亜愛一郎の狼狽

「亜愛一郎の狼狽」泡坂妻夫
1. DL2号機事件。
(感想、良くわからない)。飛行機が爆破されるという予告電話がある。調べたが爆破装置はない。それで飛んだ。無事。降りてきた客の一人が言う。自分が電話した。彼は、階段でも何度か躓く。大地震があった土地へわざと引っ越してきた。さらに交通事故を起こした運転手をわざわざ雇う。さらに、その運転手を襲って、大怪我を負わす。なぜ、そんなことをしたか?
亜の推理。彼は被害妄想。飛行機は爆破予告をすればよく調べるので落ちない。一度躓くと、二度躓く機会は減る。一度地震のあった土地は数十年は安心。事故を起こした運転手も同じ。さらに、誰かが襲われれば自分が襲われる機会は減る。そこで、わざわざ運転手を襲った。

2、右腕山上空。
熱気球にヒップが乗った。右腕山上空で泊った。ヘリで近づいてみると、中で銃を握って死んでいた。自殺にしては変。分厚い手袋をしていたので、引き金に指が入らない。降ろしてみると、葉巻の匂いがした。ヒップと相棒のバストは喧嘩状態。バストが車に乗って、山の向こうからやってきた。
亜の推理。ヒップが荷物に紛れ込ませて、バストを気球に運び込んだ。というのは、ヒップは操縦が苦手。バストは得意。スカイダイビングから何から空に関することは何でも得意。
しかしバストは殺意を持っていた。自分の実家の金を使いまくって人気が出た頃、解散した。妹をもてあそんだ。それで、上空で殺した。葉巻を一服した。グレーの服で、スカイダイビングした。皆からは十分遠くて、豆粒にしか見えなかった。おまけにパラシュートは迷彩色。それで降りて車で駆け付けた。(感想。そんなこと可能かなあ?)

3、曲がった部屋。
これは、傾いた部屋と言ったほうがよい。
ある沼を埋め立てた場所に公団住宅が立った。一年後、傾いてきた。その頃、401号室の住民が死んで。そこ波という。死んで一月して発見された。亜たちが行ってみると、ステレオが酷く傾いていた。洗濯機のホースが足りない。おまけに洗濯機にズボンが入っていて、ポケットに鍵が入っている。それは401号室には合わない。亜の助言で402号室の鍵穴に差し込んでみると、ピッタリ合う。
その前。402号室の佐久子が友達の部屋に遊びに来た時、リビングのドアの位置を間違えたり、玄関わきの電気のスイッチの位置が分からなくて、散々探したことがあった。
亜の推理。団地は鏡部屋の設計になっている。奇数の部屋と偶数の部屋は鏡で写したように部屋の位置から電気のスイッチまでが逆になっている。おまけにこの団地は傾いている。さらに、奇数の部屋と偶数の部屋は向き合っている。
つまり、奇数の部屋でステレオの傾きが右が下だとすると、偶数の部屋では左が下になる。だから、右の足の下に詰め物をするのは奇数の部屋でなければならない。ところが、402は偶数の部屋。そこに、そのまま向かいの部屋(401)のステレオを入れれば、右が余計に傾いてしまう。今はその状態。
これから、推理できることは何か。401号室のA氏の息子は、早く自由に使える財産が欲しかった。そこで、A氏の向かいの部屋に底波として入った。A氏の愛人佐久子は、A氏の妻(ボケている)の世話をしていた。A氏の部屋の鍵を預かっていた。
そして、底波は、旅行に出るからと言って、新聞と牛乳を止める。そして、A氏を殺して、401に運び込んで、底波として顔を腐らせる。一月は要する。家具(洗濯機、ステレオなど)を交換した。なので、ステレオの向きが逆になり、洗濯機のホースが変になった。さらに、洗濯機の中の洗濯物のポケットに402の鍵が入ったままだった。それで、A氏の息子はA氏になり代わり、遺産を自由に使っていた。でも、腐敗臭がして、大家に見つかった。(感想。わざわざそんなことをしなくても、A氏を一酸化中毒か何かで殺せば、遺産は自分に入ってくるのに、と思うのだけど)

4、掌上の黄金仮面。
ある市で銀行強盗が起こる。その犯人たちが駅前のホテルに泊まっているという情報が入る。警察が見張っている。その向かいの巨大な弥勒菩薩の掌の上で、宣伝用のビラをまき始めた。片面が一万円札。そうこうしていると、そのビラ撒き男が撃たれて、落ちた。左胸を撃たれていた。向かいのビルの窓が開いていたので、行ってみると、女が殺されていた。泊っていたのは、銀号強盗犯の二人と判明。男が持っていた銃で試射。大きく右にそれる。30メートルも先のビラまき男の胸を撃つのは無理。しかし、ビラまき男は、左胸を、その銀行強盗の男の銃で撃たれていた。
亜は調べる。ビラまき男のかぶっていた仮面は黄金バット。しかし、口でくわえる、クワエの部分が取り去られていた。両ハジから紐で結える。そこで推理。高い所は怖い。それで、後ろ向きに仮面をかぶってビラまきをした。その時、向かいのホテルで男が女を絞殺。男は、ビラまき男に見られたと思った。皆が上を向いている隙に、一階に降り、向かいの弥勒菩薩の中に入って、階段を上って、掌の上に出て、ビラまき男を撃った。

他にも驚きの推理が3っつ。
今週面白かったのは、「新死体は語る」(高嶋礼子の)
川辺で死体が発見されるの。背中からナイフを刺した跡が三つ。いずれも同じ位置で、水平。なので、クイにナイフを固定して、自分から背中を押しつけた自殺と断定。これをAとするわね。でも、妻は、時計が盗まれているから違うと叫ぶの。それは、自殺では降りない保険金に入っていたから。さらに、ナイフが盗まれているの。
で、数日後、その盗まれた時計(高額)が近くの質屋に持ち込まれるの。持ち込んだのはB.さらに今度は、Bが殺されるの。そして、調べ直したら、Aの服にはBの毛髪、Bの家のゴミ箱には、Aの血の付いたハンカチが捨てられているの。Bの刺されたナイフはAの使用した物だったのね。で、連続殺人としてAの事件も調べ直すの。Bは結婚していて、キャバクラ勤めのC子がいて、C子がBの保険金の受取人になっていたの。
でも、C子を尾行すると、土地持ちのD男と浮気をしていたの。さて、監察官が街で歩いていると、Aの妻が失神するの。鞄からは、睡眠導入剤のベンザ何とかが出るの。
で、話は飛んで、C子のケータイに、D男からメールが入るの。それには、「やったのは俺、逃げられなくなったので、死ぬ」と書いてあるの。
で、次には、D男の焼死体が発見されるの。でも、時計が盗まれているので、疑問に思った刑事が、解剖を監察医にお願いするの。すると、舌骨が折れていて、脳の基底部にうっ血が認められる、おまけに、肺に煤がないので、これは、扼殺されたから焼かれたと判定がでるの。そして、胃の中からは、ベンザ何とか。おまけに、盗まれた時計は、Aの商っていたもの。
それで、Aの妻が怪しいとなるの。Aの妻は夫の遺書を発見していたの。
Aの妻の自白。Aには借金があった。自殺を他殺に偽装して死ね、と助言をしたのは、D男。そして、Aはその通りに自殺した。でも、それでは保険金がでないので、Bの毛髪をAに付け、Aの血の付いたハンカチをBの家のゴミ箱に捨てた。ナイフも同じものを使った。しかし、夫に自殺をそそのかしたDが憎らしかったので、Dを殺して、焼死にみせかけた。でも、時計だけは、夫が苦労して修理した物なので、外して持ち去った。