ユリゴコロ

ユリゴコロ」(沼田まほかる
妻の千絵が失踪した。僕はドッグランを備えた喫茶店を経営している。父のところで押し入れに日記をみつけた。
4歳のころ、母が誰かと入れ変わったような記憶がある。
日記の内容。私(日記の主人公)は、4歳のころ、ミチルという子を池に突き落として殺した。さらに、その後、男の子が、溝に首を突っ込んでいた時、男の人が、鉄柵を引き上げようとしていた。その時、私は、鉄柵を落として、その男の子を殺した。
僕の思い出。千絵には二百万貸してある。貸した後、姿を消した。店の従業員は最初から計画的だと言っている。
日記。友達のみつ子はリストカットが趣味。一緒にリストカットをした。みつ子の家から帰る時、ラーメンの匂いのする男の子が誘ってきた。坂道から蹴り落とした。ついにみつ子をリストカットで殺した。その後、体を売って生活していた。その途中、会社の同僚が体を強要してきた。後ろから蹴ったら、机の角に頭をぶつけて死んでしまった。
そのうち、ご飯だけをおごってくれる男の人が現れ、この人とは友達になった。この人はアナタと呼ぶことにした。アナタは、昔、11歳の男の子が溝に首を突っ込んでいた時、鉄柵を落として、殺してしまい、それいらい、性的不能者になったと言った。あの時の男だった。でも、私のことは覚えていない。
そのうちに、妊娠した。一緒に暮らし始めて、男の子が生まれた。
僕は推理した。日記が父の押し入れに入っているということは、アナタとは父のことだろう。そして、父と前の母は5歳違い。日記の中でも、私とアナタは5歳違い。とすると、私とは、僕の本当の母に違いない。
僕はこの説を弟に話した。弟は、一笑に付した。でも、母にはエミコという妹がいたという話を聞いたので、調べてくれると言った。その妹は父の愛人で、時々入れ替わっていたんではないか?
店の従業員に細谷という女性がいる。彼女はぼくに惚れているらしい。彼女が千絵のことを調べてくれる。まずは出身大学に行ってみた。すぐに結婚していたと判明。夫はギャンブル好きで、DVを受けていたことも判明。
弟の話し。母には妹がいた。平成9年に失踪宣告が出ている。
そのうち、父に、日記を読んだことがバレる。日記がなくなっていた。父に尋ねると、呼んだのは許してくれた。そして、4冊目を渡された。
日記。昔の会社の上司に会った。会社の同僚が死んだことで、疑われた。そして、刑事が来た。それを夫に話した。夫は慰めてくれたが、これから二人の間が壊れ始めた。アナタに殺されることが私の希望。
僕は父に尋ねた。僕の本当に母はどっち? 父は言った。美沙子、その日記の主人公だ。
父の打ち明け話。美沙子は川に入って死のうとした。息子も路ずれにしようとした。でも、父が二人を助けた。でも、美沙子はまたやるに違いないと思われた。それで、殺して、石を付けて、ダムに沈めた。そしてエミコが美沙子になった。エミコは失踪届けを出した。
ところで、細谷さんは、千絵を探しだした。
細谷さんの話し。千絵の夫の塩見は、会社が倒産して、千絵に金をせびった。今度300万を要求してきた。受取人はぼく。でも、その前に細谷さんが行ったらしい。塩見が殺されていた。
さらに父の話し。実は美沙子は殺していない。エミコが最後にロープをほどいたらしい。今、美沙子は俺を迎えにきている。その人を見ると、細谷さんだった。