もしも、戦国武将があなたの会社の社長になったら

「法医学教室の事件簿」面白かったドラマ。
横浜のレストランで、主人公と部下が食事をしていると、女性が撃たれて血まみれで歩いてきて、死亡。爪の間に皮膚片。
一方、川北判事の妻、(主人公の友人)が、夫が誘拐されて5千万を奪われたと申し出てきた。ミセス川北が運んだキャリーバッグが死んだ女性が持っていた物。でも金はない。
ミセス川北はケータイの動画から夫の監禁場所を割り出そうとする。音の専門家。部下の女性の手に三つの傷。死んだ女性の爪の皮膚片と一致。部下の女性は、ミセス川北の後を尾行して、死んだ女性と接触したと証言。その時に皮膚はついた。でも、自分は殺してない。
所で、死んだ女性。川北判事が昔厳しい判決を出した男(A)の元妻と判明。DVで分かれた。その後、大雨で地崩れ夫の(A)の死体発見。二日前に死亡。それは誘拐の日。
ミセスAの死んだ近辺の聞き込みをする。路上生活者の元さんが百万を持って、豪遊していた。女のサンタからもらったと言った。
一方、川北の妻は、電車の停車音から、監禁場所を特定。ある駅の近く。糖尿病であと10時間の命だった。
ところで、監禁場所の一階で、Aが殺された痕跡がある。血痕。その後、元さんから電話。その場所で会う。しかし刑事は目が見えなくなってしまう。その時、拳銃で撃たれる。隣の部屋に逃げる。ケータイで応援を呼ぶ。場所は分かっていたので、間に合う。そのケータイの後ろの音を分析。さびた扉の開く音。後ろの扉。それを抜けると裏道。その先にB弁護士の事務所。彼はAの弁護をしていた。それから、ミセス川北の部下の女性とも関係あり。さらに裏の路地。ミセス川北の部下の女性のイヤリングが落ちている。ミセス川北は、それを隠し持ち、部下の女性と、激しく喧嘩。その際、右手を骨折。
犯人は弁護士Bか部下の女性か。この辺のミスディレが見事。この後、部下の女性が殺されるのだけど、わざわざ弁護士Bが訪ねてくるシーンがあったり。でも、これは、結局何の関係もない。あのシーンは一体、何だったのだーー。
さて、部下の女性(C)は首をくくって死んでいる。最初は男が首を絞めたと思うが、風呂場のレールが折れている。そして、風呂には水。
それで、偽装だと見抜く。つまり、右手が使えない犯人が左手で鉄アレイを結んで付けて、レールをまたがせて、落とした。音の出ないように水を張った。つまり、ミセス川北の犯行だと推理。
そのとき。ミセス川北が思い出の海岸で死ぬとメールを送ってくる。夫の川北氏は駆け付ける。しかし、主人公は首の縄の跡が写真と違う事を発見。写真では均一だが、実験では不均一。さらに、夫の川北がこのマンションを良く知っていることから、夫が怪しいと見抜く。そして、駆け付けると、ミセス川北は、イヤリングの件で、部下のCと喧嘩した時から、夫が犯人だと推理していた。それでも、自分が犯人だと言い張ったのは、一度、命を救われたから。
そして、夫の動機は、妻があまりにも有名になって、自分が忘れられてしまいそうになったから。
感想。再度言うけど、ミスディレが最高。

「もしも、戦国武将があなたの会社の社長になったら」(若桜木虔)青春文庫。
扱っているのは、戦国武将なのに、M&Aとかびしびし出て来て、超面白い。
概略から。
1・農業、上杉謙信タイプ。広大な耕地面積を支配し、農業で経営が成り立つ。
この人の特徴は、ローリスク・ハイリターンだそうで。会社の規模を拡大するよりは、収益性の高い会社にすることを重視する、んだそうです。
2・鉱業、武田信玄タイプ。金銀の有望な鉱脈を有し、そこから得た収入で、不足する食糧などを調達する。彼は、金本位制を考えた点でも、素晴らしい、んだそうです。
3・流通業、織田信長タイプ。安定した農業収入もなく、金銀の有望な鉱脈もなく、仕方なく交易などに収入源を求めた。まあ、この人は、中学でも習いました、楽市楽座、で有名ですなあ。
4・M&Aを成功に導いた、北条氏康の手腕。
この人は、あの手この手を使って、吸収合併を成し遂げたんだそうです。
説明〜。同族経営の会社はたいてい二代目か三代目で経営が傾く。だが、氏康は、三代目でありながら、その座に安住することなく、積極的に同業他社などを硬軟さまざまな手法を駆使して、吸収合併し、どんどん会社を発展させていくタイプの、極めて優秀な経営者。なんだそうです。エリエールのあのボンボンに読ませてやりたいですなあ。
5・“人たらし”豊臣秀吉が、上から評価された働きとは。
秀吉と言えば、草履を温めた、で出世したように思われているが、違うのだそうです。彼が出世したのは、信長の意を汲み取り、先読みの才能があったのだとか。さらに、同僚の柴田勝家なんかにも穏便に穏便に対応して、敵をつくらなかったのだとか。
6・農業、鉱山、流通。最後に勝った、徳川家康のモノマネ力。
彼は、特に飛び抜けた才能はなかったのだけど、農業で謙信を、物流で信長を、鉱山開発で信玄を真似をして、経済の安定化をはかったのだそうです。
7・“起業家”毛利元就の、成長する会社のつくりかた。
彼は少しばかり強引で、西国へM&Aを仕掛けて、のし上がったのだそうです。
8・“地方組”伊達正宗、弱点を克服した知略。
情報弱者でも、アイデアがあったのだとか。
9・異国での活路を見出した松前慶広の強気。

そう言えば、推理作家協会の会報を見たら、先生の文が乗っていたの。それによると、歴史物(ミステリーも含む)で、相手の家を探すために、表札をたぐっていくって描写があって、こんなことはあり得ないって書いてあったわ。驚きだわね。江戸時代は表札がなかったんですって。歴史物を書く人は、本当に、専門家について勉強しないと、こんな小さなミスで落とされることがあるそうよ。歴史物を書いている人は、ぜひ先生について勉強したほうがいいわ。ネット添削もあるし。確か、一月3千円くらいで、出し放題だったと思うけど。若桜木教室で検索すれば出てくると思うわ。



今週面白かったのは、泉ピン子の「心理捜査官」。
内容は簡単。梶原の息子が誘拐されるの。身代金は1千万を5回。一回目。振り込んだけど、引き出さない。二回目は失敗。三回目は、緑化公園。公園の端。夫が犯人を切りつける。刑事が押さえる。(犯人を抑えつければいいものを、それはしない。この辺がちょっと。犯人は逃げる)。浮浪者に聞き込みをすると、梶原(夫)は受け渡しの前日にこの公園に来ている。これは、狂言誘拐かと思われるけど、ミスディレ。
さて、泉ピン子たち所轄の刑事さんたちは、梶原の過去を調べる。梶原は、17年前に5千万で会社を興して、アパレルで大成功したの。でも、17年前と言えば、高校を中退してすぐ。おまけに、彼のいた高校では、誘拐殺人事件が起こっているの。その身代金が5千万。その犯人と身代金は、いまだに不明。
17年前の被害者は、岡本。梶原の恩師。彼の息子が被害者。今、岡本は、緑化公園の近くに住んでいたの。
で、話は変わるけど、梶原の息子が解放されてきたの。彼の言。監禁されなかった。逃げたら母を殺されると言われて、逃げられなかった。
彼の証言によると、監禁場所は岡本の家のすぐ近く。おまけに、息子は解放されてから、父を毛嫌いするようになったの。それで、泉ピン子はピンとくるの。これは、17年前の復讐なのではないか?
つまり、岡本は17年前の犯人を梶原だと推理。さらにそれで、梶原の息子を誘拐して、17年前の父の悪事を息子に話して、心に傷をつけた。その証拠。2日前の緑化公園での受け渡しの際、犯人は腕に傷を負った。岡本は、その日、潜りの医者で手当てを受けている。
さて、息子の非行で、その事にきずいた梶原は、岡本の家へ殴りこみにいく。そこへ刑事がかけつける。岡本の自白。
梶原を17年前の犯人だと推理したわけ。死体遺棄場所を教える手紙の文字と、年賀状の文字がそっくりだった。
感想。面白かったわね。オーソドックスな展開じゃなくて、人間の心の恐ろしさを垣間見たようで。