ダウト、きりのない疑惑

「ダウト、きりのない疑惑」ミステリー傑作選
1、 黒い履歴(薬丸岳
主人公は、昔、人を殺した経歴がある。さて、ある日、姪の春奈の友達の舞にぬいぐるみをあげる。でも、数時間後、その子の父が殺されているのが発見される。そして、主人公が刑務所にいた時の刑務官(A)が刑事になって、現れ、主人公につきまとい始める。で、その後、舞に痣があって、父にDVをされていたことや、児童ポルノを売っていたことが判明。さらに、主人公の姉が、親身になって、相談に乗ってやっていたことも判明。そこで、主人公は、姉がやったと思って、身代りに自首をする。しかし、Aは殺されたのは、主人公がゲームセンターにいた頃だから、無理と言う。そして、姉を逮捕する。
感想。じわーんとして、面白かったわ。

2、 堂場警部補とこぼれたミルク(蒼井上鷹
これはダメ。一度読んだだけじゃ分からない。その点で失格。
まず、日付順に読んでいくの。すると、後で、辻褄の合わないことが出てくるの。で、順番が違うと言われるの。
でもねえ、小説家は、梗概を書きながら、並べ直して、読み直して、頭の中を再整理してその先を書くんだから、いいんだろうけど、読者はそんな面倒なことはしないの。だから、一度読んだ筋は、もう深くインプットされちゃって、治りようがないの。だから、読み直しなんて、死んでもしないし、筋を書いて並べ直しなんて、しないの。だから、最後までちんぷんかんぷんのまま。最悪。時間の無駄。

3、 選挙トトカルチョ佐野洋
これは面白かったわね。死体はでてこないんだけど、推理物だわね。
筋。まず、主人公の老夫婦がいるの。その老夫婦の夫は、さる大新聞のお偉いさんで、退職。そして、そこへ、その大新聞の地方記者の女性(A)が知り合いになるの。その頃、その地方都市で選挙があって、B候補者が立候補しているの。そのB立候補者の親戚には、広告会社を経営している人がいて、ある選挙ま近の日、スーパーの安売り広告を出すの。というか、スーパーに頼まれて出すんだけど。それには、安井(立候補者の名前)が大きく何度も、赤で印刷されているの。すると、当選するの。
あ、まって。その前に事件があった。ある日、警察に相談がよせられるの。父と息子が喧嘩して、父が「死んでやるといって家をでた」というものなの。それに同情したのが警察担当のA記者。彼女はそれを新聞で取り上げるの。すると、その父はB候補の家で、説得されたと言って出てくるの。そして、結構その事件は有名になって、その後、B候補が立候補した後も、二人は宣伝カーで、仲良く演説をするの。
この事件を、A記者は、自分が利用されたと言って、酷く怒って、B候補の事務所に喧嘩を吹っ掛けに行きそうな勢いなの。で、主人公夫婦は心配して、A記者を東京の本社へ呼び戻すように声をかけてやるの。すると、そうなるの。
でも、その次、安井候補は、同じような事件をおこして、次々と大きな選挙で勝っていくの。その下には、Aがついているの。これって、偶然でしょうか。というもの。
面白かったわ。

4、 その日まで。(新津きよみ)
これも面白かったわね。
筋。主人公の涼子は、親友の秀美からの電話を受け取った。秀美は時効まで40日の犯罪者。でも、すごく籤運がいい女で、一緒に買ったくじが二千万当たった。でも、秀美は逃げているから、それを涼子にあずけている。さっきの電話は、時効になったら、その半分を受け取りに行くという電話。
ところで、涼子は、兄嫁から無心されて、二百万を貸した。でも、兄嫁は、それじゃあ足りないので、あと一千万貸してくれと言ってきた。涼子は迷っている。あと一千万と言ったら、秀美の分の金にまで手を付けなければならない。
さて、さて。秀美。彼女は、おいしいコーヒーを飲みたくて、ある喫茶店に入った。そこで、一万人目に当たってしまった。ここでも籤運のいい女が証明されてしまったのだ。だが、そこで、辞退をするが、たまたまそこに来ていた刑事に見つかってしまう。これも、籤運がいいせい?

5、 点と円(西村健
これも面白かったわね。筋は大したことはないんだけど、職人技というのかしら。コンピューターで土地の傾斜を入れて、地図を作製し直して、とか、その土地の詳しい情報、例えば、屋台やラーメン屋の情報なんかを、目に見えるように入れて延ばしていくところなんか。本当に、職人技。
筋。博多で、放火が三件おこる。主人公はその捜査をしている。コンピューターで分析してみると、三軒のスーパーの周囲で起こっている。その三軒のスーパーで何か変わったことがあって、犯人はそこに買いにいったのだと推理。そのスーパーの一軒で聞き込みをすると、放火のあった日、店内の並べ替えをして、大売り出しをした。他の三軒で聞いてみても、同じだった。そして、その並べ替えは、指導のインストラクターが来てやった。で、その指導のインストラクターが怪しいと推理。尾行。しかし、見破られる。「あんたのストーカー行為なんか、お見通しなんだから」と言われる。
これから、ヒントを得て、インストラクターに前からストーカーがいたんだと判断。そして、彼女に協力してもらって、あちこちを歩かせる。そして、ストーカーがそれを尾行し、放火した時に逮捕。実はストーカーは、インストラクターが店を出てくるまで暇だったので、放火した。
面白かったわね。最後、インストラクターが犯人だと思わせておいて、実は、ストーカーがいたんだ、という辺り、職人芸。

他にも驚きのトリックが三つ。
今週目を引いたのは、アイドル志望の本木美紗、と細貝圭。本木は、AAAのリーダーに似ているのだから、「いってみヨウカドウ」とか真似をすればいいのに。でも、それじゃあ地味か。どうせなら、ローラの真似とかすれば。細貝圭は、イケメンだから好き。