プリズン・トリック

「プリズン・トリック」(遠藤武文)
江戸川乱歩賞は、やたら衒学的で、トリックは大したことないから、嫌いなの。で、あまり読んでないんだけど、これは、帯に、選考委員の度肝を抜いたトリックと書いてあったから、読んだの。でも、トリックは大したことはなかったわ。交代用の看守が新しい時は、顔が分からないから、殺したい奴と入れ替わって倉庫に入って、殺して、次の朝、掃除係が入ってくるのを待って、こっそり抜け出したってもの。手が、前えならえの形をしていたから、死後硬直を利用して、体の上に登って、網の隙間から出たというトリックかと思ったけど、拍子抜け。でも、死体との入れ替わりはまあまあ面白かったかな。
最初の方、次々と視点が入れ替わってついてゆきにくかったどけど。登場人物が多すぎるんだよ。50歳もすぎると、一日寝ると、主人公の名前とか忘れちまうの。それで、またちらちらと読みなおし。大変だったわ。
では、最初から。
日本の中でも一番開放的な市原刑務所(交通刑務所)で殺人がおこるの。顔と指紋が、硫酸で溶かされているの。死因は、毒薬の臭化パンクロニウムを注射。傍に紙。石塚死すべし。宮崎。と書いてあるの。
当然、殺されたのは石塚で、犯人が宮崎と思われるの。服も皆石塚と名前が入っていたから。でも、東棟は網が切られているけど、倉庫の網は切られていないの。どうやって、宮崎は逃げたか?
そのうち、殺されたのは宮崎じゃないかという奴がでて、看守はDNA鑑定をしますというの。で、その結果は、宮崎が死亡と断定。
で、石塚満の実家を調べるの。彼を起訴した検事の話では、郵便で呼び出しをしたら、妻と離婚したという石塚が出頭してきたので、収監したとのこと。
でも、石塚満は全身麻痺で家で寝ていたの。妻は離婚してないと言う。つまり、郵便を持って出頭してきたのは、宮崎を殺す目的で、石塚になりすました男、ということになる。
つまり、宮崎に恨みを持っている訳ね。
そいつは、郵便で出頭してきた訳だから、郵便局がかかわっているということになったの。で、郵便局の資料を調べたら、田中という男が配達していたの。で、田中と親しかった男に関係者全員の写真を見せたら、石塚と名乗っていた男の写真をさしたの。
さて、東亜火災の重野は、バーで、新聞記者に話しかけられるの。宮崎が、野口の娘(村上良子)を交通事故ではねて死亡させた時、保険金一千数百万が村上良子の夫の口座に振り込まれた。しかし、村上夫は行方不明。その事故は、高橋(安曇野市長)が社長の、安曇野トマトファームの前で起きた。トマトファームは赤字だった。村上良子はそこの経理をしていた。つねづね不正があると言っていた。彼女は、高橋市長から依頼された、宮崎に殺されたのではないか?
そうこうしていると、刑務官の野だが殺された。臭化パンクロニウムで。中島の指紋のついたじっぽが落ちていたので、中島は警察へ。
さらに、高橋市長が殺された。村上良子の夫が、復讐でやっているのではないか。石塚になりすましたのは、村上の夫ではないか?
さらに、最後には驚きのドンデン返しが。
感想。刑務所から脱走するのは大変だけど、収監されるのは意外と簡単なのね。

追伸。中島とも子が、どんな心境かを考えてみたの。あの、みのさんが、「お味噌汁にヨーグルトをいれるとおいしい」と言ったのを、日本中の主婦が信じた心境だと思うの。みのさんを信じていない人からすると、味噌汁ヨーグルトは、饐えたような匂いで食べられなかったけど、みの教を信じている主婦にはおいしいと思えるってこと。好きになればなんとやらで、あの心境よきっと。