誘拐の誤差

「誘拐の誤差」(戸梶圭太
ええとねえ。死んだ少年の霊魂が語るの。マンガの「花田少年史」がヒットしたので、真似したのかな? でも、マンガと小説の差。今一面白くないの。私には。でも、9刷もいっているの。何故なのかな? 確かにスピード感はあるの。刑事が呼ばれて、誘拐捜査に関係のないことばかり空想していて(ああ、霊魂の僕は心が読めるのね)、それが軽い語り口で面白いことは面白いんだけど、推理がないの。
犯人は、次から次へと殺しをしていて、それらは、全然捜査対象にはならないで、ほったらかし。そして、警察は全然関係のない前科者ばかりおっていて、ついには落としの達人が現れて、その関係のない奴が、僕がやりました、なんて白状したりするの。これって、もう推理小説じゃないじゃん。ライトノベルじゃん。それでも、9刷。本当。どこが面白いんだろう。
同じ、人間じゃないものが語るジャンルでも、「長い長い殺人」は面白かった。次から次へと人が殺されるのも同じ。決定的な違いは、何かな? 殺された人が発見されて、推理があるからかな。ああ。それと、人の心を読めない所かな。

「孤島の誘拐」(戸梶圭太
もっと、面白くない。この人は、スピード感にばかりこだわって、もう、推理を投げているわね。