天使の歌声,ROMES

『天使の歌声』北川歩実



4,5.ここで今はすっかり喋れるようになった有也が言う。「本当は黒井先生が僕を突き落とそうとしたんだ。先生は、僕の歌声で論文を書いていたから、僕が喋れるようになって、歌を忘れると困るんだ。それで争って落ちた。それから、手紙を投げ込んだのは、僕だよ」

『ROMES』(五條瑛

NHKのドラマの原作です。この人は、自衛隊物ばかりを書いてきた人で、「プラチナビーズ(?だったと思う)」の頃は退屈だったけど、ずいぶんと腕をあげましたねえ。でも、事件が起こるまでがすっごく長く、ゆっくりなので、前三分の一くらいはカットして読んでもいいですねえ。

1、成島は警備のスペシャリスト。相棒は犬のハル。西空は関空をイメージしていますねえ。大阪湾にある人工島でハブ空港です。ここの目玉はコンピューター警備システムのロムス。

2,3.ここでちょっと余談。銀行を襲うのは強盗であり、テロリストとはちょっと違うような気がするが。「怪盗ルパン」とでもしてくれたほうが、面白いが。それに、黄金なんて重いものを、昼間強奪するのは、人目もあるし、リアリティがあまりないような気もするが。やはり、深夜、宝石店をこっそり狙うほうが楽なような。まあでも、その辺は脇に置くとして。今回も、ヒンデルの系列の保険会社に加盟している宝石店などが強盗に襲われる。これもヒンデルに恨みを持っている一味の仕業か。
で、その一味は、マギー、ワーニャ、などの6人。彼らはアウレリオに呼び集められた人間たち。アウレリオの顔は見ていない。彼は非情で、逃げる時はトカゲの尻尾切りといって、見方を一人か二人犠牲にして逃げると有名。ここでちょっと謎解きを言ってしまうと、アウレリオは最後の方でちょっと出てくる男なので、あまり驚きがない。やはり、カーの原則にのっとって、最初数ページでフルネームで出てくる人(主人公も含めて)にしてほしかった。でも、この作者は推理作家出身ではなくて自衛隊作家出身だから、仕方ないか。

4,5.集められた一味は、それぞれに、空港の従業員をたぶらかして内部の情報を探りだしたり、通行証を手にいれたりと潜入の準備を始める。ロメスは、空港に何回も来ている人間を記憶してマークし始める。それから、指名手配人も記憶していて、マークしている。
その中に、指名手配の男二人を発見して、銃撃になる。その際、その近くにいた外人の女二人を記憶する。どうやら、その二人は、ロメスの性能を研究するために、わざわざ指名手配人を呼んだらしい。だが逆にロメスにマークされてしまった。
ウォングは大道芸人になって潜入。田尻は併設されているホテルで開かれる違法カジノのディーラーに接近。
で、突入の日、マギーとワーニャは日中、堂々と黄金の女神の展示室に突入、制圧。他のメンバーが制御室を制圧している間に、防御システムを切り、シャッターを下ろし、中にいた10数人を一つの部屋に閉じ込める。そして、数億のダイヤと金の女神像を、4っつに分け、クレーンなどを使い、エレベーターシャフトを伝って、屋上へ運び上げる(ここの所は、いくら重機を使っても、ちょっと無理だと思うのだけど)。二人の役目はそれをゴミの容器にいれるまで。でも、トカゲのしっぽにされないために、ボスを裏切って、逃走に入る。

6,7.ウォングとタジリは、人質にまぎれて逃げだし、ゴミの容器を車に積んで脱出する係り。途中で別の一味にバトンタッチ。マギーとワーニャは外人で、体の特徴をロメスに認識されていたので、ロメスに放水されて確保。ウォングも鉄柵のところで通電されて、確保。
別の一味は、ごみ廃棄業者の車に乗って、空港は脱出したが、人工島を脱出するまえに、ハルに追いつかれる。

さて、成島とハルはどうやって黄金の女神を追いかけたか? ブツは取り返せたか?最後は涙がジワーンです。


来週は、『嘘をもうひとつだけ』と『母なる証明』の予定。

追伸、今週感動したのは、グレイ。久しぶりで感動。あと小錦の無駄な皮膚の切除。痩せても小錦の魅力は変わらないわよね。もっと毒舌もやって欲しいわ。
それから、新人歌手で感動したのは、ウインタープレイシャーデーみたいな感じで、素敵だった。でも歌うのはもっとムーディな曲の方が合うと思う。「スムースオペレーター」とか「カリビアン クイーン」とか「マスカレード」みたいな。歌手で言えば、歌が日本ににもっと深く浸透している方がいいような。たとえばワムとかシルビー バルタンとか、ビートルズとか、サイモンとガーファンクルとか、プレスリーとか(UB40の「好きにならずにいられない」もいいけど)。日本人が覚えられる曲がいいわね。マイケル ジャクソンは英語が速くて覚えられない。歌えない。映像はいいけど。


今週面白かった推理ドラマは、「検事、朝日奈耀子」。順序が逆でわかりにくいので、整理して説明するわね。
女のこAが歩道橋から落ちて重症を負うの。一方、その子の親代わりをしていた男Bが、ある男Cを石段の上から落としたように思われるの。Cは死亡。その後、Bはある女Dの通報で、ホテルにいるところを、逮捕されるの。Cを突き落とした罪でね。女Dが突き落とす現場を目撃したと証言したから。
でもって、A子は捜査で、Eにストーカーされていたことが判明。その男Eと決着をつけると言ってでかけたことから、Eが怪しいと浮上するの。でも、Eにはアリバイがあるの。Cが同じ時刻に喧嘩をしていたと証言しているのね。
それから、男Fとその恋人のGが、何か知っている風な顔で、検事の周囲をうろつくの。それから、女Dもね。
でもって、検事が再捜査すると、Cの殺された現場に、インシュリン注射の針が落ちているの。一方、Eは糖尿病なので、Eが怪しいとなるわね。
さらに検事が捜査すると、CがEのアリバイを金で偽証していたらしいことが判明。
でもって、ややこしいので、話は飛んで、男Fと恋人のGも殺されるの。これらに関しては、女Dの車が近くで目撃されているから、女Dが怪しいとなるわけね。
で、また話は飛んで、検事が写真をもって聞き込みに回ると、女の子の父親代わりのBと女Dは夫婦らしいと判明。
つまり、女の子がEに突き落とされたと確信を持ち、それの偽証をしたCを問い詰めているうちに突き落としてしまった。(でも、これは、後から、Cを尾行していたEがやったと判明するんだけど)。
それから、Eが偽証をしたのは、実は、Fの経験を金で買ったからで、そのことを知っているFとGがEをゆすっていたのね。でもって、Eが殺したんだけど、A子の母親がわりの女Dにとっては、Eと同罪だから、恨みがあって、まあ、Dが殺したとしてもいいんだけど。まあ、これはミスディレなんだけど。
でもって、なんで、このドラマが印象に残ったかなと言うと、主役の声が良かったからかな?(単純)
ああ、それから、最後、検事が元医者だったことが語られ、女の子Aが無症状の癲癇ではないかというの。それで、フェニトイン?か何か(ごめん忘れた)を投与すると、意識が戻るの。それで、Eに突き落とされたことを語るのね。

あと単純でよかったのは、東ちづる主演の「温泉若女将」の氷の中に毒を入れる奴。他の氷に犯人の指紋が残るってのがミソね。このシリーズは中村梅雀の持ち味がいいわ。やっぱり脇役は大事よね。主役よりも大事よね。他に好きな脇役は、大村昆かな? 主役で言えば、大地康夫とか、最近出ないから、さびしいわ。
そうそう、推理にも脇役で小錦とか、ボビーとか東北弁の外人(名前忘れた)を使ったら面白いと思うの。アドリブとか彼らに考えさせて。余談だけど、外人の発想ってすごいのね。みかん大福とか考えるんだから。

後、参考になったのは、「小野の小町殺人事件」かしら。お札一枚で密室を作るの。勉強になったわ。
最後に、主役も脇役もよかったのは、「異物」。この主役は名古屋弁のシリーズも最高だけど、最近みないわね。さびしいわ。