山伏地蔵坊の放浪

「山伏地蔵坊の放浪」(有栖川有栖
1.ローカル線とシンデレラ
山奥のローカル線。単線で、すれ違う地点だけ、複線になっている。主人公は、上りの電車で、有名人になった星元舞と出会う。その車両には、『星元舞大好き』と落書きがしてある。落書きのある電車は、一時間に一本だけ。ちょうどに出る。そしてしばらくしてから、複線の部分で、落書きのない電車とすれ違う。
つまり、朝の9時に、落書きのある電車に、星元舞が乗ったとすると、次に落書きのある電車が昇りになるのは、二時間後。
三時間後。主人公が、山の上の駅で待っていた時、電車が遅れた。それは、途中で、黒いコートの男が白いコートの男を刺して、電車から飛び降りたから、と電車に乗っていた人は証言した。それは、ちょうど複線になっている部分で、速度を落としていた。おまけに、置き石があった。
主人公がその電車(上り)の乗客に話を聞くと、全員が、置き石があった地点をよく覚えていない。おまけに、まちまち。それに、黒いコートの男を探すために山狩りをすると言っていながら、積極的ではない。さらに、その電車には、星元舞のストーカーが乗っていたと証言する客もいるのに、降りてきた客の中には、ストーカーはいない。
さらに、殺された白いコートの男のコート。ネームがはがされている。さらに、さらに、上りの電車には、『星元舞大好き』の落書きがある。それで、主人公は、こう推理する。この上りの電車は、順番から言ったら、下りでなくてはならない。なぜなら、落書きのある電車は二時間ごとに上りになるのだから、三時間後には、下りであるはず。で、本来は下りの電車の中で、事件があった。ストーカーが星元舞に切りかかったのである。しかし舞は、ストーカーを突き飛ばした。それで、座席の木の部分にぶち当たって、死んでしまった。それは、丁度複線の部分であった。そして、彼女のマネージャーが昇りの電車で乗ってきていた。そこで、マネージャーの白のコートのネームを取って、ストーカーに着せて、ストーカーの黒のコートのネームを取って、マネージャーが着て、黒のコートの男は窓から逃げたことにした。子のことで、全員が話を会わせるために、時間をくった。なので、途中で置き石があったことにした。おまけに、下りを上りにスイッチした。それで、本来は下りであるべき電車が、上りになって、落書きがあった。

2、仮装パーティの館。
仮装パーティで金蔵(金持ち)と英次が殺されていた。金蔵は首を絞められて、英次は、鈍器で殴られて。発見者は金蔵の息子の金治。英次のいとこでもある。風の強い日で、犯人は窓から逃げたかと思われたが、窓の傍の灰皿の灰が飛ばされていなかった。なので、窓は開けられていない(50センチしか開かない)。おまけにパンダのかっこうの大沢が庭にいたが、誰も逃げてこなかった、と証言。彼にも動機はある(金蔵と女性を取り合っていた)。でも、ツタを伝わって、二階の窓から(50センチしか開かない)入るのは無理。
ところで、ダースベイダーの仮面は英次。バッドマンの仮面は金治。二階へ金蔵を迎えに行って、「大変だ。金蔵さんが殺されている」と叫んだのは、ダースベイダーの仮面の男。
これからすると、金蔵は、誰かに殺されていて、英次が発見したかに思われる。だが、実は、金治が、英次のダースベイダーの仮面をはいで、自分の頭にかぶせて、叫んだ。
金治は、子の後、急いで英次を殺し、ダースベイダーの仮面を英次に戻して、自分はバッドマンの仮面をかぶって、扉の陰に隠れる。その前に英次を殺す。そして、全員が部屋に入った後に、知らん顔して扉の後ろから現れる。で、犯人は窓から逃げたと主張するつもりだった。だが、窓から逃げたのではないことが証明され、それは通らなくなった。(よくわからない)

3、崖の教組
崖の上の洞窟の中で、ある教組が護摩を焚いている。その教組に恋人を取られたAとB。Aは主人公が、崖から洞窟に入る時、綱をまいて、援護する。その後、教組が護摩を焚いている時、爆発が起こって、教組が死ぬ。AかBが犯人だろうが、どうやって、爆発物を投げ込んだのか?
主人公のなぞ解き。Aは主人公が崖を降りるときに、綱で、洞窟の中までの距離を測っている。なので、綱の先に爆薬を付けて、投げ込むのは可能。教組は、護摩の火で、綱もなにも見えない。だから、Aが犯人。

4、毒の晩さん会。
ある家で晩さん会が開かれている。そこへ主人公も招かれる。その晩さん会は、愛人に産ませた子が現れ、父親A氏が認知をし、さらに、遺言状を書き換えた(その子(B)にも平等に遺産がゆくのを公開する晩さん会だった)。
その席で、Bがお手伝いさんに言う。「ビールのジョッキに灰がこぼれたので、代えて」。お手伝いさんは、一回引っ込んで、また持ってきてBの前に置く。しかし、二杯目のそのジョッキを飲んで、Bは死ぬ。青酸カリだった。
お手伝いさんの証言。「私はジョッキは代えてない。ちょっとゴミがあったので、スプーンですくって、同じものを出した」。さらに、調べると、主人のA氏のスープにも青酸カリが入っていた。その皿はウエッジ・ウッド。Bから送られたもの。A氏の皿に毒を入れる機会は、全員にあった。全員が、リビングに入る途中、その皿の横を通ったから。
主人公の推理。犯人はB.彼は、早く遺産が欲しかったので、A氏の皿に毒を入れた。しかし、全部ではなかった。持っている毒が少し残った。A氏が死んだら、全員が警察に調べられる。それでは自分が毒を持っているので、自分が疑われる。なので、残りを自分のビールに入れて、お手伝いさんに、捨ててもらえばいい。だが、そうはいかなかった。A氏のウエッジ・ウッドは、目印になるように、前もって送っておいた。(でも、これだと、毒を入れて置いた紙なり、カプセルなりは自分の手元に残っているはずだから、いずれにしても、分かってしまうはずだと思うのだけど)
他にも、驚きのなぞ解きが、3本。