かっこうの卵は誰のもの
『 かっこうの卵は誰のもの』（東野圭吾）
帯から−−父と娘は、親子二代続けてのトップスキーヤーになろうとしていた。娘のチームの研究者は、二人の遺伝子パターンを調べさせてほしいと考える。しかし了承するわけにはいかない。父には、どうしても知られたくない秘密があった。娘が生まれた１９年前からの忌まわしい秘密が。
『吉宗の正体』（若桜木虔）も読んでみました。
帯からーー徳川吉宗は、「偽物」と入れ替えられていた。真田幸村、百年の奸計。「暴れん坊将軍」は「忍者」だった。
最後のまとめの文章から。
１、吉宗には、忍者組織がバックアップについており、それが二人の兄を暗殺したことで、吉宗を和歌山藩主の座に押し上げた。
（吉宗の母は由利の方と言い、この人は忍者の娘で、さらに、吉宗は小さい時に忍者の里で修業していた）
２、その忍者組織が、第八代将軍位を巡るライバルであるところの尾張藩主も暗殺し、吉宗を将軍位に就けた。紀伊の忍びが尾張に潜入して暗躍していたことは、尾張藩士による『鸚鵡籠中記』という文書にも残されている。
３、吉宗の二人の兄を暗殺したのは、尾張の御土居下同心（忍者組織）であり、確かに吉宗には、忍者組織のバックアップがあったが、それは、吉宗の身辺警護に徹し、吉宗が藩主となってから、初めて本格的に尾張藩への反攻に転じた。
４、吉宗はプロの力士を１５歳で倒した。突進してくるイノシシの脳天を打って、一撃で殴り殺した。鷹狩で、長距離を全力疾走した後、空中高く躍り上がって、鷹や獲物の鳥を鷲掴みにした。これらの離れ業を演じてのけるなど、常人では考えられない体術を誇っていた。これは幼時から忍術の訓練を受けていたとしか考えられない。
５、吉宗は、藩主となるや、ただちに藩内に薬込役を目付けとして配して、監視を行わせ、将軍となっては、彼らを引き連れて江戸入りしてお庭番として、「将軍直属隠密組織」を編成し、従来の伊賀組・甲賀組などは諜報業務から退けた。
これは、いかに吉宗が重要であるかを認識していたかにほかならず、それは、吉宗自身が忍者であったからこそ認識できたものである。
６、従来、忍者は下賤の者とみなされ、政治の表に立って出世した者は皆無に近い。ところが、お庭番は手柄に応じて続々としゅっせし、中には、大身旗本格の勘定奉行や長崎奉行にまで抜擢された者がいる。
これまた、吉宗自身が忍者であったからこそ、重要性と任務の大変さが認識でき、待遇において功績に報いるべきだと考え、以降の代々の将軍にお庭番の処遇方法について申し送ったとしか考えようがない。
７、加納久道、大岡忠相・忠光など、吉宗と血縁関係があるわけでもないのに、一代で大名にまで取り立てられた者は全員、何らかの形で紀伊の忍者組織に深くかかわっている。
８、吉宗は有能な数多くの民間人を採用して、旗本にするなど厚遇しているが、紀伊の忍者組織に関係のあると思しき者（丹波正伯、野呂元丈、植村左平次など）は、２０代の若さで、重職に抜擢し、そうでないもの、（青木昆陽、田村藍水など）は、晩年になってから、ようやく抜擢するという、明らかな差別待遇が見受けられる。
９、紀州和歌山は、関ヶ原の合戦で西軍について破れた真田昌幸、幸村親子が配流された地である。
などなど、興味をそそられる史実が満載です。
来週は、『Ｇフォース』と『光媒の花』の予定。
今週おもしろかったのは、『左文字進』だわね。水谷豊が女装して謎をとく話なんだけど、なかなか女装がはまっていて、面白かったわ。
内容は、Ａ女優の娘が誘拐されるんだけど、（これのトリックは、最初は椅子の中に隠れ、マネージャーがスーツケースに入れて、マンションまで運び、最後は祖父が段ボールで防犯カメラの目をくらまして、別荘まで運ぶというもの）、５千万円を要求されるのね。犯人から。で、夫が、金を運ぶんだけど、金は受け取らず、娘は、ケーブルカーの中から消失するの。
それのトリックは、祖父が、皆が後ろを向いているスキに、男の子の服に着替えさせて、ケーブルカーの下の駅では、Ａ女優が、それを見逃して、娘が消えたと騒ぎ立てるもの。、
で、次には、犯人から、夫の持っている隠し取りのビデオを渡せと要求がくるの。どうも、それが、犯人のスキャンダルのビデオで、それが、本当の目的らしいの。でも、二回目では、ビデオは途中で消え、娘は帰ってこないの。
さて、これからが、本命なんだけど、Ａ女優は、一気に同情が集まり、逃していた映画の主演の座を射止めるの。
まあ、ここまでくれば、Ａ女優の狂言だとサッシはつくけど、ここまでが長いのよ。何しろ、水谷豊が女装して、関係者にかたっぱしから話を聞き、スキャンダルを抱えていると思われている関係者をあぶり出してゆくの。でも、みんながみんな、何らかのトラブルを抱えていて、あやしいの。
でも、まあ、最後は、上のトリックを説いて、犯人をあぶり出すのだけど、女装が妙に似合っていて、面白かったわ。
