カンナ・飛鳥の光臨,写楽殺人事件

「カンナ・飛鳥の光臨」(高田崇史
最近、いきずまってしまったので、本屋で売れている本を探したの。売れているというか、何冊も出している人。その結果、歴史を題材にしている人が沢山本を出しているのに気がついたの。で、歴史を題材のミステリーを読んでみました。
これは、面白かったわね。つきつめて言ってしまうと、政略戦争に勝った一派が書いたのが、今、私たちが学んでいる歴史であるから、負けた一派が書いた歴史書には、聖徳太子は存在しなかった、とか、曽我入鹿が天皇だったとか、大化の改新は、消費税を3%から5%に引き上げるくらいの改革だったとか、と書いてあるって内容。
まあ、曽我の入鹿が誰だったか良く知らない私としては、あんまり衝撃は受けなかったけど、歴史好きが読んだら、超ショックな内容かもね。それにしても、漢字が多くて読みにくかったけど。

写楽殺人事件」(高橋克彦
これも歴史関連で読んだ作品。けっこう面白かったわ。浮世絵の偽物を本物とさせる方法。つうか、二流の浮世絵師を写楽と思わせる手法というか。中々だったわね。
今でも写楽は誰だったかという論争は続いているようで、なかなか興味をひいたわ。
まず、嵯峨という浮世絵研究家が自殺するの。その前に、古書店に昌栄という人の版画集が送られてくるの。昌栄はそこそこ有名な版画家らしいわね。で、これは明治のころに出版された版画集で、その横に、明治の浮世絵師・清親の覚書が書いてあるの。いえ、正しくは印刷してあるの。それが、「写楽改め、昌栄」と書いてあるの。それも、オフセット印刷ではなくて、活版印刷なの。明治のころは活版だったから、業界人は皆本物と思うの。それで、業界では衝撃が走り、その頃、ちょうど、ある旧家の蔵から昌栄の作品が沢山出土して、高く取引されるの。
でもって、これが本当かどうかを検討していくのが、この作品なんだけど、どうも、この清親の覚書が嵯峨の偽造ではないか、と主人公は推理して終わるんだけどね。こうやって二流の作家を一流と思わせるのか、などと、面白く読めたわ。

今週面白かったのは、「逆転報道」
まず、奥多摩でA医師が飛び降り自殺をするの。で、主人公は昔、無医村で診療をしているA医師を取材したことがあったの。彼は、真面目なの。その後、A医師は元の大学病院に呼びもどされて、医療ミスで患者を死なせて、訴えられそうになるの。でも、これは、難しい手術だったので、訴えられはしなかったの。で、最初は、A医師の分かれた妻が、別れた現在も3億円の保険金の受取人になっているので、彼女が疑われるの。でも、彼女にはアリバイがあるの。で、次に疑われたのは、死なせた患者の夫。彼はアリバイはないの。そうこうしていると、病院が、最近、A医師がまた医療ミスで患者を死なせたと発表するの。それは、手術後の点滴のスピードを間違えたというもの。で、主人公は、看護師にその患者の名前を聞いて(B)、彼女の勤めていたバーで取材をするの。すると、Bは病院の院長とつきあっていたということが判明。さらに、別の看護師が、Bと院長が分かれる分かれないで、言い争っていたと証言。つまり、痴情のもつれで、院長が殺した可能性が浮上。
さて、A医師の現在の妻に話を聞くと、妻の父、つまり病院長は、昔、山で遭難しそうになったことがあったんだけど、ある女性に助けられたの。で、その女性が、ストーカーみたいにずっと病院長につきまとっているらしいの。こうなると、痴情のもつれで、この女性が相手の女を殺した可能性もでてきたわけ。
さて、そうこうしていると、重大な話があると言って、C医師が主人公のところへ電話をかけてくるの。でも、駆け付けてみると、殺されているの。それは、サクソン(筋弛緩剤)を注射されたの。
この後、ちょっとお風呂に入ってしまったので、病院長と看護師長が犯人だと目星をつけた訳は分からないんだけど、院長の山荘に乗り込むの。
で、院長が自白をするの。自分は、Bに手切れ金として一億円を請求されていた。それで、院長に惚れている看護師長が、点滴のスピードを変えて、殺した。これを、A医師に見抜かれた。彼は、自分は絶対にミスしていないから、訴えると言った。それで、橋から落として殺した。看護師長と一緒に。この後、看護市長のサクソンで主人公を殺そうとするんだけど、カメラマンが乱入してきて、辞める。さらに、それを嗅ぎつけられて、C医師に脅されて、彼も殺した。その時、警察が乱入してきて、Nシステムに、病院長と看護師長の乗った車が映っていた。それは、突き落とした橋のすぐ近くだった、と言って逮捕する。
ちょっと、強引なような気もしたわ。