亜愛一郎の逃亡

「亜愛一郎の逃亡」泡坂妻夫
1、 赤嶋紗上
裸島がある。そこへ、背中に彫り物のある女ヤクザが逃げ込んでいる。上にはドウランが塗ってあるが、誰も、裸島には来ないだろうという先入観があるから、捕えられない。そこへ、部下が救いにくる。それも、誘拐にみせかけて。だが、亜の機転で、それが女ヤクザだと発覚。
さて、折りヅルの形の金目の物を隠して、宝探しをする。誰も見つけられない。だが、亜が探し当てる。折りヅルの形から、紙かと思うが、実は金属。それで、命の火の中にある。

1. 球形の楽園。
ある金持ちが、ものすごい金をかけて、シェルターを建設している。山をくりぬいて、その一つに球形のシェルターを入れる予定。でも、まだ建設途中。亜たちが行くと、シェルターの中で、その金持ちが死んでいる。背中に斧のような傷。それから、頭に鈍器で殴られたような傷。誰も、中に入っていない。出られない。近くに、息子夫婦がいる。重機もある。
亜の推理。シェルターを重機で持ち上げて落とした。その前に、斧で殴って傷を負わせた。だが、それでは死なないで、シェルターに逃げ込んだ。その後やった。

2、 歯痛の思い出。
A氏が歯医者にいくの。亜と上岡という男と一緒になるの。上岡は異様に、ボールペンを探しているの。まずは、争っているのを復元、次に、首を絞めるような動作を復元、それから、土に埋めるような動作。それをみて、亜が言うの。上岡氏は、誰かを殺して土に埋めたのではないか。ところで、靴を脱いだ時に、松葉が落ちた。これは、とても珍しい物で、三鈷の松と呼ばれている。植物学者に聞く。その一つ、俯瞰館の双宿からバスで30分入った糸香神社の森にある。探したところ、掘り返した跡があり、張っていると、上岡が現れ、掘り起こすと死体が出てきた。そこに上岡のボールペンも落ちていた。

3、 双頭の蛸。
これは、夏樹静子の「イルバイ」と同じトリック。
北海道の自然の池で、双頭の蛸が発見されたとのことで、東京から取材陣がくる。その近くに小学校があって、熊が出るので、校長は銃をもっているのだが、きわめて扱いは雑。昨日も、流れ玉が自然保護団体の長(A)のリュックに当たった。
さて、沼のほとり、私(主人公)と亜とBがいる。湖の船には、取材の二人が潜水服に身を包んでいる。そんな時、銃が発射されて、潜水夫の一人が殺される。警察が調べると、銃は煙を吐いていて、殺された男には硝煙反応がなかったことから、遠くから発射されたと断定される。しかし、私も亜もBも銃を発射してはいない、と断言。その銃は、前日、Bも触ったので、Bの指紋が、引き金のところにある。さらに、撃たれた銃弾と、その銃の線条痕は、同じ。どうみても、Bが撃ったとしか思えない。でも、銃の近くに三人がいたので、三人同じように硝煙反応がある。
さて、なぞ解き。自然保護団体のAは取材をされるのには反対していた。それで、殺人事件があって、ここへ取材陣がこないように考えた。そして、前日、自分のリュックが、銃弾を受けたのを機会として、偽装殺人を考えた。まず、校長が銃の扱いが雑なのをいいことに、銃を盗んだ。そして、焚火のそばにおいた。上には木の枝を置いてかくした。さらに、潜水夫が一人の時に、その一人に、錐を刺して、殺して、その穴に、昨日得た銃弾を埋め込んだ。しばらくすると、熱で銃から銃弾が飛び出した。それで、撃たれたように思われた。

他に驚きの推理が三つ。