人の陽子にも、別れるとメールを送る。しかし、その後、周囲の人間が嘘をついていることに気がつく。


6,7
しかし、この後、小川の死体を屋上からおとそうとしていたマッキーは途中でおり、三郎は、小川の浮気相手の陽子がショックから飛び降り自殺をしようとしているのに出くわし、説得する。そして、小川の死体を屋上から落とすのだが、その後、ドンデン返しに次ぐドンデン返しが待っている。一時も目を離せない。超面白い。


来週は、『所轄刑事、麻生龍太郎』と『少女たちの羅針盤』の予定。

追伸。今週面白かったのは、「ギネ」と「不毛地帯かな」
「ギネ」はまあ、いつもの病院物の流れで、緊張感があって、主役のキャラ設定が面白かったわね。「不毛地帯」は、ラッキードとか、ぎりぎり物本の名前が出てきて、分かりやすかったわね。