賢者の贈り物

「賢者の贈り物」(石持浅海)より「玉手箱」
これも、ニヤッとしたわね。ある男性が、好きになった女性から、「絶対に開けてはいけません。開けたら二度と会うことはできません」と言われて、紙の箱を渡されるの。で、色々と推理するの。その推理が面白いの。例えば、誘拐をして、成功した証拠の写真が入っているんじゃないかとか。
では、もうちょっと詳しく。最初に推理したのは、彼女の夫がまだ生きていることが判明して、これからその夫と住むから、別れてほしいというもの。つまり、箱の中は夫の写真。でも、この推理には箱は登場しない。つまり没。では次。
彼女が死ぬほどの病魔に侵されているって推理。つまり、箱の中は病気の診断書。それを見て、僕は、すぐにプロポーズする。でも、それなら、箱を開けたら、二度と会うことはできないに反する。それに開けなくても開けても、早晩、会えなくなる。これでもない。
次。彼女が売春をしているという証拠の写真。これなら会いたくなくなる。でも、それなら開けなくても、いずれ噂は耳に入り、別れるだろう。これでもない。では次。彼女が誘拐をして身代金を奪った証拠の写真とか。これでも会いたくなくなる。でも、それなら、というか、それでも、彼女を愛しているから、彼女と会うだろう。
で、最終的には、どんな写真が入っていても、自分は彼女を愛していると気がついて、開けるんだけど、私は一つだけ、面白いオチを考えたわ。それは、ニューハーフだってオチ。ね、これなら、二度と会いたいと思わないでしょ。成形前のブスの顔でも、会いたくなくなるか。