生贄を抱く夜、果てしなき渇き(上)

「生贄を抱く夜」(西澤保彦
これは短編集。ほとんどは超能力を扱っていて、私は好き。これは、夢が重なるもの。語り口が面白かったわ。

果てしなき渇き(上)」(深町秋生
この人は、本当に文章に力がある。ぐいぐい引き込まれるわ。ちなみに、これは「慟哭」方式。でも、あんまり、驚かないけど。

今週、面白かったのは、「最後の晩餐」。あるレストランの開店パーティで、爆発が起こって、三人が死に、六人が逃げるの。で、刑事の推理では、誰かが犯人で、誰かを殺そうとしたんじゃないか。で、レストランの主人に参加者の名簿を見せてもらって、一人ずつ聞き込みをするの。でも、皆、自分は犯人じゃないと言うし(まあ、当然か)、殺される動機もないと言うの。でも、らちがあかないので、それぞれの過去を調べるの。まあ、色々と、人に恨みを買いそうな人もいるけど、一つ面白いことが判明したの。それは、レストランのオーナーには、殺された恋人がいたってこと。で、店の焼け跡を再度調べると、冷蔵庫の中にはワインが3本だけ。おまけに、20席もあるレストランなのに、従業員を一人も雇っていなかったことが判明。つまり、営業をする気はなかった。言いかえれば、そのパーティで、店を燃やすつもりだった、と判明。
で、オーナーの恋人が殺された事件を調べると、招待された全員が関わっていたの。一人は、ネットの有名ブロガー。彼は、その恋人が、夜遅くに、公園にいたから、悪いと書きこんでいたの。それから、次はテレビ局のディレクター。彼は、その事件を面白おかしく取り上げたの。それから、もう一人は、代議士。彼は、汚職で議員を辞めそうな雰囲気だったのに、その犯人の少年が自殺したことで、就職難の問題を取り上げ、自分の責任だと土下座して、人気を回復したの。それから、恋人が運ばれたERで薬を取り違えたと噂された看護師もいたわ。
で、最後は、オーナーがまた、その客たちを呼び出して、殺そうとするんだけど、刑事が駆け付けて阻止って結末。最初は、聞き込みだけだから、ちょっと退屈だったわ。途中で連続殺人が起これば、もっと面白かったかも。

もうひとつ面白かったの。南平班。
二年前の交通事故。さおり(ピアニスト志望)が4人乗りの車と衝突し、指を4本切断するの。で、首吊り自殺。で、二年後。その4人が次々と殺され、指が南平に送りつけられてくるの。さおりの父が復讐していると思われる。しかし、4人の中のAがボートで自殺未遂。こん睡状態で、遺書もあり。
ここで、南平班の一人の推理。2年前の事故。4人は、さおりが信号無視したと証言したが、実は、Aの無視だったのではないか。それを隠ぺいするために。BCDが偽証。しかしAは大金をゆすられた。たしかに、3人は、バーを開店したり、している。それに耐えかねたAが殺して、自殺? さおりも、本当は、Aが無視したことを知っているので殺した?
でもって、さおりの父親に、漆のかぶれあり。Aの自殺した場所にも漆があって、南平がかぶれた。で、さおりの父親が捕まる。昏睡状態のAを殺しに来たので捕まった。Aの部下のDからも漆の薬。Dの過去。2年前の事故では、もうひとつの車が巻き添えになっており、それで、妻子が殺されたので、Dが復讐に加担した。
追伸2.今週も叫ぶわよ。乙に会いたい−−。